米軍、ミサイル防衛システムを韓国に配備開始

韓国南東部・星州郡のゴルフ場跡地にミサイル防衛システムの設備が搬入された(26日) Image copyright AFP
Image caption 韓国南東部・星州郡のゴルフ場跡地にミサイル防衛システムの設備が搬入された(26日)

北朝鮮情勢が緊迫するなか、米軍は26日、地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)」の装備を韓国の配備予定地に搬入し始めた。南東部・星州郡に装備を載せた車両が集まると、地元住民数百人が激しく抗議した。中国政府も、THAADは周辺地域の不安定化につながると反対し、「深く憂慮」すると表明した。

韓国国防省は「韓国と米国は、北朝鮮の核・ミサイル脅威拡大に対応し、THAADの初期運用能力を確保するため、作業を進めてきた」と声明を発表した。

THAADは、北朝鮮の短距離と長距離ミサイルを飛行の最終段階で迎撃・破壊するために開発された。米軍はすでにグアムとハワイに配備済みで、韓国とは昨年夏に配備で合意した。

26日朝には、星州郡のゴルフ場跡地に防衛設備と思われる機材を載せた在韓米軍のトレーラーが到着。テレビ映像では、道路沿いに警官数十人が並び、搬入に抗議する市民数百人を制止した。車両に水の入ったプラスチックのビンを投げつける人たちもいた。

抗議行動に参加した活動家たちによると、警官隊との衝突で10人以上が負傷した。抗議する人のほとんどが、近隣の町の住民だという。警察は、負傷者の数を確認しなかった。

抗議に参加したキム・ジョンキュンさんはロイター通信に、「私たちは闘いを続ける。THAADの運用が実際に始まるまでまだ時間があるので、装備をここから引き揚げ、韓国政府にこの計画を再考するよう求めて闘う」と話した。

中国外交部の耿爽報道官は26日、記者団に対してTHAAの配備を「深く憂慮する」と述べ、米韓に配備を止めるよう呼びかけた。

同日には中国・大連で中国2隻目の空母が進水された。中国初の国産空母で、アジアにおける中国の軍事的プレゼンス拡大が目的とされる。

一方でドナルド・トランプ米大統領は26日にも、北朝鮮情勢説明のために上院議員全員をホワイトハウスに招集する予定。情勢説明のためホワイトハウス幹部が連邦議会を訪れるのは通常の手続きだが、ホワイトハウスに上院議員100人全員を集めるのは異例。

北朝鮮が新たな核実験やミサイル発射実験を実施するのではないかなどの懸念が高まるなか、韓国を訪問したマイク・ペンス米副大統領は北朝鮮に「トランプ大統領の意志の強さを試さない方がいい」、「北朝鮮に対する戦略的忍耐の時代は終わった」などと警告。米政府は空母打撃弾を朝鮮半島に派遣した。

これに対して北朝鮮は、政府高官が「ミサイル開発は続ける」、「米国が軍事攻撃をするなら、先制核攻撃で対応する」と発言。さらに国営通信を通じて、米空母カール・ビンソンを「沈める用意ができている」、「超強力な先制攻撃を行う」などと威嚇を重ねた。

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「米国が軍事攻撃するなら先制核攻撃で対応」 BBCに北朝鮮高官

(英語記事 Thaad: US moves missile defence system to South Korea site

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