潮目がらり「怒り」が一転「東北愛」に
25日午後9時過ぎ…「ツイッターらしい、いい動き」の称賛
26日に復興相を辞任した今村雅弘氏が、東日本大震災について「首都圏ではなく東北だったからよかった」などと発言した25日夜から、ツイッター上などで、この発言を逆手に取り「東北に生まれてよかった」「東北の風景や食べ物はよかった」などとしなやかに切り返す「東北愛」の投稿が爆発的に広がった。さかのぼって調べると、当初怒りの表明が中心だった内容が、ある時点でがらりと変わっていた。【尾崎修二、大村健一】
投稿には「#東北でよ(良)かった」という一文が添えられている。「#」マークは、同じ言葉が入っている投稿を検索し一覧できる「ハッシュタグ」機能。クリックすると、東北地方の魅力を熱く語り、風景や特産品を写真つきで紹介する投稿が多数現れる。まるで東北のガイドブックのようだ。「インスタグラム」など他のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)でも投稿は広がる。
「おらは東北で生まれていがった。東北が大好きだ」「生まれも育ちも、良かったと思える場所」「海の幸も山の幸も美味(おい)しいし、四季折々の風景が目を楽しませてくれる」。これに対し「失言大臣のニュースを見ていろいろ思うことがあったけど、素敵ツイ(投稿)見てあったかい気持ちになった」など好意的な受け止め方が目立つ。
今村氏発言の一報が流れたのは25日午後6時すぎ。NHKの午後7時のニュースで報じられた直後の投稿は、「もうしゃべるな」「大臣を辞めさせろ!」(同7時20分台)など、怒りや憤りに満ちていた。
毎日新聞が調べたところ、発言を逆手に取った前向きな投稿が増え始めたのは同9時すぎ。プロ野球パ・リーグで首位を走る東北楽天ゴールデンイーグルスがナイトゲームで勝ち、ファンが今村氏発言にひっかけて「楽天が東北でよかった」などとつぶやいたあたりから、投稿の潮目が変わったようだ。
被災地を熱心に取材するジャーナリストの堀潤さん(39)は「ツイッターらしい、いい動きだと思った」と評する。26日朝に投稿の広がりに気づいて、福島県いわき市で自ら撮ったみずみずしいトマトの写真を投稿した。「大臣を擁護する声も一部にあったが、東北にゆかりのある人びとが、それを逆にエネルギーに変えていこうとする意志を感じました」と話す。
ツイッター日本語版の公式アカウントは「ステキなツイート(投稿)が集まっています。連休の予定の参考になるかも」と好意的に紹介。いわき市出身の吉野正芳新復興相も、26日の就任記者会見で投稿を歓迎した。ツイッタージャパン広報によると、投稿総数は26日午後8時現在約13万件で、さらに増え続けている。