人が亡くなり、葬儀を営む場合、密葬や家族葬以外なら、大勢の方が参列してくださいます。

遠方から来られる方や、忙しい中を来られる方など、いずれにしても皆さん時間を割いて来てくださるのです。


通夜であれ葬儀であれ、わざわざ来て下さっている方にお礼を申し上げるのは、遺族として当然のことです。

本来なら1人1人にお礼を言うところですが、実際問題それは難しいでしょう。


会葬礼状は、参列して下さった1人1人に、直接お礼を言う代わりにお渡しするものです。

内容はいろいろですが、お礼の気持ちは同じです。

どんな会葬礼状があり、どんなやり方があるのか、文例も含めてまとめました。


--この記事の目次--

1.会葬礼状の基礎知識

2.会葬礼状の作り方

3.会葬礼状のお約束

4.宗教による会葬礼状の違い

5.会葬礼状文例

6.社葬の場合の会葬礼状

まとめ

1.会葬礼状の基礎知識


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そもそも会葬礼状とはどういったものでしょうか。

葬儀に参列したことのある人ならば、たいていは受け取ったことがあるはずです。

まずは会葬礼状の基本となるあれこれをご説明します。

 

1-1.会葬礼状とは

昔は葬儀に参列していただいた場合、1人1人にお礼状を送っていました。

それが会葬礼状です。

本来ならば喪主が、直接1人1人にお礼の挨拶すべきところ、そうもいかないのでお礼状を出したわけです。

時代的にも直筆で毛筆書きでした。

そのなごりは現代にも生きています。

ただ現代は1人1人にお礼状を出すのも難しく、葬儀のための時間も短くなり、様式も簡略化されています。

そのため通夜や葬儀に参列していただいた場合、その場で会葬御礼の品と一緒にお渡しするようになりました。

この会葬御礼の品は、関西圏では「粗供養」の掛け紙が多く、東日本では「志」の掛け紙である場合が多いようです。

会葬御礼品自体は500円から1,000円くらいのお茶やハンカチなどが多く、包装された品物を会葬礼状に添えてお渡しします。

清めの塩が一緒に付いている場合もありますが、無いことも増えています。

元々清めの塩は神道的なものですので、無くても問題はないのです。

塩は無くても問題ありませんが、会葬礼状と会葬御礼品は必ず必要です。

通夜であれ葬儀であれ、参列してくださったすべての方にお渡しするものです。

なので通夜と葬儀の両方に参列された方には、同じ礼状や品物を2つお渡しすることもあります。

会葬礼状に添えてお渡しする会葬御礼品と、香典返しをごっちゃにしている人がたまにいます。

香典返しは香典をくださった方に、後日あらためてお送りするものです。

会葬御礼品はその名のとおり、通夜・葬儀に会葬してくださったお礼として、すべての参列者にお渡しするものです。

忙しい中時間を割いて参列してくださった方へ、丁寧なお礼を申し上げることが、会葬礼状の本来の意味なのです。

 

1-2.会葬礼状の差出人

会葬礼状は遺族が会葬者に出すものです。

なので普通の葬儀であれば、差出人は喪主が筆頭になります。

喪主の名の横に、「外 親戚一同」と並べるのが一般的です。

葬儀委員長がいるような大きな葬儀ならば、葬儀委員長が筆頭となり、その隣に喪主、続いて親戚一同とします。

こういったことは地域差も大きく、例えば喪主が長男なら、次男や長女の名前も並べることもあります。

この場合は「次男 名前」ではなく、「男 名前」となります。

長女次女も「女 名前」とされます。

特に何人までといった規定はありませんが、血族のみの記載が多く、それぞれの配偶者の名前は記載されない場合が多いようです。

昔であれば兄弟姉妹が7人8人などというのが普通にあったりしますから、全員の名前を載せるのは難しかったと思われます。

そのため喪主のみと親戚一同といった書き方や、喪主と親戚代表の誰かが差出人となることが多かったのです。

もちろん現代でも兄弟姉妹が多いご家庭はあります。

そういった場合は、まず葬儀社に相談してみるのもいいでしょう。

 

1-3.いつどうやって渡すのか


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どのタイミングでどんな風に、会葬礼状をお渡しすればいいでしょうか。

