「コンサルに丸投げ」する会社が崩壊するワケ
会社の経営指針は社長が決めなければダメだ
筆者は講演会などを通じ、会社経営者から「どのように経営方針を定めればよいか」といった相談を受ける機会が頻繁にあります。話を伺うと、大企業では、経営コンサルタンティング会社と契約して経営戦略を作成してもらい、それを基に経営を進めていくところが多いようです。それはそれで、1つの方法であろうかと思いますが、経営コンサルティング会社から出てきた経営戦略をそのまま行った場合、大抵は失敗するように思います。
大阪で活躍していた外資系のコンサルタンティング会社と契約をしていた数社の大企業が「少しも当たらないじゃないか」「役に立たないではないか」ということで、悪評が立ったことがあります。
しかし、これは経営コンサルティング会社の責任とはいえません。経営コンサルタントの使い方を承知していなかった経営者、社長の責任であるということです。
コンサル会社を使うこと自体は良いこと
筆者は経営コンサルティング会社を使うことは良いことだと思います。コンサルタントを活用するのは、松下幸之助が繰り返し語っていた「衆知を集める」という観点からみても悪いことではありません。しかし、その経営コンサルティング会社の出してきた報告書、結果を、あたかも神を信じるがごとく、そのまま、自社の経営戦略に組み込んでしまう会社が多いのが実情です。これは愚かなことです。経営者でありながら経営を知らない。まさに経営者として失格と言わざるをえません。
経営コンサルティング会社は、過去の資料や競合他社の実例を基に、あるいは、すでに標準化され、パターン化された形式を基に、理論的、合理的戦略を報告書としてまとめるだけです。いわば、過去の情報に基づいて纏(まと)めているのですから、経営に資するものがほとんどないのは、当然です。依頼された会社の「細部」を熟知しているわけではありません。内情を実際の肌で感じ、痛感しているのではありませんから、そのまま採用しても、経営改善に有効に働き機能するということはない。経営の本質、神髄は、社内の「細部に宿っている」からです。