中村紀洋氏、浜松開誠館のコーチ就任へ ホームランバッター育成に意欲
近鉄、中日、楽天などでプレーし、ノリの愛称で親しまれてきた中村紀洋氏(43)が、浜松開誠館(かいせいかん)高校(静岡)の野球部コーチに就任することが26日、分かった。通算2000安打を達成し、メジャーリーグの経験もある選手が高校野球を指導するのは異例。既に学生野球資格を回復しており、ホームランバッターの育成に意欲を示しているという。後日、同校で就任会見が行われる見通しだ。
いてまえ打線の中心として01年近鉄のリーグ優勝に貢献し、05年にはメジャーに挑戦、13年には通算2000安打も達成した中村氏が、高校野球の指導者としてグラウンドに帰ってくる。浜松開誠館高でコーチを務めることになった。日米通算23年間で2106安打、404本塁打、これほどの実績を積んだ選手が高校球児を指導するのは異例だ。
中村氏は14年にDeNAを退団後、正式な現役引退表明はしていない。現在は兵庫・西宮市でスポーツスタジオ「N’s method」(エヌズ メソッド)を運営している。同スタジオ前で本紙の取材に応じた中村氏は「正式に決まったわけではないです。今度、理事長と会って話すので、そこでしっかり(皆さんに)話せばいいのかなと思っています」とし、明言は避けた。16年2月には学生野球資格を回復しており、関係者によると「自分がこれまでやってきたことを(高校球児に)教えたい。ホームランバッターを育てたい」と熱意を持っている。
浜松開誠館高は1924年、誠心高等女学校として創立した私立校。98年の共学化に伴い現校名に変更された。文武両道で知られ、女子バスケットボール部は昨年全国高校選抜(ウィンターカップ)で8強入りしたほか、男子サッカー部は昨年県選手権で準優勝している。
野球部は共学化に伴い創部され、02年に野球場が完成。03年秋季大会で春秋通じて初の県大会進出を決めた。13年には、78年センバツで浜松商を優勝に導き、04年春に常葉学園菊川(現常葉大菊川)監督として甲子園出場した磯部修三前監督を招へいした。
磯部監督が左足の古傷のため勇退し、今年3月から元中日選手の佐野心氏(50)が監督に就任。佐野監督との縁で中村氏のコーチ就任が実現する見込みとなった。甲子園は春夏ともに未出場。夏は昨年の県大会4回戦が最高成績だ。同校を初の甲子園に導くことが、中村氏の新たな夢となりそうだ。
◆中村 紀洋(なかむら・のりひろ)1973年7月24日、大阪市生まれ。43歳。渋谷(しぶたに)高から91年ドラフト4位で近鉄入団。05年ドジャース移籍。同年オフにオリックス入り。07年、中日入りし日本シリーズMVP。08年オフに楽天へFA移籍。11年5月から横浜(現DeNA)に入団し、14年限りで退団。本塁打王1度、打点王2度。NPB通算2101安打、404本塁打、1348打点。右投右打。
◆元プロの学生野球資格回復 13年から元プロ関係者が、プロ、アマ双方の研修を受講し、高校、大学で指導できる制度が設けられた。同制度による昨年度までの適性認定者は計1000人を超える(現在喪失中を含む)。野球殿堂入りしている者に限っては、今春から研修を免除。プロ側の面談、アマ側のリポート提出を経て、資格回復が認められる。