実はこれには決まりはありません。

本来の会葬礼状は、あくまで葬儀に参列してくださった方にお渡しするものでした。

けれど通夜にしか参列できない方もおられるわけで、現代では通夜でも葬儀でも、お渡しすることが多いようです。

お渡しするにあたっては、地域によっても、葬儀社によっても、手順や渡し方が違います。

最初に受付で記名した際に、係の方が参列者にお渡しすることもあれば、ご焼香のタイミングでお渡しすることもあります。

どうするのが正しいというよりは、参列者の人数や、会場によって違うというのが、正しいかもしれません。

葬祭会館での葬儀と、地元のお寺での葬儀では、人の流れが大きく違ってきます。

その点を考慮した渡し方になるわけです。

代理で来られた方の場合は、芳名帳に2人分のお名前をいただくことになります。

この場合はお二人分の会葬礼状と会葬御礼品をお渡ししましょう。

香典を預かってこられた場合も、香典のみの方にも会葬御礼品とともにお渡しできれば、その方が良いと思います。

これは香典返しとはまた別ですので、間違えないようにしてください。

いずれにしろ大切なのは、参列してくださった方に漏れなくお渡しすることです。

受付の時点であっても、お帰りの時点であっても、きちんとお渡しできればそれで問題ありません。

 

1-4.弔電や供花のみの場合

葬儀に当たって、弔電や供花やお供物のみいただく場合があります。

世の中で葬儀だけは準備のできないものですから、どうしても都合のつかないこともあるでしょう。

これはどんなに近しい身内であれ、親しい友人であれ、仕方のないことです。

簡単な話、どんなに駆けつけたくても、地球の裏側にいるなどということもある時代なのです。

このような時は、葬儀のあとに会葬礼状とは別に、喪主からお礼状を出しましょう。

香典をいただいた場合は、あらためて香典返しをします。

ただ香典返しは四十九日後が基本になります。

葬儀からはかなり間があいてしまうのです。

通夜や葬儀に、お花や電報で弔意をくださった方には、やはり葬儀のあとにお礼を申し上げたほうが良いのではないでしょうか。

よく知っている方ならば、電話でお礼をお伝えしてもかまわないと思います。

堅苦しいと思われるかもしれませんが、やはりきちんと礼を尽くすことが大切になります。

2.会葬礼状の作り方


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会葬礼状を作るのは、ある意味葬儀の流れの1つでもあります。

基本は葬儀社にお願いすることが多いのですが、他にもいろいろな方法があります。

どの方法が一番とも決まっていませんが、故人の気持ちに添ったやり方を考えたいものです。

 

2-1.葬儀社に作ってもらう

一番多いのが、葬儀を担当した葬儀社にお願いして、会葬御礼品とともに会葬礼状を用意してもらうことです。

一般的な文面のひな型もありますし、葬儀社によってはオリジナルな文面にも対応してくれます。

印刷用紙もいろいろ選べるようになっていることも多く、白い封筒に白い用紙以外を選ぶこともできるようです

ただし葬儀社によって、会葬礼状が葬儀費用に組み込まれている場合と、オプションになっている場合とがあります。

印刷する枚数によって違うこともあれば、文面や用紙によって違うこともあります。

特にオリジナルな文面や用紙を希望する場合、費用面がどうなるのかはきちんと確認しておきましょう。

 

2-2.会葬礼状を作りなれた印刷会社に頼む

印刷会社でも、会葬礼状に関するノウハウはかなりあります。

特に印刷会社に頼めば、台紙の種類も豊富であったり、文面もオリジナルなものや、長文のものにも対応してもらえます。

葬儀関連のことは、待ったなしです。

当日もしくは翌日には、会葬礼状が必要になります。

それを考え合わせると、印刷会社は近くで探せるに越したことはありません。

心当たりの印刷会社があればそちらにお願いしてみましょう。

印刷会社にまったく心当たりが無いような場合は、電話帳で探すことができます。

電話帳で探せば、すぐ近くの印刷会社に頼むことができます。

多少とも時間があれば、ネットで検索すれば、即日発送してくれる会社がすぐに見つかります。

通夜や葬儀の時間にどの程度余裕があるかにもよりますが、葬儀社に対応してもらえないような場合、印刷会社に頼むことは難しいことではありません。

 

2-3.自分で作る

パソコンで文書を作りなれている人ならば、自分で作成することもできます。

ハガキサイズの白い台紙なども売っていますし、文章はいくらでも例文があります。

WordやExcelが使えるのであれば、フリー素材の台紙をダウンロードして、まったくオリジナルの会葬礼状を作成することもできます。

会葬礼状作成ソフトなどもありますが、かなり高価なものですので、個人で購入するのは難しいかもしれません。

会社などで社葬に使うのであれば、都度印刷会社に頼むよりは結果的に安くはなるでしょう。

あまり何度もあって欲しいことではありませんが、何度でも作ることができるのが、こういったソフトの利点です。

3.会葬礼状のお約束

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会葬礼状の文面は、たいてい同じようなものになりがちです。

