ふるさと納税 “使いみち限定”で

ふるさと納税 “使いみち限定”で
生まれ育った自治体などに寄付をして、ふるさとの活性化に役立ててもらう「ふるさと納税」。最近では、自治体間の競争が過熱し、高額な返礼品も問題になっています。こうしたなか、寄付金の使いみちを、あらかじめ「児童養護施設の退所者への支援」「原子力発電所の建設凍結」などと、具体的に示すことで、より多くの寄付を集めることに成功している事例も出ています。
ふるさと納税は、生まれ育った自治体などに寄付をすると、納めた額に応じて税金が軽減されるとともに、地域の特産品などを返礼品として受け取ることができる制度です。

地域の活性化に役立ててもらおうと、平成20年に始まりました。
平成27年度には寄付の金額が全国でおよそ1653億円に上り、その前の年度の4倍以上に急増、財政規模の小さい地方の自治体にとって、無視できない財源の1つとなっています。

一方、寄付を受ける自治体の多くは、使いみちについて「教育」や「福祉」などと示して、寄付をする人に、どんな分野に使ってほしいか選んでもらうようにしていますが、具体的に何に使われているのか分からない、という声も上がってます。

無視できない財源に

ふるさと納税は、生まれ育った自治体などに寄付をすると、納めた額に応じて税金が軽減されるとともに、地域の特産品などを返礼品として受け取ることができる制度です。

地域の活性化に役立ててもらおうと、平成20年に始まりました。
平成27年度には寄付の金額が全国でおよそ1653億円に上り、その前の年度の4倍以上に急増、財政規模の小さい地方の自治体にとって、無視できない財源の1つとなっています。

一方、寄付を受ける自治体の多くは、使いみちについて「教育」や「福祉」などと示して、寄付をする人に、どんな分野に使ってほしいか選んでもらうようにしていますが、具体的に何に使われているのか分からない、という声も上がってます。

使いみちを具体的に

こうしたなか、使いみちを具体的に示すことで、寄付をより多く集めようという動きも活発化しています。

前橋市は、先月から、児童養護施設の子どもたちの自立を支援する事業の項目を設けました。

その名も「タイガーマスク運動支援事業」。
タイガーマスク運動とは、伊達直人を名乗る人物が、児童相談所にランドセルを寄付したことをきっかけに、全国に広がった寄付の活動ですが、その発端となった寄付を行った人物が市内在住の会社員だったことから、その名にちなんで新たに設けたということです。

前橋市は、児童養護施設を退所する子どもたちの住宅費などとして1人当たり15万円を支給していて、集まった寄付は、基金として積み立て、こうした事業に充てていくということです。

この項目を設けた先月15日から今月2日までに集まった寄付は、17件の225万円。
これは昨年度(平成28年度)の事業費105万円をすでに超えていて、今年度予定していた事業費の金額も上回っているということです。

前橋市は「使いみちを示すことで、寄付してくれた人の意向をより強く反映できると考えている。今回、多くの寄付が集まったのも、事業に共感を持ってもらえた結果ではないか」と話しています。

また、佐賀県もことしから「小児医療の充実」を新たに加えました。

佐賀県は人口10万人当たりの小児科医の数が、全国平均を下回っていることから、集まった寄付金を平成30年度から小児科医の確保や小児科医療に活用することにしています。

原発の建設凍結訴訟費にも

さらにちょっと変わった使いみちを打ち出しているのが、北海道函館市。設けた項目は「大間原子力発電所の建設凍結のために」です。

函館市は、津軽海峡をはさんだ対岸の青森県で進められている大間原発の建設中止を求める裁判を3年前から行っていて、これまでも市民などに裁判費用の寄付を呼び掛けて来ました。

しかし、裁判の長期化が予想され、今後の費用の工面が難しくなる可能性があるため、今年度からふるさと納税の寄付金の一部を裁判費用に充てることにしたのです。

函館市によりますと、3日に受け付けを開始してから11日までに、92件、合わせて224万円余りの寄付が寄せられたということです。

自治体はより工夫を

こうした動きについて、ふるさと納税の制度に詳しいニッセイ基礎研究所の高岡和佳子主任研究員は「大多数が返礼品が目的でふるさと納税を利用しているのが現状だが、使いみちを具体的に示すことで、少数ではあるが意識の高い人たちが寄付をするようになっているのだと思う。具体的な使いみちを示すことは、税金がどのように使われているのかを考えるきっかけにもなる」と指摘します。

そのうえで「高額な返礼品が問題になっている中、このような形で寄付を集めようという自治体が今後も増えてくる可能性はある。ただ、具体的な使い道を示すことが主流になると、差別化が難しいので、利用者に十分に認知されない可能性もある。多くの寄付を集めることができる話題性のある使い道の設定に、より工夫が求められるようになってくるのではないか」と話しています。