じゃらんnet>じゃらんニュースTOPページ>関東>隠れた実力店も!ラーメン官僚が直近1ヶ月間に食べ歩いた店舗から厳選する激ウマラーメン店10軒
日中はもちろん、朝晩の寒気も徐々に薄らぎつつある陽春の候。寒さが和らげば、外出がはかどる。外出がはかどれば、ラーメン食べ歩きもはかどる。良いこと尽くめだ。
「光陰矢のごとし」という言葉があるが、月日の流れは本当に早い。
前回、新店特集を書かせていただいてから、はや1ヶ月が経過した。その間、私は60杯以上のラーメンを実食したが、これらの中にも、是非皆さんに紹介し、私が味わった感動を分かち合いたいと感じた1杯がたくさんあった。
そこで今般、ややイレギュラーではあるが、直近1ヶ月間に私が足を運んだ店舗の中から、特に強く印象に残った店を10軒選りすぐってみることにした。
今回ご紹介する店舗は、新旧にこだわらず、今年オープンした新店「8軒」とオープンから年数が経過した人気店「2軒」とした。ビジュアルも味も千差万別だが、いずれの店の1杯も、「ラーメン」という食べ物の魅力が存分に堪能できる趣深いものばかりと自負している。
ご一読いただき、心に引っ掛かったお店があれば、思い切って足をお運びいただきたい。そして、この記事がキッカケとなってお気に入りの1杯を見つけていただければ、私にとってこれ以上の喜びはない。
都内唯一の中核市に指定されている八王子は、駅から20分も歩けば浅川の清流に抱かれ、遠方に山麓を望む風光明媚な土地柄。
『八王子響』は、本年1月、そんな八王子の地にオープンした新店だ。店主は、都内の複数の人気店で修業。この度、満を持して独立を果たした。
店主が手掛けるレギュラーメニューは、八王子ラーメンと背脂煮干しラーメンの2種類。
特に、八王子ラーメンは、店主がこよなく愛する思い入れのある1杯。その思いは、メニューの名を「ラーメン」とし、券売機の筆頭に掲げたことからも伝わってくる。
優麗な琥珀色の醤油スープと、骨太な中細ストレート麺のコラボレーション。スープの表面に層を形成する自家製ラードから立ち昇る芳香が鼻腔をくすぐる。
豚骨の豊かなコクと香味野菜のナチュラルな甘みを巧みに掛け合わせ、煮干し・昆布から採った出汁をブレンド。じわりと味蕾に沁み込む昆布のうま味が心地良い余韻を誘う、会心の出来映えだ。
店舗のロケーションは、JR南武線尻手駅から徒歩1分程度と至便。
『元祖ニュータンタンメン本舗』は、「ニュータンタンメン」の専門店。「ニュータンタンメン」は、神奈川県・川崎市で生まれた京浜エリアのソウルフードであり、『元祖ニュータンタンメン本舗』は、同メニューの全国への普及にまい進するチェーン店だ。
チェーン店とはいえ店舗によって個性があり、店ごとに熱狂的なファンを抱えているのが同グループの特徴。とりわけ、こちらの『尻手店』は、提供するメニューのクオリティが高いことで有名。
画像は、看板メニューである「タンタンメン」の大辛。
塩ベースの清湯スープに、挽き肉・ニンニク・溶き卵と粗挽きの一味唐辛子を配した典型的な「ニュータンタンメン」の出で立ちだが、同店の1杯は、これらのアイテムのスープへの馴染み具合が圧倒的。レンゲでスープをひと掬いし口元へと運べば、大量の一味・挽き肉・溶き卵が頬をゆるませる。
JR王子駅の改札口を出ると、店はもう目の前。そんな絶好のロケーションに店舗を構えるのが、こちらの『雄山』。
同店のオープンは本年3月。前回ご紹介した『らぁ麺山雄亭』のセカンドブランドであり、オーナーは、都内屈指のラーメンテーマパーク『立川ラーメンスクエア』のトライアウトで優勝した『らーめんえんや(現在休業中)』のご主人だ。
『山雄亭』が手掛けるのが、「自分が作りたい創作淡麗ラーメン」だとすれば、こちらで提供されるのは『山雄亭』とはテイストが真逆な「二郎インスパイア系」。
