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 政府は26日、5年に1度見直す新たな自殺総合対策大綱の報告書案を有識者の検討会に示した。自殺者数全体は減る傾向にあるが、未成年者は横ばいが続いている。このため若者向けの対策を強化。教職員らが夏休み明けに、自殺が起きやすい場所で重点的に見守り活動することを想定した取り組みなどを盛り込んだ。

 自殺者数は昨年まで7年連続で減っているが、未成年者は毎年500~600人台で推移。発生時期は夏休み直後に集中している。

 報告書案では「見守りの実施」や「ネットの活用」といった若者対策の項目が並んだ。文部科学省によると、具体的には夏休み明けに自殺がおきやすい駅や線路などで教職員が見守ったり、ネットに自殺の予兆がうかがえる書き込みがないかチェックしたりすることを強化していくという。

 また、学校現場での取り組みとして、「SOSの出し方教育」の実施やカウンセラーやソーシャルワーカーの配置を進めるとした。

 大人向けでは、長時間労働対策を進めるほか、職場の人間関係のチェックを重視していくとした。遺族対策として、必要な手続きや相談窓口に関する情報提供をさらに推進するとの項目も盛り込んだ。こうした取り組みで人口10万人あたりの自殺者数を示す「自殺死亡率」を今後10年間で3割以上減らす目標を掲げた。2015年の18・5を主要先進国並みの13・0以下にする。

 この日の検討会では、有識者から「学校を卒業した後の支援が弱い」「自治体に専門職員の配置を進めたい」といった発言があった。政府はこうした意見を踏まえるなどした上で、今夏にも新たな大綱を閣議決定する。(井上充昌)