最近、まわりで「マストドンのインスタンスを立てました」という人が増えてきた。実はITmedia NEWSのインスタンスも近々リリース予定だが、中には個人で趣味のインスタンスを立ててしまった猛者もいる(社内に)。
その名もずばり「otajodon」(おたじょどん)。オタク女子が年齢、ジャンルを問わず気軽に会話できる場としてぐんぐんユーザー数を伸ばし、4月26日時点で1115人を突破した。
実際に登録してみると、おのおのが好きな作品や日々の生活をのびのびと投稿するアットホームな雰囲気に包まれている。Twitterに慣れていると、この牧歌的な雰囲気がどこか懐かしく感じてしまう。
「今のマストドンはオタク女子にとって居心地がいい」と語るのは、管理人のアオヤギさん。otajodonを作ったきっかけや、個人で管理人をするにあたって気付いたこと、運営上のの苦労、コミュニティーの雰囲気などについて聞いてみた。
―― なぜ、otajodonを作ろうと思ったのでしょうか。
アオヤギ マストドンが盛り上がっていたので、まずは大手インスタンスに登録したのですが、タイムラインの流れが速すぎていまいち面白さが分からなくて。
Twitterにはないマストドンの面白さはローカルタイムラインだろうと思い、それを生かすためにインスタンスを立ち上げようと思いました。
―― なぜオタク女子のインスタンスを?
アオヤギ 私がオタク女子の会話を眺めたいんです(笑)。最初は「オタク女子の恋愛」などに特化しようと思ってましたが、友人と相談しながら今の形になりました。
もともとオタク女子のコミュニティーが好きで、二次創作サイトやTwitterクラスタ内のオフ会などには参加していたので。
―― こういうコミュニティーにしたいなという理想は。
アオヤギ ローカルタイムラインが機能して、みんながわいわい話してるのが理想ですね。Twitterと違って、フォローしてない人の投稿も見られるじゃないですか。
オタクって自分が興味のある話題を深めていきがちですが、普段触れない話題が流れてくると広がりがあっていいなと。
―― すでに1000人を超えてますが、雰囲気はどうでしょう。
アオヤギ 現状いい感じに動いてます。タイムラインもちょうどいいスピードで流れていきますし。同人サイトのチャットや、ニコニコ生放送のコメント欄に近い雰囲気ですね。「はじめまして」「おはよう」など、あいさつが多いのも懐かしいというか新鮮だなと。
面白いのが、ローカルタイムラインで「人狼チャットルーム」や「ボイスチャットルーム」のURLを流してることですね。「暇な人集まれー」みたいな雰囲気で。
―― 意外とユーザー同士の交流が活発なんですね。もともとオタク女子仲間だった人たちが多い?
アオヤギ 私もそう思ってたんですけど、他のインスタンスから来てくれた全然知らない人たちも多いです。
Twitterで鍵アカウントにしてたような人たちが、「ここは自由で居心地がいい」「アットホームな雰囲気がいい」と言ってくれて。やはりTwitterだとオープンすぎるので。
―― コミュニティーを管理する上でのルールってあるんですか。
アオヤギ 「自分はオタク女子だという自認がある方」という記載はありますが、基本的にルールはないです。ユーザーさんが自然に自分たちのルールを作っていってくれるのが理想ですね。
―― 運営はするけど、管理するという意識はあまりない?
アオヤギ そうですね。私自身、運営上必要なトゥート以外していませんし、基本的に会話を眺めていたい。ただ、公序良俗に反するような投稿や画像が出てきたときにどう対応するかは考えないといけないと思ってます。
―― インスタンスを立てて想定外だったことってありましたか。
アオヤギ サーバ代が高かったことです(笑)。
―― 自分でインスタンスを立てたんですか?
アオヤギ いえ、エンジニアの友人に協力してもらいました。最初はAWS(Amazon Web Services)の無料枠に収まるだろうから月2000円以内じゃないかと言われていて。
実際は現時点で月3000〜4000円くらいで……。人数が増えると一定数以上はタイムアウトするので、基礎スペックを上げていかないといけないんです。
―― 仕事に関係なく完全に個人でやってますけど、どこまで運営していくつもりなんですか。
アオヤギ 毎日登録数は増えているので、どこまで大きくするかは悩ましいですね。最初思い描いていた理想と全然違う形になるかも……どうなんだろう。でも、現時点ではotajodonの行く先を見守っていきたいと思っています。
もっとのびのびと好きなことを語り合いたいが、Twitterだとオープンすぎる――そんなオタク女子にとって、otajodonは居心地のいい憩いの場になっているのかもしれない。
しかし、マストドンで自分たちの居場所を維持するためにはコストがかかる。個人でインスタンスを運営するには、金銭的・時間的なコストとの折り合いをどう付けるかという問題も出てきそうだ。
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