ボリュームこそ、一般的な同系のラーメンよりも穏やかだが、完成度は驚愕の一言。思わず「美味い!」と声を上げてしまったほどだ。
甘辛いタレの風味を明確に表現しながらも、豚骨を徹底的に炊き上げしっかりと乳化させたスープは、レンゲを持つ手が止まらない蠱惑的な味わい。極太でありながら啜り心地が軽快な麺も、クオリティの底上げに大きく貢献する。
2011年4月に住吉の地で産声を上げた『麺屋中川會』。
店主・中川氏は、11年当時、激しい生存競争の最中にあった「豚骨魚介つけ麺」に敢えて挑戦。幾度もの試行錯誤の結果、見事、多くのライバルから抜きん出ることに成功した。
今回御紹介するのは、そんな『中川會』の新店だ。錦糸町・曳舟・神保町で営業していたが、この度、第2の花火を打ち上げるため、神保町店を畳み住吉へと凱旋。
看板メニューは「醤油そば」。
いただき始めて、まず味覚に強く刻み込まれるのはタレ。各地の名門醸造所の醤油を絶妙なバランスでブレンドし、日本刀のように鋭利な切れ味を演出。
スープは、鶏・椎茸を用いた出汁と昆布・ホンビノス貝を用いた出汁を2:1の割合で掛け合わせたもの。鶏の滋味がピンポイントで舌蕾を直撃する構成は、見事の一言に尽きる。
鶏油にフォアグラを仕込み、フォアグラソースとの相乗効果により妖艶な薫りを演出するギミックにも、ニンマリしてしまう。
『倭寇』と書いて「ガラ」と読ませる、特徴的な屋号が実に印象深い蒲田の新店。
同店が店舗を構えるのは、前回ご紹介した『狐狸丸』の線路を挟んだ向かい付近。佇まいは、庶民的な店構えのラーメン店が多数を占める蒲田エリアの中では、かなり厳かな雰囲気。まさに、大人のための1軒といった面持ちだ。
入口近くにテーブル席、その奥の厨房付近にカウンター席を配した店内は、簡素でありながら清潔感を兼ね備え、大切な人との酒席にも活用できそう。
人気メニューは、何と言っても『パーコー麺』!
鯖がふわりと薫るスープも良いが、全粒粉入りの自家製麺は稀有な逸品。プニッとした独特の食感が絶妙なアクセントとして機能する。
特筆すべきは、ラーメン店で味わえるのが信じがたいほどハイクオリティな「パーコー」。上質な油でカラッと揚げた肉厚の衣から、豊かな肉感とサクッとした噛み心地を両立させた豚肉に至るまで、何枚もお代わりしたくなるほど規格外だ。
多摩エリア随一の人口集積地であり、かつ、都内唯一の中核市に指定されている八王子市。そんな八王子の中でも特に、鉄道駅周辺の繁栄ぶりは東京23区も顔負けの状況。ラーメン専門店の数も極めて潤沢だ。
本年2月16日、そんな同地で産声を上げたのが、今回ご紹介する『麺処鴨と軍鶏』。
屋号としてストレートに表現されているが、同店は「鴨」と「軍鶏」に徹底的にこだわる1軒。とりわけ、「丸鶏軍鶏らーめん」は、貴重な東京軍鶏の雄を用い、その丸鶏から、うま味を一滴残らず搾り取った同店渾身の限定メニューだ。
鰹節・利尻昆布・あさりなどを適度に加えることで、軍鶏特有の高らかな薫りをより一層フィーチャーさせるギミックも、「ラーメンづくり」を熟知している者の所業。
数多くの実力店を輩出する『大和製作所』で学んだノウハウが、ラーメンの内容に余すところなく投影されている。丼からオーラさえ立ち上る超新店級の1杯に、頬が落ちること必至だ。
ラーメン激戦区である高円寺、阿佐ヶ谷、荻窪を擁する杉並区。同区には、新進気鋭の人気店から、戦後間もない時期に創業した老舗や街の中華料理店に至るまで、ハイレベルなラーメンを提供する店舗が数多く存在する。
本年2月15日にオープンした新店『拉麺麺くま』も、きっと、これからの杉並ラーメンシーンに華を添えてくれるだろう。同店は、久我山を代表する中華料理店『熊(世田谷区)』のセカンドブランド。『熊』は、1968年に『錦楽』という屋号で創業。地元に根付いた中華の名店として、半世紀もの歳月を重ねてきた。
