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ほぼ日、上期売上高27億1,500万円 糸井重里氏「上場したおかげで前に進む効果もある」

ほぼ日、上期売上高27億1,500万円 糸井重里氏「上場したおかげで前に進む効果もある」

2017年8月期第2四半期決算説明会

篠田真貴子氏 篠田でございます。今日はよろしくお願いいたします。 私からは、第2四半期までの概況をお伝えいたします。続きまして、糸井から全体の事業内容と今後に向けてのお話をさせていただこうと思います。よろしくお願いいたします。 ではまず、今日お伝えしたい第2四半期のポイントが3つあるのですが、今日初めてお話しさせていただく方もいらっしゃいますので、まずは当社の売上規模の過去5年間の推移をお見せします。 th_四半期決算説明会資料_IR用 5 今期の売上予想が38億1,700万円、経常利益が4億8,400万円でございますが、過去を見ていただきますと、10パーセント超伸びる年とわりと平らな年を交互に繰り返しながら、結果的にここまで来てまいりました。 経常利益の(前期比増減率の)パーセントとしては、13パーセント前後をキープしております。今年は前年の売上実績、37億6,700万円に対して、38億1,700万と微増を見込んでおります。(棒グラフが)3色ありますが、(青色が)主力商品のほぼ日手帳で売上の約7割、金額にすると25億2,900万円を見込んでおります。

上半期決算の概要1(Q2累計P/L)

th_四半期決算説明会資料_IR用 6 この予想に対して、第2四半期までの実績でございます。予想では売上26億7,800万円、経常利益7億300万円を見ておりましたが、若干上回るかたちで着地しております。 実績では、売上が27億1,500万円、予想に対して1.4パーセントプラス。経常利益は7億1,400万円で1.6パーセントのプラスです。 売上予想38億円と言っているうちの27億円を達成しており、利益は4億8,400万円の着地だと言って、7億円を超えています。 主力商品の手帳の売れる時期が秋から冬に重みがありまして、そこの季節変動の影響で第2四半期までに売上と利益が多く出て、その後は売上が下がり、利益が赤字になるという構造になっています。ちなみに前年比のところも、通年の予想とほぼ同じようなかたちで推移しています。

上半期決算の概要2(売上区分別)

th_四半期決算説明会資料_IR用 7 今のところをちょっと細かく見ていきます。これは第1四半期の前期・当期、第2四半期の前期当期、累計という図です。 第1四半期の売上は前年に比べて10パーセント以上伸びているのに対して、第2四半期の売上は下がっております。 それはなぜ起きたかというと、(グラフ)青色の「ほぼ日手帳」の売上が第1四半期の9〜11月は増えて、12~2月にかけては落ちたという実績になりました。 内容を見ますと、部数では約6パーセント伸びておりますので、単純に計算をすると、1部あたりの単価が下がってきたかなというのが現状です。 ここは海外と国内で原因が違いまして、海外は前年度に売上も部数もかなり伸びましたが、実は単価も非常に高かったです。 当社の「ほぼ日手帳」は、本体にカバーをかけていただく仕様になっているので、カバーを毎年買い替える方以外にも、中身だけ買い替える方がいらっしゃるので、カバーの数は本体よりは売れないのですが、海外では去年、本体よりもカバーのほうが数が出るというちょっと異常な売れ方をしていました。 そこがちょっと落ち着いてきたということで、部数は伸びていても金額的には売れなかったということが起きています。その動きが12月以降に現れてきたということです。ここまでがこの第2四半期までの主な動きの重要なポイントでした。

上半期決算の概要3(販路別)

th_四半期決算説明会資料_IR用 8 あとは参考までにという感じですが、販路別でいきますと、第1四半期、第2四半期、累計がありまして、とくに構成比が大きく変わっているものはありません。 当社は主力商品の手帳を9月1日に店頭発売する関係で、主要の直販ではない販路に、次年度分の売上が8月に立ちますので、今年度の最後の8月に卸分が増えて、最終的な年度の仕上がりになります。

