産経新聞および『正論』誌などでは、「贖罪意識植え付けた「洗脳」」なのだという主張が何度も繰り返しなされています。こっちの方が洗脳ぽいですけど。
たとえば「平和を守るために、憲法9条を維持したい」という意見を持つ人は世の中に多いし、それは極めて自然な事だと思いますが、それはGHQのWGIPにマインドコントロールされ、「日本人の精神を貶めようと自虐史観を植え付けた」結果だというんですね。
(ケント・ギルバートは最近急にこの手のことを言い始め 右派に歓迎されている)
産経新聞の「編集者のおすすめ」では、「日本人を狂わせた洗脳工作(WGIP)」だそうで、「憲法九条を守れば日本は永遠に平和」も「狂気の軍国主義にかられ、無謀な大戦に突入し、アジア諸国に侵略し暴虐をきわめた」もどちらも、「GHQが仕組んだ洗脳工作の成果」であり「WGIPこそ戦後70年の病根」なのだと言います。
これについてはこれから、批判を加えて行きたいと思っていますが、今日書くのはその出発点についてです。
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こうした理屈の出発点は、文芸評論家の江藤淳が1989年に書いた『閉ざされた言論空間』という著作です・・・と我々は思っていました。このブログでたびたび登場している秦郁彦はその著作 『陰謀史観』の中でこう書いています。
また、wikipediaも、こう書いています。
・
(wikipedia 「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」
つまり、江藤が「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」を最初に唱え、それに「戦争についての罪悪感を日本人の心に植え付けるための宣伝計画」という翻訳をつけたと見なしているのです。
でも、これは結構怪しい話です。
最近、『神社新報』(神社本庁機関紙)を調べていたのですが、こんな文章がありました。
(これを書いたのは、乙犬拓夫となっています。『神社新報』では「評論家」。おそらく、「金光教北海道牧場教会」「恵庭短歌会会長」などの肩書をもっている乙犬拓夫と同一人物だと思われます)
CIEが「戦争についての罪悪感を日本人の心に植え付けるための宣伝計画」を推進したのだという。それどころか、文章全体が江藤の著作の要約のようになっています。
問題はこの文章が昭和60年の7月8日に掲載されているという事です。
つまり、1985年の文章なのです。
「戦争についての罪悪感を日本人の心に植え付けるための宣伝計画」という言葉が江藤が訳文として使う4年も前に書かれている。
これは一体、どういうことか?
本ブログでは、そういうキナくさいことも含めて追及したいと思っています。
4月12日追加)
調べてみると江藤の『諸君』の連載があったので、この疑問は解決しています。
http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I2683878-00
閉ざされた言語空間--占領軍の検閲と戦後日本-2-(承前)蘆花「謀叛論」も抹殺した東京裁判 江藤 淳 掲載誌 諸君! : 日本を元気にするオピニオン雑誌 16(11) 1984-11 p.p236〜252 ・ |
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http://iss.ndl.go.jp/books/R000000004-I2683878-00
閉ざされた言語空間--占領軍の検閲と戦後日本-2-(承前)蘆花「謀叛論」も抹殺した東京裁判
江藤 淳
掲載誌 諸君! : 日本を元気にするオピニオン雑誌 16(11) 1984-11 p.p236〜252
に連載されてますのでそれを見たということですね
2017/4/12(水) 午前 9:08 [ 河野談話を守る会 ] 返信する