これは会葬礼状にある種の決まり事があるからです。

オリジナルな会葬礼状を作る場合でも、ある程度は押さえておきたい事柄もあります。

その理由も含めてご説明します。

 

3-1.会葬礼状に入れておきたい言葉

まずは故人と喪主との関係です。

配偶者であれば亡夫や亡妻となり、父母であれば亡父亡母と書きます。

故○○という書き方もありますが、できれば喪主との関係がわかりやすい、亡○といった表現のほうが、参列する側にもわかりやすくなります。

次に、当然ですが、参列して下さったお礼の言葉を入れます。

型どおりでもオリジナルでも、言い回しはそれぞれですが、これがなければ礼状になりません。

オリジナルな会葬礼状であっても、あくまで葬儀であることを忘れず、最低限の礼儀はわきまえた書き方をすべきです。

故人への生前のお付き合いへのお礼を入れることもよくあります。

かわりに葬儀の不行き届きのお詫びを入れることもあります。

会葬礼状がハガキ式の場合、そんなに長い文章は入れられません。

たいていはどちらかになります。

どちらも必ずしも必要ではありませんが、生前の交流への感謝か、葬儀の不備への謝罪か、どちらか一言あれば丁寧さは増します。

文章の最後に、書面でのお礼となったことのお詫びを入れます。

これについては、どんなオリジナルな会葬礼状であっても、きちんと入れておきましょう。

会葬礼状というのはあくまで略儀であって、正式なものではないのです。

 

3-2.会葬礼状の日付と住所

会葬礼状には日付を入れますが、これは亡くなった日ではなく、葬儀の日になります。

近年は通夜にも会葬礼状をお渡しすることが増えているため、通夜の日付と葬儀・告別式の日付の両方を、並べて記載する場合も増えています。

葬儀関連は、学校や会社も忌引きで休みになりますが、学校や会社によっては、会葬礼状の提出を求められることもあります。

そういったことも考慮に入れて、日付は必ず記載しておきましょう。

住所を入れる場合は、基本的には喪主の住所を記載します。

ただし故人と喪主がまったく違うところに住んでいる場合などは、喪主の住所が絶対とは限りません。

最近は個人情報の観点から、住所を記載しないことも増えています。

日付はっきりさせなければなりませんが、住所に関しては、絶対にコレという決まりは無いと言えます。

 

3-3.会葬礼状に「、」や「。」は使わない


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会葬礼状は、もともと毛筆で書くものでした。

そのため縦書きが一般的であると同時に、文中に「、」や「。」は使いません。

他にもいくつか説がありますが、実際問題として現在でも、基本は「、」「。」とも入れません。

「、」のかわりは1文字空白とし、「。」は使わず改行します。

文頭を一段落下げることもしません。

昔の毛筆の手紙などを見たことがあれば、「、」も「。」も使われておらず、段落下げもないことがわかります。

つまりはその何百年かの伝統が、現代の1枚の会葬礼状に生きているのです。

もっとも最近は、普通に「、」「。」段落下げを使うことも増えています。

特にオリジナルな会葬礼状であれば、定型文より長文になることも多く、それはそれで問題ないことです。

 

3-4.会葬礼状に時候の挨拶は入れない

会葬礼状では、一般的な挨拶は省略することができます。

むしろ省略するのが普通です。

たとえば季節の挨拶や天候について、手紙の書き出しによく使われますが、こういったことは書きません。

時候の挨拶全般に使われる、「時下~」という言葉も使わないようにしましょう。

「拝啓」「謹啓」「敬具」といった言葉も、省略することができます。

ただ「拝啓」「謹啓」といった頭語や、「敬具」「敬白」といった結語は、使ってはいけないというわけではありません。

なので普通に使われている会葬礼状も、もちろんあります。

同じ頭語でも、「前略」は使いません。

これは定型文のような会葬礼状であっても、まったくオリジナルな会葬礼状であっても、同じようになります。

本文だけがあるような感じになりますが、会葬礼状ではそれでいいのです。

4.宗教による会葬礼状の違い


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葬儀にいろいろな宗教ごとの違いがあるように、会葬礼状にも違いがあります。

