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 親欧州連合(EU)派のエマニュエル・マクロン前経済相(39)が1位となったフランス大統領選の第1回投票で、投開票後にマクロン氏が開いた「祝賀パーティー」に批判が集まっている。反EUを掲げ、2位で決選投票に進出を決めた右翼・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン氏(48)の陣営は「もう選挙が終わったような態度だ」と批判。身内からも「油断しすぎだ」との声が出た。

 第1回投票でマクロン氏は得票率24・01%と、ルペン氏を2・71ポイント上回った。1位が確実と伝えられ、支持者への演説を終えると、文化人が集まることで知られるパリ・モンパルナスのビストロ「ロトンド」で祝賀パーティーを開いた。

 これにルペン氏がかみついた。翌朝出かけた仏北部の市場で記者団に「ここは『ロトンド』とは大違い。私は国民のそばにいる」と、投資銀行出身のマクロン氏に対抗する「庶民派」の立場を強調。フロリアン・フィリッポFN副党首も「メディア、銀行からのマクロン氏の取り巻きがもう選挙結果を決めてしまったかのようだ」と批判した。

 マクロン氏は「運動員らのためのパーティー」と説明したが、実際には多数の文化人、俳優、有名政治家らが参加していた。

 仏週刊新聞「カナール・アンシェネ」は、「ルペン氏陣営に利用される恐れがある」との側近の懸念を振り切ってマクロン氏が開催に踏み切ったと伝えた。独立系候補として出馬したマクロン氏の政治運動「前進」幹部は「我々は謙虚でなければならない」。マクロン氏支持を決めた最大野党・共和党でも、サルコジ前大統領に近い市長の1人はFN候補が15年ぶりに決選投票進出を決めたことを指摘し「祝っている場合ではない」と苦言を呈した。(パリ=喜田尚)