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beni-uoさん( ‏@beniuo )の『韓国の非実在界隈について』をまとめました。

まとまった時間が取れましたので韓国の非実在界隈について近況を解説しようと思います。少し長くなりますがおつきあいください。

@beniuo なんといっても最近話題になっているのは、ウェブコミックサイトの一つであるレジンコミックス( lezhin.com )がブロッキングを受け、サイト丸ごと閲覧できなくなった事件です。もちろん成人であっても見られない状態でした。

『レジンコミックス』とは、株式会社レジン・エンターテイメント(레진엔터테인먼트)が運営する韓国のウェブコミックサイトのひとつで、有料と無料のコンテンツがあり、BL・ドラマ・ファンタジー・ギャグ・アクション・学園もの・ミステリー・ホラー・百合もの・時代劇等17のジャンルから選ぶことができ、スマートフォンでも閲覧が出来ます。利用者数は700万人以上。2014年の第9回大韓民国インターネット大賞国務総理(日本の内閣総理大臣に相当)賞を受賞しました。

@beniuo ブロッキングを受けた理由はわいせつ情報を流通させたという理由です。同サイトは3/24にブロッキングされましたが、わいせつではないマンガも多く流通していることが確認されたことから3/26にブロッキングは撤回されました。 d.hatena.ne.jp/beniuo/2015032…

@beniuo 問題は三つあります。一つは、ブロッキング対象のサイトの運営主体に事前に通知し意見陳述の機会が与えられなければならないとする原則が守られていないこと。

@beniuo 二つ目に、一部のコンテンツに問題があると理由でサイト全体をブロックしたこと。三つ目は判例上のわいせつよりも広い基準でブロッキングがなされている点です。

@beniuo 本事件を受けて、新政治民主連合の一部議員はブロッキング対象を法律上で明示された違法情報(わいせつ物や児童・青少年利用わいせつ物)と青少年有害媒体物に限定し、

@beniuo 成人の場合は青少年有害媒体物にアクセスできるとする「放送通信委員会の設置及び運営に関する法律」及び「情報通信網利用促進及び情報保護に関する法律」の一部改正案を発議しました。 zdnet.co.kr/news/news_view…

@beniuo 上記の児童・青少年利用わいせつ物とは「児童・青少年や児童・青少年に明らかに認識することができる人や表現物が登場して性的行為をしたり、性的行為をする内容を表現したもの」、一部ではアチョン法として名高いマンガを児童ポルノ扱いする定義です。

アチョン法とは、「児童・青少年の性の保護に関する法律(아동·청소년의 성보호에 관한 법률)」の略称「아청법」のこと。「児・青法」。
児童・青少年を利用したわいせつ物を製作・輸出入は無期懲役又は5年以上の有期懲役(第11条第1項)、営利目的で販売・頒布・展示等は10年以下の懲役(第11条第2項)、営利目的でなくても販売・頒布・展示等をすると7年以下の懲役又は5千万ウォン以下の罰金(第11条第3項)、単純所持は1年以下の懲役又は2千万ウォン以下の罰金(第11条第5項)に処されます。

@beniuo 青少年有害媒体物については、日本における不健全図書(有害図書)と考えてください。

@beniuo レジンコミックスは1度ブロッキング対象から外れたのですが、4/9の放送通信審議委員会で改めてレジンコミックス内の個々の作品が改めて審議対象となっています。

@beniuo 日本の漫画家である八月薫氏の「H体験談」シリーズもやり玉に挙げられています。同氏の作品はこの4月、ちょうど日本でも青少年健全育成審議会の対象となっています。 ccf-square3rd.blogspot.jp/2015/04/658.ht…

@beniuo 日韓が連携しているという話ではなく、運悪く重なってしまったのでしょう。

@beniuo レジンコミックスとしてはアチョン法に引っかからない作家として八月薫氏に目を付けたのだと思いますが、

@beniuo 「コンテンツは性器をモザイク処理しているが、輪郭などに照らして性器であることを識別することができる」という指摘は、まるで日本における自主規制団体のメンバーによる読み合わせ資料を見て書いたかのような意見です。 d.hatena.ne.jp/beniuo/2015041…

@beniuo 来る4/28にはレジンコミックス側の意見陳述が行われ、同日にも放送審議委の審議結果が出される予定となっています。以上がレジンコミックスに関する一連の流れです。

@beniuo 4/16に電気通信事業法施行令が改正され、韓国のISPはわいせつ物の流通を防止するためにわいせつ物を認識し(わいせつ物とそれ以外を区別し)、検索や送受信を制限する措置(ブロッキングするか消すかですね)を義務化されます。 d.hatena.ne.jp/beniuo/2015041…

【参考】
電気通信事業法施行令(전기통신사업법 시행령)第30条の3
第1項 法(電気通信事業法)第22条の3第1項において、「大統領令に定める技術的措置」とは、次の各号の全てに該当する措置を言う。
1. 法第22条第2項により、特殊な類型の付加通信事業を登録した者のうち、法第2条第13号カ(가)目に該当する役務を提供する者(以下、この条において「事業者」という)が、情報の題目、特徴等を比較し、該当情報が「情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律」第44条の7第1項第1号による不法情報(以下、「不法淫乱情報」という)であることを認識できる措置

2. 事業者が第1号により認識した不法淫乱情報の流通を防止するために、該当情報を利用者が検索したり、送受信することを制限する措置

3. 事業者が第1号の措置にもかかわらず、不法淫乱情報を認識せず、該当情報が流通されていることを発見した場合、該当情報を利用者が検索したり、送受信することを制限する措置

4. 事業者が不法淫乱情報伝送者に不法淫乱情報の流通禁止等に関する警告文を発送する措置

※第2項は割愛いたします。

@beniuo わいせつ物を正しく一覧管理するデータベースは実在しますか? 日々新たに生産されるわいせつ物を正確に、かつ、洩れなく反映するデータベースは存在しません。しかも、本法律は技術的措置を適切に履行していない場合、通信事業者としての認可取り消しになるものです。

@beniuo 事業者としては身を守るためにアダルトコンテンツすべてを一律に禁止したいという誘惑にかられるでしょう。そう、GoogleやAppleのように。本法律は知る権利が制限される恐れが強いものです。

@beniuo 韓国の近況について紹介してきましたが、これらはすべて日本においても起こりえることです。

@beniuo 日本においても児童ポルノのブロッキングがありますね? また、児童買春・児童ポルノ禁止法のこの前の改正で「インターネットの利用に係る事業者の努力」が追加されています。

【参考】
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(平成11年法律第52号)第16条の3(インターネットの利用に係る事業者の努力)
インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその情報の閲覧等のために必要な電気通信役務(電気通信事業法 (昭和五十九年法律第八十六号)第二条第三号 に規定する電気通信役務をいう。)を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これにより一旦国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることに鑑み、捜査機関への協力、当該事業者が有する管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとする。

@beniuo 今国会にも出ると噂されている青少年健全育成基本法で一気に韓国の現状まで進むことはないでしょうが、事実上「不健全図書を未成年へ見せないようにする」努力義務なんてものが作られるかもしれません。

@beniuo 韓国の事例は極端に見えるかもしれませんが、日本の現状から二歩先にあるものと思ってください。

ご存知の通り、2020年には東京オリンピック夏季大会が行われます。5年後には韓国の事例と同等、あるいはより厳しい条文が児童買春・児童ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)に明記されるかもしれません。

@beniuo 以上です。長い間おつきあいくださりありがとうございました。

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ykminkyさん

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