昨夏に退位の考えを表明した平成天皇は、27年前に「国民の幸福を願いつつ、日本国憲法を遵守します!! 日本が世界の平和に貢献できるようみんなで頑張りましょう!!」と述べて即位したわけですが、どうやらこの「日本国憲法」を否定したい人が現代日本には結構多いっぽいんですよね。きっと天皇も涙目でしょう。
倉山満という人はそのひとりのようで、天皇が「遵守します」と明言している現憲法を否定し、「大日本帝国憲法こそ優れた憲法!!」などと平然と言ってのけているみたいです。いまどき気持ち良いくらいの反天皇っぷりですねえ。反天連あたりに入会してみたらどうでしょうか。
ま、倉山さんは天皇の意見を否定しているのにもかかわらず「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」という憲法を肯定的に評価しているらしいというのはどうも矛盾があるように見えますが、まあわたしは倉山さんの本を1冊も読んだことがないのであまり突っ込まないでおきます。
しかしどうやら倉山さんがとてもユニークな発想をお持ちの方だというのは事実のようです。森友学園問題で「教育勅語」が改めて話題にのぼりましたが、倉山さんの発案による「逆・教育勅語」というのがSNS上のネトウヨ連中によってシェアされているみたいなんですよね。
世の論者、曰く「戦前の日本には教育勅語という危険な思想が蔓延していた。」と。
どうやら教育勅語で明治天皇が臣民にお命じになったことは危険思想らしい。
そこで、「逆・教育勅語」というのを考えてみた。
「教育勅語」に書いてあることを逆さまにして、「教育勅語を否定するサヨクは、こんな不道徳が理想だと思ってるのかwww」みたいなことを言いたいらしいんですよね。で、ネトウヨが喜んでSNSで拡散していると。
「こいつら『勅語』をなんだと思っているのか」と突っ込みたくなる人もいましょうが、まあ基本的にネトウヨは天皇のことなんてどうでもいいんだと思いますよ。むしろ「『日本国憲法を遵守します』とか言ってる天皇って邪魔だなー」くらいに思っているのではないでしょうか。
しかし、「逆・教育勅語」と同じ発想で「逆・日本国憲法」などというものを考えてみたら、倉山さんとかネトウヨ諸君は果たして支持するんでしょうか?
『逆・日本国憲法』
- 天皇は日本国の象徴ではない
- 国の交戦権を認める
- 日本国民たる要件を法律で定めない
- 国民は個人として尊重されない
- 思想及び良心の自由は保障しない
- 学問の自由は保障しない
- 教育を受ける権利なんて保障しない
- 国民は納税の義務を負わない
- 残虐な刑罰だとか拷問だとかもOK
- 基本的人権なんて永久の権利でもなんでもない
……あれ。
「ネトウヨはこれを支持するんだな?」と小馬鹿にしたかったのですが、なんかすっごくネトウヨにとっての理想っぽい憲法ができちゃいそうです。怖い。
やっぱりネトウヨ連中の敵は「人権」「民主主義」「立憲主義」みたな近代思想なんでしょうねえ。現憲法のもとに地位が定められているいまの天皇も彼らにとっては本質的には敵なわけで、「『勅語』をサヨクを攻撃するために使ってやれ」というのも、まあ彼らにとってはナチュラルな発想なんでしょうね。
ヴィル門(タリン旧市街)/まだまだ寒い日々が続きますが、ここ数日の天気はおおむね良好です。