ビットコインによる送金を、現行の銀行のシステムによる送金と比較すると、手数料、利用可能時間、即時性などの点で、すでに銀行システムより優れている。送金コストはゼロではないが、後述する「オフブロックチェーン」という手法を用いて、コストゼロで送金するサービスも提供されている。ビットコインを決済手段に用いる際の問題点として、価格変動の激しさが指摘されるが、ビットコインを直ちに円などの現実通貨に転換するサービスも存在する。すでに銀行を超えた送金の便利さをもっている。

ビットコインになぜ
手数料があるのか?

【ビットコインになぜ手数料があるか?】

 ビットコインを用いて送金する場合のコストとしては、(1)ビットコインそのものの送金手数料(2)現実通貨への両替に伴う損益がある。

 これらは性格が異なるので、区別する必要がある。

 後者については、ビットコインの価格変動が激しいので、時間がたつと、大きな損益が発生しうる。また、海外に送金する場合には、為替レートの問題も関連する。

 ビットコインの送金手数料は、非常に低い。しかし、ゼロではない。

 ビットコインのシステムには中央管理者がいないにもかかわらず、なぜ手数料がかかるのだろうか?

 それは、ビットコイン取引の記録作成作業を行なっているコンピュータ(「マイナー」と呼ばれる)に手数料を支払う必要があるからだ。

 マイナーの作業には、電気代などがかかる。それにもかかわらず作業を行うのは、報酬があるからだ。報酬には、新しく発行されるビットコインと取引手数料が充てられる。

 なお、ビットコインの発行上限は決まっているので、そこに達すれば、新規発行は終了する(ビットコインの残高は、現時点では約1500万ビットコインだが、2140年頃に2100万ビットコインとなって、それ以上は増えない。その後は、手数料だけがマイナーの報酬になる)。

 報酬を受け取れるのは、PoW(Proof of work)と呼ばれる計算作業を最も早く完了したマイナーだ。