本格的な春を前に、人気のガールズイベントが続く。ひな祭りに開かれた、リアルクローズの祭典「東京ガールズコレクション(TGC)」は、近年、規模が拡大し、エンターテインメントの要素が強まった。一方、人気雑誌が開いた「Canコレ!」は、モデルへの共感で読者の「気持ち」を動かす。多様化する「ガールズ戦略」が見えた。
香里奈、佐々木希、 トリンドル玲奈…TGCの全幕を写真特集今年注目のデニムやダンガリーシャツにエスニック風のスカートを組み合わせ、野外フェスティバルに集まる女の子をイメージしたカジュアルライン。そして、つばの広い帽子にミニのトレンチコートを合わせ、上品なセクシーさの漂うエレガンスライン。
デビュー25周年を迎えたブランド「セシルマクビー」は、TGCが始まった2005年から参加する。プレスチーフの中道あすかさんは「TGCの規模が拡大し、ファッション以外の要素が増加。服に興味がなく、ブランドを知らない観客も増えてきた」と、異なる好みの服をショーで並べた理由を話す。
■規模が拡大 エンタメ増
第1回は約1万3千人だった来場者数は、14回目の今回は2万7千人に。イベントでクリスタル・ケイ、西野カナなど数多くのアーティストが歌を披露。人気テレビ番組や映画とタイアップした舞台で、若い女性を引きつける。
TGCの企画・制作を行う、F1メディアの村上範義チーフプロデューサーは「エンターテインメント要素が増えているのは事実。いろんな人や企業が(プロモーションを)仕掛けやすい“箱”として、TGCは存在している。目指すのは女の子の祝祭」と語る。
「元気なもの、面白いことが集まる中に、我々の服が入っていけるだけで十分」と、変化を前向きに捉えるのは「マウジー」「スライ」のブランドで知られるバロックジャパンリミテッド。4月にデビューする2ブランドをステージに投入した。
流行のシャーベットカラーにネオンカラーを組み合わせ、ガーリーでポップな世界を見せたのは「フィービリー」。「ツインルーム」は、ボーダーのタンクトップや細かい花柄のワンピースに、シャーベットカラーを刺し色に使った。
二階戸貴志ブランドプロデューサーは言う。「カワイイものに対して前向きで発信力がある女の子たちが集まるのがTGC。まずブランドのことを知ってもらえれば」
■モデルが踊る「Canコレ!」
押切もえ、蛯原友里、安座間美優、舞川あいく。人気ファッション誌「CanCam」「AneCan」(小学館)の専属モデルたちが、ステージで踊る。「前代未聞! 踊るファッションショー」と銘打ったイベント「Canコレ!」が2月、東京で開かれた。
「東日本大震災から1年が経ち、長期的支援のためにファッションに何が出来るのだろう、と考えたのがきっかけ」と語るのは嶋野智紀・女性誌編集局プロデューサー。被災した縫製工場を持つブランドの「復興支援アイテム」をショーや特設サイトで紹介。洋服購入代金の一部が義援金として寄付される仕組みをつくった。
両誌はこれまでも読者の消費意欲をかき立てるイベントを行い、「モノを動かす」ことで雑誌の求心力を高めてきた。「今後はさらに先に進んで、読者の気持ちを動かしていきたい」と嶋野プロデューサー。
押切もえ、舞川あいくは実際に被災工場を訪問。3カ月にわたるダンスレッスンの模様も公式サイト上の動画で公開してきたという。(竹端直樹)