ワトソンの米IBM 日本でのAI事業拡大を加速へ

ワトソンの米IBM 日本でのAI事業拡大を加速へ
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AI=人工知能を使った企業向けシステムの開発や販売で先行する、アメリカのIBMは、27日に東京都内で企業向けの大規模なイベントを開き、日本での事業拡大を一段と加速する姿勢を鮮明にしました。
東京都内のホテルで開かれたイベントには、AI=人工知能を導入したり、導入を検討したりしている日本企業の担当者、およそ3000人が集まりました。

会社によりますと、IBMが開発したAIのワトソンは、企業のコールセンターで顧客の問い合わせに答えるのを支援するシステムや、保険会社が保険金の請求を審査する業務を支援するシステムなどが、200社を超える日本企業に導入されているということです。

イベントでは、日本法人のエリー・キーナン社長が、ワトソンを導入した業界ではさまざまな効果が出ていると紹介し、続いて、実際に導入した企業からの出席者が実例を紹介しました。

AIを使った企業向けシステムの分野は、IBMが先行しているとされますが、日本の大手電機メーカー各社やアメリカのグーグルなども参入を進めていて、主導権争いが激しさを増しています。

IBMのベス・スミスゼネラル・マネージャーは「日本企業のAIに対する関心の高さに興奮している。日本の企業は革新的なので大きなビジネスチャンスを感じている」と話しています。

IBMと日本企業 AIへの取り組みは

AI=人工知能のビジネスは、アメリカの大手IT企業が先行しているとされています。
その代表格であるIBMでは、「日本市場で勝つには、ことし、2017年が重要な年になる」と位置づけています。

IBMは、2018年までに全世界で自社のAIのユーザーが10億人に達すると予測し、世界市場で大きなシェアを占めると見込んでいます。
そのIBMが、アメリカに次ぐ世界第2位の市場として力を入れているのが日本です。

IBMが日本でワトソンのビジネスを始めたのは5年前。すでに、メガバンクと呼ばれる3大金融グループすべてが、コールセンターで問い合わせへの回答を支援するシステムを導入しているほか、日本航空などがインターネットを通じて寄せられた問い合わせに自動で答えるシステムを、また、かんぽ生命は、保険金の請求の審査を手助けするシステムを導入するなど、200社を超える日本企業が導入しているということです。
日本法人の日本IBMでは、ことし、AI関連の技術者を去年の1000人から1500人に増やす計画です。

一方、IBMに遅れ気味の日本の電機メーカー各社も、体制を強化しています。

富士通は、技術者やマーケティング担当者で作るAI専門部署の人員を、昨年度の700人から今年度には1000人を超える規模に、そして来年度(2018年度)には1500人に拡大する計画です。

NECは、研究開発の人員を2020年度にかけて現在の2倍近い400人に増やすほか、パナソニックも、研究開発の人員を今年度中におよそ2倍の200人に増やす計画です。

このうち富士通は、人の表情や声から喜怒哀楽などの感情を理解できるAIの開発を進めています。すでに、電話での会話を分析して声のトーンなどから、振り込め詐欺の被害に遭っているおそれがある人を見つける技術などの実証実験を行っています。

一方、NECは、ペプチドワクチンと呼ばれるがんの新たな治療薬の開発にAIの活用を進めています。