同店の基本メニューは「らーめん」。1号店である『熊』のラーメンと同様、艶やかな芳香を放つ香辛料が味の決め手。香辛料の風味を強力に後押しする香味野菜の甘みも、惹きを創り出す要素として機能する。
特筆すべきは、本店から直送される自家製麺のクオリティ。鏡面のように滑らかな麺肌とシコっとした歯触りが心地良い余韻を刻み込む、老舗ならではの逸品だ。
「渋谷の『らーめんはやし』に惚れ込みましてね。あの1杯に少しでも近づこうと試行錯誤しています」と店主。
店主・橋本氏は、つけ麺の名店『東池袋大勝軒』で修業。その後、『シンガポール大勝軒』の店長を経て、この度帰国。本年2月25日、自店である『麺屋はし本』をオープンさせた。
私がいただいたのは、「味玉らー麺」。店主の修業の成果を総動員して創られるスープは、敬愛する『はやし』をオマージュしながらも、サラリと清涼感のある飲み口に確かな独自性が認められる。
鶏・豚を始めとする動物系素材と、鰹節・鯖節を始めとする魚介系素材とが奏でるうま味の黄金律に、思わず、感動のため息がこぼれてしまった。
『中華そば青葉』以来の伝統を有する正統派の動物+魚介系ラーメン。食べ慣れたはずの味でも、細部にまで手を抜かず丁寧に磨き上げれば、ここまで心揺さぶられる1杯になるのか。
ラーメンという料理の奥深さを改めて実感させられた。
ご紹介する『煮干しラーメンとローストビーフパリ橋』は、本年2月、埼玉県幸手市にオープンした新店。
店主は煮干しという食材の奥深さに魅了され、独学で煮干しラーメンを開発。
「煮干ラーメン(青)」と「煮干しラーメン(白)」の2種類のメニューで勝負を挑む。前者は煮干しのコクを押し出し、後者は煮干しのうま味を強調したものだ。
おススメしたいのは「煮干ラーメン(青)」。
煮干し特有の苦みやクセを手間ひまを掛けて徹底的に排除。コクとうま味のみを切り出し、深みのある醤油ダレと合わせている。煮干しのみに頼ることなく、タレとの一体感にこだわる店主の考え方が伝わってくるようだ。
ローストビーフも、屋号に掲げているだけのことはあって抜群の出来映え。噛み締めるとジュワっと肉汁があふれ出す。これだけのスペックを揃えながら、価格はワンコイン強。そのコストパフォーマンスの高さにも、驚きを禁じ得ない。
横浜桜木町は、数多くの「ハマっ子」が闊歩する風光明媚な観光スポット。しかしながら、同エリアが、気どりのない大衆中華料理店のメッカであることは、あまり知られていないのではなかろうか。
ご紹介する『三幸苑』も、そんな店舗のひとつ。
桜木町エリアにおいて最も有名な大衆中華料理店のひとつとして知られ、とりわけ、「ちゃーめん」は、同店を訪れる客の過半数が注文するという名物メニューだ。
一見すると「油そば」に見えなくもない「ちゃーめん」だが、いただいてみると確かに、これまで経験したことがないような味わいが口内を侵襲する。
麺は、他のラーメンジャンルでは考えられないほど柔らかく茹でられ、かつ、尺(1本の長さ)が極めて短い。麺全体をくまなくコーティングする甘辛いタレ、味に絶妙なジャンクさを与える液状油の破壊力も抜群。
短尺麺であることから、おつまみ感覚で食べ進められる点も大きな魅力だ。
※この記事は2017年4月1日時点での情報です
■連載第1弾!ラーメン官僚が推す山手線沿線の激ウマラーメン店10軒~前編~【東京】
■連載第2弾!ラーメン官僚が推す山手線沿線の激ウマラーメン店10軒~後編~【東京】
■総力特集!ラーメン官僚が選ぶ、東京の「今」が分かるラーメン店
■すべての店舗が最高水準!ラーメン官僚が選び抜く!オープン3ヶ月以内の激ウマラーメン店10軒(東京近郊)
通称「ラーメン官僚」。ラーメン食べ歩き歴20年以上、実食杯数は11,000杯以上に及ぶ。直近の数年間は、毎年700杯~800杯のラーメンをコンスタントに実食。2016年現在、日本でラーメンシーンの「今」を最もよく知る人物。