Ultra ATA/66対応IDEのケーブルに使われるコネクタは、IDEコントローラを搭載したマザーボードや拡張PCIカード側に付けるものが青く色分けされています。
また、デバイス(HDDやCD-ROMドライブなど)側になるものも色分けされていて、プライマリは黒、セカンダリは灰色のものが使われていることが多いようです。
このプライマリとセカンダリの区別は、ケーブルのCSEL(ケーブルセレクト)信号線の情報を使うようにデバイス側で設定したときに有効になるものです。
それはさておき、従来使用されていたそのほとんどのIDE用ケーブルは、40線のフラットケーブルになっており、任意のコネクタにデバイスやコントローラを取り付けることが可能となっていました。
これは全部の信号線が並列に接続されていて、とくにターミネーションも設定されていないからです。
信号のインピーダンス(配線上で発生する電気抵抗)などを厳密に考える必要がない場合は、どのコネクタにどれをつなごうと電気的には問題ありません。
しかし、Ultra ATA/66対応IDEケーブルのコネクタには、あらかじめ接続するものが限定されています。
つまりこれは、Ultra ATA/66のIDEケーブルが従来のように、全信号線が並列に接続されているだけではないことを意味しています。
Ultra ATA/66対応IDEケーブルは80線ですが、IDEのコネクタは40ピンです。Ultra
ATA/66ケーブルの信号線のうち、偶数番のものはすべてGNDとなっていて、奇数番の信号線がGNDと1本ずつペアを組むようにしてラインのインピーダンスを安定させる形になっています。
そして、そのGND用の信号線はコネクタ部分で従来の信号線にあるグランド用信号線に結線されています。
そしてもう一方の奇数番の信号線は、従来のIDEケーブルの信号線としての機能を果たします。
つまり、従来の信号線との対応は、
従来のIDE 1 2 3 4 5 ……
Ultra ATA/66 1 3 5 7 9 ……
となっています。
しかし、実は全部の信号線がこのように結線されているわけではありません。
従来のIDEケーブルの34番にあたる信号線は、コントローラ側とデバイス側との接続が切り離されていて、コントローラ側のほうはGNDに接続されています。
これは、34番(Ultra ATA/66では67番)の信号線の状態を見て、現在使われているケーブルがUltra ATA/66対応かどうかを判定するために使われているのです。
このようにUltra ATA/66対応IDEケーブルでは、従来のものとはケーブルの結線が微妙に異なっています。
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写真1:信号線を切り欠くことでUltraATA/66に対応しているかどうかを判別しているケーブル(手前)もある
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その結果、本来コントローラ側につなぐためのコネクタにデバイスを接続した場合、Ultra ATA/66として認識されなくなるばかりでなく、場合によっては動作がおかしくなる可能性も出てくるわけです。
最近のUltra ATA/66対応IDEケーブルの多くは、こうした特殊な接続はすべてコネクタとケーブルの接合部の処理ですませるようになっていますが、なかには67番の信号線の接続を切り欠くことで実現しているものもあります(写真1)。
SCSIでもIDEでも、これまではコントローラやデバイスを気にせずケーブルを接続することができました(これも厳密には好ましくない接続方法であるのですが、接続順序が違うことで論理的に動作がおかしくなるということはありませんでした)。
Ultra ATA/66では、これまでのIDE規格に対する上位互換性と性能の向上を両立させるため、電気的により安定して動作することが期待できるケーブルを導入するとともに、自動で接続状況を確認できるようにするための仕組をそのケーブルに組み込んだ結果、これまでのように、どのコネクタに何をつないでも接続できる、という利便性を損なう結果になりました。
より高速な転送速度を求めていく上で、よりシビアな要求が出てくるのは仕方のないことかもしれません。
(Ta 152H-1)
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