遺伝子組み換え食品の表示見直し 検討始まる

遺伝子組み換え食品の表示見直し 検討始まる
遺伝子組み換え作物を使った食品の表示について見直しを検討する消費者庁の有識者検討会が26日から始まり、表示の対象を拡大するかどうか議論を深めたうえで、来年3月をめどに報告書をまとめることになりました。
遺伝子組み換え作物や加工食品の表示を義務づけた制度は平成13年に始まり、現在は、大豆やとうもろこし、菜種など8つの作物と、豆腐やみそ、スナック菓子など33種類の加工食品が対象になっています。

制度の開始から15年がたち、消費者団体などから対象の拡大を求める意見があることや、遺伝子組み換え作物を使っているかどうかを確認するのに必要なDNAを検出する技術の向上などを踏まえて、消費者庁が表示の見直しを検討することになり、26日、有識者検討会の1回目の会合が開かれました。

会合では、松本消費者担当大臣が「遺伝子組み換えの表示制度は、国民の関心が非常に高い。消費者の選択に資するものとなるよう議論してほしい」とあいさつしたあと、10人の委員が意見交換を行いました。

今の制度では、大豆を原料としたしょうゆや菜種を原料とする食用油などは、加工後にDNAを検出できないことから、遺伝子組み換え作物を使っていても表示の対象となっていません。これについて、委員からは「すでに多くの遺伝子組み換え作物が輸入され、使われていることは、知らせるべきではないか」といった指摘や、「国の審査を受け、安全性は確保されていることを前提に、冷静に議論してほしい」などといった意見が出されていました。

検討会は、1年ほどかけて表示の対象を拡大するかどうか議論を深め、来年3月をめどに報告書をまとめることにしています。

表示の現状は

遺伝子組み換え食品の表示制度の対象としては、遺伝子組み換えの大豆を使った豆腐や納豆、みそなどや、遺伝子組み換えのとうもろこしを使ったポップコーンなどが挙げられます。

一方で、しょうゆや食用油など、表示の対象となる大豆や菜種を使っていても、加工後にDNAを検出できないことを理由に表示の対象外となっている食品もあります。

消費者庁によりますと、同様の表示制度のあるEUでは、このようなDNAが検出できない食品も、義務化の対象になっているということです。また、作物の流通過程で遺伝子組み換え作物の意図しない混入が避けられないとして、日本の今の制度では、混入が5%までであれば、「遺伝子組み換えでない」と表示することが認められています。

同様の表示は外国の制度にもありますが、EUでは0.9%未満、オーストラリアやニュージーランドでは1%以下、韓国では3%以下などと、日本よりも厳しい基準になっているということです。