これは教義ごとに、故人に対する考え方が違ってくるからです。

大まかにではありますが、各宗教ごとの会葬礼状の違いをご紹介します。

 

4-1.仏式葬儀の会葬礼状

日本で一番多い葬儀は仏式葬儀です。

仏式葬儀の特徴は、通夜があり、葬儀・告別式があり、それぞれに焼香が行われることです。

そのため仏式の会葬礼状では、会葬へのお礼とともに、御焼香や御香資という言葉が使われることがあります。

御焼香はそのままご焼香のことですが、御香資は香典の意味になります。

この「香」の文字は仏式葬儀以外では使いません。

オリジナルの会葬礼状を作る場合、まず間違えることはないと思いますが、「天国」や「祀る」といった言葉は使いません。

「極楽」「浄土」や、「成仏」「涅槃」といった言葉は仏教用語です。

オリジナルの会葬礼状であれば、こういった言葉を使うことは稀かもしれませんが、仏式葬儀である以上、ある程度は意識しておくほうが良いでしょう。

 

4-2.神式葬儀の会葬礼状

基本は仏式葬儀とさしてかわりませんが、神式では本来葬儀という言葉は使いません。

通夜は通夜祭と言い、葬儀は葬場祭と言います。

告別式は仏式と同じく告別式です。

会葬礼状に葬儀という言葉を使っても、間違いではありませんが、正しくは葬場祭となります。

仏式で焼香にあたるのは、神式では玉串奉奠になります。

例えば「お心のこもった御焼香をいただき」という文章が、「ご丁寧な御玉串奉奠をいただき」に代わります。

他にも、神式ならではの言葉がたくさんあります。

供養も合掌も仏教用語なので、神式では使いません。

人が亡くなることは帰幽と言い、会葬よりは拝礼が神式の言葉です。

オリジナルの会葬礼状を作るのであれば、神式ならではの言葉遣いに気を付けるのも大切です。

 

4-3.キリスト教式葬儀の会葬礼状

こちらも基本は仏式葬儀とかわりません。

香や仏のような、仏教的な言葉を一切入れなければ、そのままテンプレートの会葬礼状文が使えます。

葬儀は葬儀のままですが、御焼香は御献花にかえるくらいです。

もっときちんとキリスト教的な文章をと思われるなら、「主のみもとに召された」「祈り」といった言葉を使うこともあります。

これはあくまでそういった会葬礼状を作りたい場合で、そうしなければならないわけではありません。

会葬礼状では、故人の名前に亡や故をつけますが、キリスト教式ではこれをつけないことがあります。

これは葬儀を司る教会の、神父や牧師の考え方にもよるようです。

キリスト教式の葬儀で会葬礼状を作る時は、葬儀社の方はもちろんですが、司式をお願いする神父や牧師の方にも相談した方が良いでしょう。

5.会葬礼状文例


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いくつかテンプレートな会葬礼状の文例をご紹介します。

いずれも、ここまでご説明してきたあれこれを踏まえたうえで、硬すぎず難しすぎずな礼状となるような文例にしてみました。

記事では横書きになりますが、基本はすべて縦書きです。

 

5-1.仏式でよくある文例

「亡父 ○○ ○○の通夜葬儀に際し 御繁忙中のところ態態御会葬頂き 御鄭重なる御焼香を賜りましたこと 有難く深謝致します

取込中のこと故 不行届の点多数御座いましたが 何卒御容赦下さいますようお願い申し上げます

早速拝趨の上御礼申し上げる処 略儀乍ら書中を以って御挨拶申し上げます

平成○○年 ×月 ×日(通夜)

平成○○年 ×月 ×日(告別式)

(住所を入れるなら住所)

喪主 (喪主の名前)

外   親族一同」

拝趨は「はいすう」と読み、こちらから出向くという意味になります。

やたら硬い文章ですが、ちょっと前まではだいたいこんな感じでした。

「亡父 ○○ ○○ 葬儀に際し 御多用中にも拘わらず御会葬御弔問を賜り 御芳情厚く御礼申し上げます

故人生前の御厚情に感謝すると共に

略儀ながら書中を以って御礼の御挨拶申し上げます

平成○○年 ×月 ×日(日付が1つならば葬儀の日)

(住所を入れるなら住所)

喪主 (喪主の名前)

外   親族一同」  

こういった文章であれば、おそらく神式葬儀でもキリスト教式葬儀でも、問題ないのではないかと思います。

 