上半期決算の概要4(地域別)

th_四半期決算説明会資料_IR用 9 次は、国別のスライドになっています。先ほど申し上げたように、第1四半期はとくに海外が大きく伸びたことが見ていただけると思います。 一方、第2四半期累計に関しては、国内がマイナスになっていますが、こちらは前年に比べて売れ筋のカバーの価格帯が変わりました。正直に言って、毎年デザインを刷新していくなかで、「何が売れ筋になるか」というのはその年その年のトレンドがあります。 前年はかなり高額の価格帯のカバーが売れたのに対して、今年はもうちょっと価格帯が安いところに人気が集中したということになっています。

上半期決算の概要5(17/2末B/S)

th_四半期決算説明会資料_IR用 10 では、バランスシートを簡単にご紹介します。 前年の第2四半期末は監査を受けていないので、前期8月末との比較になっていますが、ポイントは、商品の売上に季節性があるために、バランスシートにも季節性があるということをご留意いただければと思います。 8月末はこれから主力商品を売りますので、この(バランスシートの)中では大きくなっているのに対して、2月になるとだいぶ売りが進んでいるので、そこが少し落ち着いてきます。 流動負債に対しても同じことが言えます。こういう動きになっておりますので、そこだけお見知りおきいただければと思います。

上半期の取組み1(ほぼ日手帳・国内)

th_四半期決算説明会資料_IR用 11 あとは、これまでの活動を簡単にご紹介いたします。第2四半期、「ほぼ日手帳」については、「ほぼ日手帳2017 ミーティングキャラバン」という名前で、多くのユーザーの方に直接お会いして交流を深めていき、手帳の使われ方をよく教えていただいて次に活かすということを全国で行いました。

上半期の取組み2(ほぼ日手帳・海外)

th_四半期決算説明会資料_IR用 12 海外においても、「ほぼ日手帳」を通じて自主的に集ったユーザーグループがあって、最近も私ども社員が実際にその方たちに会いに行って交流を深めてまいりました。

上半期の取組み3(ほぼ日商品)

th_四半期決算説明会資料_IR用 13 手帳以外の商品はと言いますと、実績としては伸びております。第2四半期におきましては、金額的に大きかったのはアパレルで、その次が書籍になります。書籍は前年より出版点数が少し増えていることが金額が大きくなった要因です。 その他ですが、このあと糸井からも詳しくお話をさせていただきますが、当社は今、「ほぼ日手帳」が主な商品ですけれども、将来に向かって異なったコンセプトのサービスを複数立ち上げて、それぞれで違う顧客層と出会っていって、全体的な事業領域を広げていこうと考えています。

上半期の取組み4(TOBICHI)

th_四半期決算説明会資料_IR用 14 すでに着手している1つがこの「TOBICHI」です。ギャラリーショップのようなものをイメージしていただければと思いますが、そこで種々のイベントを行い、お客さまに来ていただいて、物販で収益をあげていくということをやりました。

上半期の取組み5(ドコノコ)

th_四半期決算説明会資料_IR用 15 それからもう1つ、新しく立ち上げたコンセプトの場が「ドコノコ」というSNSアプリで、犬や猫の写真でつながっていただくサービスです。 これは去年の6月にスタートして、3月までで12万ダウンロード、1日のアクティブユーザーが1万4,000というところで堅調に推移しております。 先日もユーザーが公園でミートアップをやりまして、すでにユーザーコミュニティが健全に立ち上がっています。

2017年8月期業績予想について

th_四半期決算説明会資料_IR用 17 下半期の見通しですが、着地見込みは上場時に発表したものから変えておりません。冒頭に申し上げましたように、上期でかなりの売上と利益を出しますので、差し引きで第3四半期から第4四半期に関しては売上が約11億円。経常利益は2億3,000万円の赤字を見込んでおります。

リスク情報(季節性の変動について)

th_四半期決算説明会資料_IR用 18 去年の実績なんですけれども、手帳という季節性のある商品が売上の7割を占めるために、売上としても波打ちますが、販売関連費用以外は基本手帳を売っていても、売っていなくても短期間には変わりませんので、販売費は下期にかけて赤字になるというかたちになっております。 私からのご説明は以上です。ここからは、糸井にバトンタッチをいたします。

