無職一人で部屋にいると、
あまりの孤独感から
(ああ、もうダメだ死ぬしか無い!)
みたいな事を考え出すので、
どこか孤独とかけ離れた場所に緊急避難する事にしました。
そして考えた末に、
辿り着いた場所は「すたみな太郎」でした。
※すたみな太郎とは
焼肉とか寿司とかプリンとか焼きそばとかカレーとかを
バイキング形式で食べ放題する全国チェーンの店です。
お昼なら1200円位で、
なんで食べれるオイシイ一時を過ごせるのです。
人も沢山居る。
学生時代から何かにつけて何度も足を運んだものです。
「すたみな太郎には沢山の思い出がある。」
そんな人も多いのではないでしょうか?
誕生日に「すたみな太郎」
クリスマスに「すたみな太郎」
誰かの送別会に「すたみな太郎」
行事の打ち上げに「すたみな太郎」
安くて豊富な種類の食べ物があるすたみな太郎は
子供たちが行くには丁度よいお店だったのです。
そういえば、
中学時代の部活動の3年間最後のお別れ会も
「すたみな太郎」でした。
みんなで綿菓子を作ったり、
ゼリーを沢山持ってきて、
みんなでゼリーの早食い競争なんかをした記憶があります。
すたみな太郎には楽しい思い出が沢山あるのです。
その中学時代の部活動の部長だったタッキーから
「結婚式に来てくれないか?」
と連絡があったのは、それから10年ほど後の事でした。
10年間全く交流がなかったのですが、
私は何だか懐かしくなって、結婚式に行く事にしました。
結婚式といっても呼ばれたのは「2次会」です。
ジャケットを着て、
指定された2次会場のレストランに行くと
すでに他の同級生が来ていました。
10年ぶりだ・・・・ちょっと気まずい。
といっても私以外には一人だけ。
たった5人だけの弱小クラブでしたから、
まぁそんなものです。
席についてしばらくすると、
元部長のタッキーが壇上に立って、
マイクを持ってみんなに挨拶を始めました。
色黒の肌、筋肉質で大柄なカラダ、
(タッキーは変わらないなぁ・・・・)
そんなような事を同級生と話しました。
しかしタッキーの話はおかしかった。
よく見ると様子もおかしかった。
マイクを持ったタッキーは突然、涙を流しながら
「僕にはこれまで友達と呼べる人間が
一人もいなかった!」
などと言い出したのです。
要は、
「自分の人生は友達もおらず孤独だったが、
彼女と出会って結婚出来てやっと幸せになれた!」
と言う話しでした。
親戚の方?に奥へと連れて行かれるタッキー
酒のせいなのか?
タッキーは号泣しながら泣き叫んでいた。
ここで一つ素朴な疑問が生まれました。
(私達は友達ではなかったのか?)
友達だから結婚式に呼ばれたのでは無いのか?
私と同級生はジッと黙って、
目の前の料理を見つめていました。
確かに考えてみると、
私達の部活メンバーは会話も無く、とにかく暗かった。
絶望的に面白くないメンバーが5人集まったのです。
3年間、会話らしい会話は殆どありませんでした。
(何も思い出せない・・・・・。)
確かに・・・・これを友達と呼べるのだろうか?
友達とは何なのか?
タッキーはその結婚式の後すぐ
「うつ病で会社を辞めた」と風のウワサで聞きました。
その後は家で塞ぎ込んでいるらしいが、
奥さんとはどうなったのだろうか・・・?
いま私は思うのです。
タッキーが「僕には友達がいなかった!」と言った時に、
「違う!!!!」
「私と君は確かに友達だった!!」
私がそう言っていれば
「何かが」変わったのだろうか?と
しかし・・・私が思い出せる、
私とタッキーとの思い出は
3年間の最後、
お別れ会で行った「すたみな太郎」だけなのです。
それでも少なくとも・・・・
あの「すたみな太郎」にいた、
あの時だけは・・・
私たちは確かに友達だったハズだ。
そう言っても良いハズ・・・・・。
3年間の最後に行った「すたみな太郎」という特別な空間が、
最後の最後に、
私達の距離を少しだけ縮めてくれたのです・・。
オシマイ