5-2.少し柔らかな文例

「拝啓 亡き母 ○○ ○○ の葬儀の際は ご多忙中にもかかわりませず 遠路ご会葬くだいさいましたこと 厚く御礼申し上げます

混雑にとりまぎれ 至らぬ点もあったかと存じますが なにとぞご容赦ください

お一人お一人にご挨拶申し上げるところ 略儀ながら書中をもちまして お礼のご挨拶にかえさせていただきます

敬具

平成○○年 ×月 ×日

(住所を入れるなら住所)

喪主 (喪主の名前)

外   親族一同」  

硬すぎる文章よりは、普通にお礼とご挨拶をと思われる遺族も少なくありません。

無理にカチコチにする必要もないのです。

 

5-3.神式・キリスト教式の会葬礼状文例


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神式やキリスト教式の会葬礼状は、どういった文面にしたいかによってかなり違ってきます。

「亡夫 ○○ ○○ の帰幽に際し 御多忙中にも拘わらず葬場祭に御会葬頂き 且つ御鄭重なる御玉串奉奠を賜り 衷心より厚く御礼申し上げます

ここに生前の御厚情を深謝し 略儀ながら書中を以って御礼の御挨拶を申し上げます

平成○○年 ×月 ×日

(住所を入れるなら住所)

喪主 (喪主の名前)

外   親族一同」  

神式葬儀だからといって、特に会葬礼状を硬くする必要はありません。

ただ神式ならでは言葉を入れることで、仏式との違いをはっきりさせることができます。

これはキリスト教式葬儀においても同様です。

「妻 ○○ ○○ は ×月×日に主のみもとに召されました

通夜式告別式においては 皆様のお心のこもった御献花をいただき 故人に代わりましてお礼申し上げます

ご会葬いただいた皆様の上にも 主の慰めと平安が豊かにあらんことを祈りつつ 書中にてお礼のご挨拶とさせていただきます

平成○○年 ×月 ×日

(住所を入れるなら住所)

喪主 (喪主の名前)

外   親族一同」  

宗教を明確にさせたいのであれば、その宗教に見合った会葬礼状が用意できます。

けれどどこにでもある、どんな宗教にも対応できるような会葬礼状であっても、それはそれでかまわないでしょう。

どんな会葬礼状を作ろうとも、故人や遺族の気持ちに添っていればそれでいいのです。

 

5-4.弔電や供花のみの場合

ご本人は通夜にも葬儀にも参列できなかったものの、弔電をくださったり供花をくださったりということがあります。

会葬御礼とは違いますが、こういった場合も、一言お礼を申し上げるに越したことはないでしょう。

電話であれお礼状であれ、葬儀から1日2日後が目安です。

「亡き父○○の葬儀の節は、ご多用中にもかかわらずお心のこもった弔電(供花)を賜り、有難く深謝申しあげます。

おかげ様をもちまして、葬儀告別式を滞りなく済ませることができました。

生前の御厚情に感謝いたしますとともに、今後も変わらぬご厚誼をお願い申し上げます。

本来お伺いの上お礼申し上げるところでございますが、略儀ながら書中をもちましてお礼のご挨拶にかえさせていただきます。

住所(後日お礼状を送る場合は必ず住所がいります)

喪主 (喪主の名前)

外   親族一同」  

上記のようなお礼状は、必ずハガキか手紙で送ります。

できれば手書きで出すのが一番です。

メールで送るのは、よほど親しい間柄でなければ失礼にあたりますので、メアドを知っていても郵便にしましょう。

 

5-5.オリジナルの文例

オリジナルな会葬礼状は、本当に自由です。

通夜や葬儀に参列していただいたことに、お礼を申し上げるという点さえ押さえていれば、ハガキサイズである必要もありません。

故人の思い出を語り、故人への感謝を込めたオリジナル会葬礼状は、たくさんの例があります。

ここでは医師であり作家でもある鎌田實さんが、ご自分の葬儀のために作ったという、超オリジナルな会葬礼状をご紹介します。

自分の葬儀用の会葬礼状を、生きているうちに作るなどと、なかなかできることではありませんが、そうしたっていいのです。

「知らないうちに死んじゃいました。

いつも行きあたりばったりで生きてきて、

〝いよいよ死にます〟と連絡するのが遅れました。

あなた様から『まだ死なないで』なんて

言ってもらいたかった。

最後にお会いできず、残念。

あなたのことは、あの世で待っていません。

僕は勝手に楽しくやっています。

命は1回だけですから、ぜひみなさんはこの世を、

まだまだお楽しみください。

本当に、最後の最後のサヨウナラです。

Thank you Good by 鎌田實」  

6.社葬の場合の会葬礼状


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社葬や会社によるお別れ会の場合、会葬礼状は個人葬とは少し違うものになります。