株式会社ほぼ日とは

糸井重里氏 よろしくお願いします。前にここでお会いになっている方はどのくらいいらっしゃいますか? 初めて会う方も多いですね。 では簡単に言いますと『ほぼ日刊イトイ新聞』というWebメディアをずっとやってきて、数字が出ているのは、手帳のお話が主だったものですから、どうしても手帳を製造販売している会社だと思われることが多かったわけです。 実際に売れている数字を見ても、手帳が僕らに飯を食わせているという状況になるものですから、3月の段階ではそれ以外の数字に表れにくい部分について、自分たちの会社の特徴をお話しすることが非常に難しかったんです。つまり、何も商売になっていないのに、ホラを吹いているように聞こえてしまう要素があるようになってしまうので、言えなかったんです。 その時から「なんとかわかっていただきたいな」と思っていたことは、自分たちは場を作って、その場に市を立てたり、情報の流通を作っていくことが得意な仕事なんだと。 そういう中に『ほぼ日刊イトイ新聞』というWeb上の場があって、その場に1つの流通する商品というかたちで「ほぼ日手帳」があって、仕事になっているんだということを言ってきたんですけれども……。それだけが数字として表れてきてしまうものですから、自分たちがやってきた「場を作って仕事をしていくんだ」という部分が伝えにくかったんです。

下半期の取組み1(生活のたのしみ展)

th_四半期決算説明会資料_IR用 19 上場した日が3月16日なんですけど、その10日後に「生活のたのしみ展」というイベントが行われました。 その時までは僕らも、説明することがなかなか難しいと思っていましたし、受け止める側もわかりにくかったんですけど、雑貨であるとか、趣味であるとか、生活に関わるさまざまな要素で楽しみを得るようなもの、それぞれに作家がいたり、販売店があったり、メーカーがあったり、そういう人たちが一堂に会して、お客さんがそれを経験したり、買ったり食べたりするという、いわば見本市のようなものがそのままブランドになるという計画だったわけです。 それを六本木ヒルズで3日間行いまして、入場者数はカウントしてませんが、大好評のうちに終わりました。 それぞれのお店が今までなかったような売上をあげて、大人気になってくれたおかげで、経済系のメディアの方々もいらっしゃっていまして、「説明を受けていたときよりも、ここ(イベント会場)に来たほうがよくわかる」とおっしゃっていただきました。 つまり、こういう場を作ることの中に、商品という形のコンテンツが流通していくということの、非常にわかりやすいモデルケースになったイベントがありました。 もちろん自分たちはそれがうまくいくと思ってやっていましたが、始まる前に「それはどうなんだろう?」と聞かれたことに対して、「いや、絶対うまくいくんです」とはなかなか言いにくかったものですから、こういう場でもお伝えしにくかったんです。 それが思っていたとおり、あるいは思っていた以上に好評に終わりまして、六本木ヒルズの運営をしている森ビルの方々も、未だかつてない人出と売上を見たら驚くと思うんですけど……そういうことがありました。 自分たちがやってきたことが、1つのモデルケースとしてお目見えしたということは、上場前の発表の部分では入っていなかったんですけど、「こういうことがやりたいんだ」という見本が見せられたいい機会になったと思っています。 先ほどの「ドコノコ」の話も同じなんですけど、自分たちがコントロールすることを最低限にしながら、ユーザーたちが自分たちの場を作っていくことができています。 今ある『ほぼ日刊イトイ新聞』という、主に自分たち発の情報を出してくれるのとは違って、「ドコノコ」はそれぞれの犬や猫の情報がみんなのところに伝わっていくということで、「犬猫のFacebook」と言ってしまうと一番簡単だと思います。 そんなことをしているのですが、Facebook以上に穏やかに進行していく理由は、自分ではなく犬や猫が主人公なので、自分の実際の生活がどのくらい豊かであるかをひけらかす必要がないわけです。それによって、ある程度穏やかなやりとりが続いてるという状況です。

