トランプ米政権、北朝鮮制裁強化へ

北朝鮮の国営・朝鮮中央通信(KCNA)は26日、日付不明の実弾砲撃訓練の写真を配信 Image copyright AFP
Image caption 北朝鮮の国営・朝鮮中央通信(KCNA)は26日、日付不明の実弾砲撃訓練の写真を配信

ドナルド・トランプ米大統領は26日、北朝鮮に核・ミサイル開発を止めさせるよう圧力をかけるため、制裁と外交努力を強化していく方針を表明した。トランプ氏はホワイトハウスに上院議員全員を集めるという異例の措置を取り、その場で議員たちに発表した。

「米国は朝鮮半島の安定と平和的な非核化を求めている。その目的に向けて、交渉する用意は依然としてある。しかし自分たちと同盟諸国を防衛する用意も依然としてある」と、レックス・ティラーソン米国務長官、ジェイムズ・マティス国防長官、ダン・コーツ国家情報長官は連名で声明を発表した。

声明はさらに、「大統領は、同盟国や地域の提携国と共に経済制裁を強化し、外交手段を追究することで、北朝鮮に圧力をかけることを狙いとしている」と述べた。

上院議員たちへの説明は、ホワイトハウスに隣接するアイゼンハワー行政府ビルで行われた。

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Image caption 上院議員への情勢説明会の後、記者団の質問を受ける民主党のクリス・クーンズ上院議員(26日)

情勢説明会の後、記者団の質問を受けた民主党のクリス・クーンズ上院議員(デラウェア州選出)は、「必要とあれば軍事的選択肢が選べるよう、準備のためどれほど熟慮と計画が重ねられているのかが明らかで、厳粛な気持ちになるブリーフィングだった。検討されている外交戦略も、目的を曇りない目で見据えた、脅威に対して相応なものだと思えた」と話した。

ホワイトハウス関係者によると、北朝鮮を国務省のテロ支援国リストに再掲することが検討されているという。

北朝鮮の核・ミサイル開発についてはすでに、国連が厳しい制裁を科している。

バラク・オバマ前大統領は約1年前、北朝鮮の核実験と衛星打ち上げ実験を受けて、米国内の北朝鮮資産を凍結し、米国からの輸出や投資を禁止するなどの制裁を発動した。

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Image caption 韓国の黄教安・大統領代行(中央)は砲撃訓練を視察(26日、ソウル北)

上院議員への説明会に先立ち、米太平洋軍のハリー・ハリス司令官は同日、下院軍事委員会で証言し、米国はいかなるミサイル攻撃も撃退できる「最高の技術力」をもって態勢を整えていると述べた。

地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)」を配備したのは、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長を「屈服させるためではなく、正気にさせるためだ」と司令官は話した。

ハリス提督は、北朝鮮が米国を攻撃する能力を手にすれば、ただちに米国を攻撃しようとするだろうと警告した。

中国政府は、THAADの韓国配備は周辺地域の不安定化につながると反発している。韓国でも、南東部・星州郡に装備を載せた米軍車両が集まると、地元住民数百人が激しく抗議。警官隊との衝突で3人が負傷した。

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Image caption 韓国南東部・星州郡のゴルフ場跡地に米軍車両6台がミサイル防衛システムの設備を搬入。抗議する住民と警官隊が衝突した(26日)

<解説> バーバラ・プレット・アッシャー、BBCニュース(ワシントン)

米政府は北朝鮮の核技術向上を、深く懸念している。トランプ政権1期目が終わる前に、米国を核弾頭で攻撃できるようになると考えているのだ。

これを軍事介入で先制抑止するには、どんな方法であっても高いリスクが伴う。しかし、実際にあり得る脅威なのだと相手に認識させるため、トランプ大統領は発言の調子を強めてきた。

トランプ氏の計画の鍵となるのは、中国だ。北朝鮮が核兵器開発事業を解体するところまで、中国がもっと北朝鮮に圧力をかけるよう、米国は中国に圧力をかけている。北朝鮮の核開発放棄に向けて、米政府は交渉の用意があるとトランプ政権は表明した。しかし北朝鮮はそのような条件は決して受け入れないだろうと、米政府内でさえ大勢が疑っている。


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Image caption 北朝鮮の国営・朝鮮中央通信(KCNA)は26日、軍を視察する金正恩氏の日付不明写真を配信した

(英語記事 North Korea faces tighter sanctions under Trump strategy

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