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 長く軍事政権による検閲が続いたミャンマーで初めての「国産ポルノビデオ」が販売され、話題になっている。フェイスブック(FB)で宣伝され、業者に注文が殺到したが、すぐに警察が捜査を開始し、業者のFBアカウントは閉じられた。政府は「国のイメージの悪化につながる」と業者の特定を進めている。

 「バイオレット オブ ミャンマー」と名付けられた映像の広告がFBに登場したのは24日朝。「アート オブ ミャンマー プロダクション」というアカウントからの投稿だった。宣伝ビデオには民族衣装のロンジー姿のミャンマー人の女性看護師が登場し、5千チャット(約500円)と1万チャットの2種類が売り出された。

 通話アプリ「バイバー」で業者に連絡すると振込先の銀行口座情報が送られてくる仕組みで、フェイスブックを通じて話題が一気に広がった。業者は翌日、「2千件以上の申し込みでバイバーがクラッシュした」と書き込んだが、FBのページはすぐにアクセスできなくなった。

 大統領府は朝日新聞の取材に「広告が出てすぐに警察に捜査を命じた。この国で初めてのことで、取り締まりが必要だ」と説明した。

 ミャンマーには、わいせつな本や絵などを展示したり売ったりすることを禁じる法律がある。施行されたのは、植民地時代の1861年。軍事政権時代は厳しい検閲があり、テインセイン前政権下の2014年に緩和された。スマートフォンの普及で無料のポルノ動画は出回ったが、公に販売業者が現れたのは初めてという。(ヤンゴン=染田屋竜太)