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 閣僚の辞任は、2012年に自民党が政権復帰して5人目。これまでの4人は「政治とカネ」。今回のような相次ぐ問題発言による辞任劇で見えるのは、政権の緩みと身内への甘さだ。

 安倍晋三首相は今回こそ、今村氏の更迭を即決したものの、今月4日に原発事故の自主避難者が故郷に戻れないことを「本人の責任」と発言した際には擁護していた。鶴保庸介・沖縄北方相や山本幸三・地方創生相らが問題発言を重ねても事実上黙認する姿勢を続けており、「問題発言」の連発はもはや政権の体質とも言える状況になっている。

 身内に甘い姿勢は、自民党側も同じだ。二階俊博幹事長は、二階派所属の今村雅弘氏の辞表が受理された直後の26日の講演で、今村氏の責任を問うことはそこそこに、マスコミに怒りをぶちまけた。「政治家が何か話したら、マスコミが一行悪いところがあったらすぐ『首を取れ』という。なんちゅうことか」

 さらに、自派の所属議員をこれまでとは違って今回は守らなかった首相に対する恨み節までぶつけた。

 「昨日の会で『内閣総理大臣・安倍晋三先生』がわざわざお越しになって、おわびを言ってくれる。聞いている方は何があったか分からない。いきなり、そういうことで大騒ぎです」

 二階氏は今村氏更迭に不満を隠せないようだが、世間の受け止めは逆だ。この日は、二階氏の今村氏擁護の発言が報道されると、抗議の電話が党本部に多数寄せられたという。(山岸一生)

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〈26日の二階俊博・自民党幹事長の講演要旨〉

 政治家が何か話したらマスコミが記録取って、一行悪い所があったらすぐ首を取れという。なんちゅうことですか。そんな人は排除して入れないようにしなきゃダメだ。(今村氏の発言は)人の頭をたたいて血を出したという話じゃない。言葉の誤解の場合は、いちいち首を取るまで張り切らなくても良いんじゃないか。

 ちょっと間違えたら明日やり玉に挙がって、次の日首だ。こんなアホな政治ありますか。何でもかんでもやり玉に挙げるやり方は、あまり利口ではない。