下半期の取組み2(人員採用)

th_四半期決算説明会資料_IR用 20 ほかにも、まだ事業になっていないものについて話すのが非常に難しかったんですけど、上場してからますます加速できたことがいくつもあります。その内の1つ、学校のプランが動いています。 「上場してお金をどう使うんですか?」という質問をもう何十回と聞かれてきたんですけど、「人に使います」と言ってきました。 人に使うということの中には、「どういう人を探すか」ということも入っているわけで、IT系の会社などでは、学生を見つけて、自分の会社の社長にしたという例もあるくらいです。 人に使うということのスケール感が非常に大きいということはわかっていたのですが、探す手間がなく「ちょうどいた!」という人が、同じような時期に2名見つかりました。 もう雑誌などに出ていたり、出版社関係では話題になっているのでご存知かもしれませんけど、新潮社の重役でもあり、『考える人』という雑誌の編集長だった河野(通和)という方が、ちょうど「何も予定してないよ」という状態で退社して、僕らのところに挨拶に来てくれました。 それで「ちょうど河野さんのような人がほしかったんですよ」と言っていたのが学校(のプラン)です。 今、自分たちがやろうとしているプランは、今の世知辛いビジネスのところで、ちょっとだけ得をする方法を学ぶのではなくて、「古典に返って、古典を学ぶ学校をやろう」と考えていたので、ちょうど河野さんに相談に行きたいと考えていたわけです。 ちょうどそこに、その人がフリーの身でいてくれたということで、さっそく口説きまして、弊社に入ることになってくれました。それが1人です。 もう1人は、東大の原子物理学の有名な教授で、退官したばかりの早野龍五さんという方です。ほかにも役職は持っていらっしゃるんですけど、「うちの手伝いをしてほしいんだ」と言って口説きました。 早野さんと河野さんがうちに入ったのはラッキーとしか言いようがなくて、人材を探す手間のいらない「僥倖人事」が行われまして、4月は社内が非常に沸いています。 もう実際にいろんなことが始まっていますが、そこで行われることは、自分たちのコンテンツで場をつくっていく、場でコンテンツをつくっていくという、流通のうずまきをつくっていくための大きな力になっていただくお二方が入ったと考えてくださっていいと思います。 前に目論見書などで少しだけ紹介していた、地球儀のプロジェクトであるとか、あるいは「TOBICHI」というギャラリーで「何を、どのように、人々に展開していくか」ということについても、さらに深みのある展開ができるようになっていくのではないかと思います。 今はまだ自分たちで考えたことをやっていますけど、奥行きのある展開ができるようになっていくということで、自分としてはもう少しゆっくりやるつもりでしたけど、思ったより早く動き出したので、慌てているくらいに加速がついている状況です。 実際の数字になって表れるのはまだまだ先ではあるものの、「今年に出発できるね」という目処がだいぶ立ってきましたので、来年の今頃にみなさんにお会いするときには、少なくとも芽が出ている状態でお話ができるのではないかと思います。 前から申し上げているとおり、急いでやるという意識はなるべくやめようと思っているのですが、急がなくてもここまで育っているという状況で、みなさんに折々のニュースとして届く部分はあると思います。 1年が経ったときには、「あれですけどね……」ともうちょっと指示代名詞で言えるようなプロジェクトがいくつか見えるようになっているのではないかと思います。 その準備がとても楽しく行われておりますので、上場したおかげで前に進む効果もあるような気がしています。 そういうことも含めて、自分たちの仕事が加速していて、目の前のことについては、先ほど篠田が話したとおりですが、もうちょっと、自分たちのキャッチフレーズでもある「夢に手足を。」という部分の手や足が動き出した実感が、4月にしてもうあります。 くたびれないようにやっていきたいとは思いますけど、1年後にまた楽しいご報告ができることを自分たちも期待しております。ざっくりとした話にはなりましたが、こんなところです。

  
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