会社が前面に立つか、故人の家が前面に立つかの違いですが、その違いで会葬礼状の内容も違ってくるのです。

社葬やお別れ会の場合は、個人としての葬儀は終わっており、また日をあらためて、会社としての葬儀ということになります。

個人葬と社葬を同時に営む場合は合同葬となり、合同葬のスケジュールは一般の葬儀と同じです。

社葬の場合は会社のイメージが大きい会葬礼状になりますが、合同葬であれば、遺族の意向も入った会葬礼状になります。

 

6-1.差出人筆頭は葬儀委員長

社葬でも合同葬でも、喪主の他に葬儀委員長がおかれます。

葬儀委員長は会社側の誰かが務めます。

個人葬であれば、喪主が中心になって葬儀のあれこれを決定しますが、社葬の場合は、葬儀委員長が式次第を決定します。

合同葬であれば、喪主の意向も考慮した上での葬儀となりますが、社葬やお別れ会はあくまで会社主催になります。

これは社葬と合同葬の一番大きな違いかもしれません。

個人の葬儀と違って、住所は会社になります。

これは省略できません。

そのため、差出人も筆頭は葬儀委員長となり、次に喪主、親戚一同といった形になります。

故人の葬儀ではなく、会社での立場で営まれるのが社葬であり、メインは会社を中心とした社会的な繋がりになります。

 

6-2.故人の役職を入れておく

一般的な葬儀では、亡父亡母など、喪主との続柄をいれたほうがわかりやすいことは、先にご説明しました。

社葬の場合は、故人の役職を入れることになります。

そのため「亡」ではなく「故」が使われる場合が多くなります。

「弊社代表取締役社長 故○○○○儀」といった書き方をします。

個人葬と社葬を一緒に営む合同葬の場合、2つ折り形式の会葬礼状を用意することもあります。

片面には会社からのお礼、片面には遺族からのお礼を印刷するのです。

これはあくまで合同葬の場合のみで、社葬や会社のお別れ会では使われません。

 

6-3.社葬の会葬礼状はテンプレートで

「弊社 会長 故○○ ○○ 儀 葬儀に際しまして 公私ご多忙中にもかかわりませず態態ご会葬くださり またご鄭重なる御弔慰を賜りましたこと 有難く厚くお礼もうしあげます

故人生前中には ひとかたならぬ御懇情をいただきましたこと 併せて深謝申し上げます

取込事ゆえ 不備の点も多かったかと存じますが 何卒御容赦くださいますようお願いするとともに

早速拝趨の上お礼申し上げるところ 略儀ながら書中をもちまして ご挨拶とさせていただきます

平成○○年 ×月 ×日(社葬の日付)

会社の住所

会社名

葬儀委員長 役職 名前

喪主 名前

親戚一同」  

あくまで1例ですが、社葬における会葬礼状は、かっちりとした文面になります。

もちろんオリジナルな会葬礼状を使う場合もあると思います。

けれども、社葬はあくまで、社会的なお付き合いのお別れの場でです。

それを考えると、文面はやはり硬いくらいで丁度良いのではないでしょうか。

合同葬などでオリジナルな会葬礼状をと遺族が思われるなら、会社からの礼状とは別に、遺族からの礼状もお渡しすれば良いでしょう。

その場合、会社用は差出人は葬儀委員長のみとなり、遺族用は喪主が差出人の筆頭になります。

まとめ


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葬儀は人の一生に一度だけであり、自分では準備できません。

記事中にある鎌田實さんのように、自分の葬儀の準備をしておくことは、なかなかに難しいことでしょう。

どうしても遺された家族に後をお願いするしかないのが、実際ほとんどだと思います。

遺族にできることは、できる限り故人の気持ちに添って、葬儀一式を執り行うことです。

日ごろきちんとしたお付き合いを好んでいた方なら、会葬礼状もきっちりしたものを望まれるでしょう。

面白くて楽しくてといった方なら、遺族もそのことを礼状に記したいと思うかもしれません。

何が正しいわけでもなく、考え方は千差万別ですが、葬儀という儀式は遺された者のためにあるとも言えます。

何であれ参列してくださったすべての方に、遺族が納得できるお礼状をお渡しできれば、それが一番いいのです。