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 宅配便最大手のヤマト運輸は、通信販売会社との配送契約の一部を打ち切る方針を固めた。違法な長時間労働が常態化する宅配ドライバーらの負担を軽減するためには、法人客との取引を打ち切ってでも、扱う荷物量を減らす必要があると判断した。すでに一部の荷主に対し、契約打ち切りの通告を始めている。

 荷物量などに応じて適用する運賃の割引幅が大きく、採算割れしている法人客が契約打ち切りの主な対象で、大手の通販会社も含まれる。契約期間の満了をもって取引を終える方針だ。ヤマトが昨年度に扱った荷物(約18億7千万個)の数%分の取引が対象になる可能性がある。9月末までに打ち切り交渉を終え、10月に始める中期経営計画に交渉の結果を反映させる考えだ。

 ヤマトが扱う荷物はこの5年間で約4億4千万個増える一方、荷物1個あたりの収入は40円程度下がった。2013年度から本格的に取引を始めたネット通販大手アマゾンを中心に低運賃の荷物の割合が増えたためだ。14年度に法人客との値上げ交渉に力を注ぎ、荷物の単価は一時的に上向いたが、再び下落に転じている。ヤマト幹部は「法人客と打ち切りを前提にした交渉はしてこなかったが、これからは違う」と話す。

 契約打ち切りを通告された法人客は、佐川急便や日本郵便など他の大手宅配会社に配送を切り替える交渉を始めている。だが、荷物量急増と人手不足は業界共通の課題で、高い運賃での契約を迫られるのは避けられそうにない。運賃の値上げ分が通販の送料などに転嫁され、通販の利用者の負担が増す可能性がある。(石山英明、内藤尚志)