米軍、韓国配備のミサイル防衛システム「数日中」に実用開始と

韓国南東部・星州郡のゴルフ場跡地にミサイル防衛システムの設備が搬入された(26日) Image copyright Reuters
Image caption 韓国南東部・星州郡のゴルフ場跡地にミサイル防衛システムの設備が搬入された(26日)

米太平洋軍は26日、韓国に配備を開始した地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)」が「数日中」に実用可能になると表明した。太平洋軍司令官が、下院軍事委員会で述べた。

北朝鮮の脅威から韓国や韓国駐留米軍を防衛することを目的としたTHAADは、主な設備が26日に予定地に運び込まれたが、当初は実用開始は2017年後半とされていた。

太平洋軍司令官のハリー・ハリス提督は、下院軍事委員会でTHAADが「高まる北朝鮮の脅威から韓国をよりしっかりと守るため、数日中に」実用可能になると証言。「北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長を「屈服させるためではなく、正気にさせるためだ」と司令官は述べた。

韓国国内では、THAAD配備によってむしろ北朝鮮の標的にされると懸念する声も多い。中国は地域の不安定化につながると憂慮を表明している。

韓国国防省はハリス司令官の発言を受けて、THAADが近く「実際に使用される」ことになると確認。報道官は「一部の装備を配備したことで、韓国と米国は北朝鮮の挑発に対応できる能力を持つようになった」と述べた。

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THAADは、北朝鮮の短距離と長距離ミサイルを航程の終末段階で迎撃・破壊するために開発された。高速で衝突することで標的を破壊する運動エネルギー弾で、射程は200キロ。最大高度は150キロに達する。米軍はすでにグアムとハワイに配備済み。韓国とは昨年夏にオバマ政権が配備で合意した。

北朝鮮が新たな核実験やミサイル発射実験を実施するのではないかなどの懸念が高まるなか、韓国を訪問したマイク・ペンス米副大統領は北朝鮮に「トランプ大統領の意志の強さを試さない方がいい」、「北朝鮮に対する戦略的忍耐の時代は終わった」などと警告。米政府は空母打撃弾を朝鮮半島に派遣した。

これに対して北朝鮮は、政府高官が「ミサイル開発は続ける」、「米国が軍事攻撃をするなら、先制核攻撃で対応する」と発言。さらに国営通信を通じて、米空母カール・ビンソンを「沈める用意ができている」、「超強力な先制攻撃を行う」などと威嚇を重ねた。

Image caption 北朝鮮が保有するミサイルの飛距離(キロ)。左から「火星」、「北極星」、ノドン、ムスダン(以上、開発済み)。さらに開発中のKN14、KN08(資料・米ジェイムズ・マーティン不拡散研究センター)
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(英語記事 Thaad missile defence operational in S Korea 'within days'

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