育児で「子どもに泣かれる」夫に欠けた視点
即席で「イクメン」になることはできない!
「ワーママ」や「イクメン」がもてはやされ、共働きがあたかもこれからの“モデル世帯”のように語られる昨今。
しかし、職場に目を向けてみると、両者に対する会社からの目は厳しい。ワーママの場合は非主流のキャリアをぐるぐると歩むことに。育児を理由に仕事を休み、長時間労働をしないイクメンは、昇進をする気がないと見なされる。本人たちも、「宙ぶらりんの思い」にかられている。
彼らを支配しているのは、仕事と育児は対立するという考えだ。結果、妻が仕事を辞めて1人で孤独に育児を抱え込む「ワンオペレーション育児(以下、ワンオペ育児)」に陥ることも多い。
ただ、夫婦や祖父母などがチームとなって育児をしたからといって、最初から楽ができるわけではない。チーム育児をするうえで必要なこととは?
『育児は仕事の役に立つ』の共著者であり、ともに子育て中の研究者浜屋祐子氏と、教育学者の中原淳氏に聞いた。
育児のチームプレー、最初はけっして楽じゃない
中原:育児が“ワンオペ”からチームで行うプロジェクトとなった瞬間に、親同士の調整という要素が入る。さらに共働きになってくると、自分たちだけでは担えないので、父親、母親、外部という3項関係の中で、育児を達成しなければいけなくなる。そうなるとさらに育児は、チームプレーになってくる。
浜屋:で、チームプレーが楽かというと、それは必ずしもそうではないんですよね。特に最初のうちは、メンバーが増えることで、ややこしくなることも多いように思います。
中原:情報共有したり、調整したり、価値観の違う者同士で意見をすり合わせたり、一つひとつを話し合って、決定するのには時間がかかります。単純な「育児の実行」の部分でさえ、やっぱり母親ひとりでやったほうがうまくいくし、はやくできますしね。特に未就学児の場合は大概、「超絶ママっ子」ですから、妻がやれば3分で終わるおむつ替えも歯磨きも、僕がやると「ママがいいー」と、泣き叫んで10分かかるわけです。どちらが効率がいいのかと考えると、ロジカルに考えたら、ねえ……。
浜屋:とはいえ、仕事だって、得意ではないこともやってみないかぎり、いつまでも上達しないですからね……。
中原:はい、す、す、すみません(泣)。精進します。
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