「国境なき記者団」が「Japan Fixers & Journalists Network」を紹介

https://rsf.org/en/news/fixer-network-seen-guarantor-uncensored-fukushima-coverage

(2017年3月11日発表のプレスリリースより)

東日本大震災・福島第一原発事故から6年を迎えた3月11日、「国境なき記者団」はJapan Fixers & Journalists Network (JFJN)への支援を表明した。JFJNは福島原発事故直後から、海外メディアなどの取材活動をサポートしている団体だ。

JFJNは約1年前、フリーランスジャーナリストの瀬川牧子(『国境なき記者団』日本特派員)と村上隆保の2人が、規制のない報道を目指し、主に海外メディアやフリーランスのために設立した。

それは震災直後に海外メディアが福島県や東北地方を取材する際、地元の情報や現場に精通した“フィクサー”(通訳兼コーディネータ、ジャーナリスト)が不足していたからだ。

そのためJFJNは、主に福島県や東北地方の取材活動をサポートする「フィクサー&ジャーナリスト集団」として始まった。

同時にJFJNは、フランス、スイス、米国などの海外メディアの特派員や大学などと協力して、6年目となる今年も東日本大震災・福島原発事故に関する報道も行なっている。

瀬川と村上は2019年に日本で開催される「ラグビーワールドカップ」や2020年の「東京オリンピック&パラリンピック」が、JFJNのメンバーを拡大し強化する大きな機会だと考えている。世界中のメディアが日本に関心を寄せる中で、震災後の東北地方や原発問題なども注目されると予測しているからだ。

前日本外国特派員協会会長のルーシー・バーミンガム(ジャーナリスト・東京在住)が昨年7月にJFJNをインタビューした際、村上はこう話している(バーミンガム氏の記事はこちら→ here)。

「私たちJFJNは外国語能力、通訳技術、そしてさらに理想をいえばジャーナリズム経験のある人材を募集しています」

また、瀬川は『国境なき記者団』に対して、次のように話している。「海外メディアと連携した報道を目指すことで、国内の情報規制の壁は崩れると信じています。日本国内のニュースの量と質を豊かにしていきたい。東京オリンピックが2020年に開催されますが、それを機に海外メディアを中心により多くのメディアに東北地方の現状をもっと紹介していきたいと思っています」

『国境なき記者団』のアジア太平洋局長、ベンジャミン・イシュマルは語る。

「『国境なき記者団』は日本の原発問題に関して情報統制や自己規制を乗り越え、抵抗しながら報道を続けている日本のジャーナリスト、そして市民ジャーナリストを讃えます。彼らは報道の自由、情報の開示を進めるだけでなく、その分野に関する新しい情報を海外メディアにも提供している。そうした観点からJFJNは世界への情報提供、ニュースの多様性に貢献している」(ベンジャミン・イシュマル)

日本の報道の自由度ランキングは『国境なき記者団』の調査で180か国中72位(参照: 2016 World Press Freedom Index,)。2012年12月に安倍晋三内閣が発足して以来、著しくランキングが下落している。

国連特別報告者・デビッド・ケイ氏が2016年4月に「表現の自由」の調査を目的に日本を訪問した際、ケイ氏は『国境なき記者団』発表の2012年以降落下続けている日本の自由報道ランキングに関心を示した。(記事参照:)RSF drew his attention to the disturbing decline in media freedom since 2012.