先に答えを言いますと「新月にお産が多い」というのは本当のようです。
これは後述する助産師さんのお話が物語っています。
ここでは新月について、また現場で働く助産師さんの証言。そして月の満ち欠けとお産の関係性について、分かりやすく解説していきます。
目次:
2017年1月24日:「4.新月と満月のスケジュール」に平成29年(2017年) の暦を追加しました。
1.新月とは?
新月とは、太陽と地球が月をはさむ形で直線上に並ぶタイミングを言います。
私たちの知る月が一番確認できるのは、特に夜です。
月の輝きは、月自体が発光してるわけではなく、太陽の光を反射して光っているように見えます。
また、月が欠けて見えるのは、月が地球のまわりを回る衛星のため、移動しているからですね。
残念ながら新月は通常、肉眼で見ることができません。
次のイメージをご覧いただくと分かりやすいのですが、太陽の光を受けて反射する部分がない。
つまり全て影になってしまい、月が肉眼では見えにくくなってしまうのです。
画像引用元:国立科学博物館「宇宙の質問箱・月の形はどうして変わるのですか?」
日本では明治初期以前、旧暦と言ってこの新月をその月の1日目とするカレンダーが使われていました。
ただし、新月を始めとする月の満ち欠けは、平均 29.53日かかります(国立天文台より)。
現在のカレンダーは多い月で31日ありますが、旧暦だと1年が「354.36日(=29.53日×12ヶ月)」となり、年を重ねるごとに季節が少しづつずれていきます。
そこで1年が365日の新暦を取り入れて、4年に一度だけ閏年(うるうどし)を導入し、今の馴染みあるカレンダーが活用されているのですね。
さて、なぜこの新月のタイミングでお産が増える、というまるで都市伝説のようなお話があるのでしょうか?
まずは助産師さんの語るリアルなお産状況をご紹介します。
2.現場の助産師たちが知る事実
新月だからお産が増える、というのは本当でしょうか。
葛飾赤十字産院でベテラン助産師として務める 加瀬 香奈恵さんは、月とお産の関係について次のように答えています。
(産院の助産師ルームに置いてある)月の満ち欠けカレンダーに、お産があった数をつけてみると、やっぱり満月のときに集中していることが、わかります。
goo ベビー「「満月の夜にお産が多い」って、ほんとう?」より
ここまでは「満月」の時にお産が集中すると言及しています。
私が勤めている産院には“月の満ち欠け”と“潮の満ち引き”が一目でわかるカレンダーがはってあり、その日のお産の数が記録してあります。
それを見ると、やっぱり満月、新月の前後はお産の数も明らかに多いですね。
つまり満月と新月の時期に、赤ちゃんが産まれる数が確実に増えていることを指摘しています。
加瀬さんは、このカレンダーを見て新月や満月が近くなると、自然といつもより気合いを入れて仕事に臨むと語っています。
結果だけを見ると「新月の夜に出産が多い」というのは正しいように思います。
でも他に何か考えられる要因はないのでしょうか?
3.月と妊婦のお腹の関係
地球の70%は、海で覆われています。
同じ場所でも海の高さは異なります。海水浴に行くと、朝と夕方の海の高さの違いに気づくかと思いますが、これは月の引力が海に及ぼしているからです。
下記画像のイラストが、月の引力を表したものです。
画像引用元:よかとこ、五島。「海と月の関係」
“海”のことを「潮(しお)」と表現して、深くなると「満潮(みちしお)」。浅い状態を「引き潮(ひきしお)」と呼びます。
地球に月の表面が位置する所は、月の引力が海水を引っ張るため、常に海が深い=満ち潮の状態です。
また、月に引っ張られる反対側の海水は、地球の公転の遠心力により同様に満ち潮になります。
一方、その中間地点にある海は、海水が減った状態なので、引き潮となります。
月の引力は海に作用していることが分かりましたが、実は妊婦さんのお腹の中にも“海”があることを知っていましたか?
続いて妊婦の体の不思議について解説します。
妊婦のお腹の海、羊水(ようすい)
妊婦のお腹の中で赤ちゃんを包む液体のことを「羊水」と呼びます。
ある専門家は、この液体を「赤ちゃんを守り、育てる海」と表現するほどです。
羊水には主に次の大事な役割があります。
- クッションの役目:妊婦のお腹に何かがぶつかっても赤ちゃんへの衝撃を減らす
- トレーニングルームの役目:赤ちゃんが自由に体を動かして筋肉や骨格を作る所
妊娠8ヶ月くらいから羊水の量は最も多くなります。
さてこの羊水ですが、実は海の主要元素の成分構成と比較するとほとんど同じ事がわかります。
存在量の順位 | 人 体 | 羊 水 | 海 水 |
---|---|---|---|
1位 | 水素 | 水素 | 水素 |
2位 | 酸素 | 酸素 | 酸素 |
3位 | 炭素 | ナトリウム | ナトリウム |
4位 | 窒素 | 塩素 | 塩素 |
5位 | ナトリウム | 炭素 | マグネシウム |
これはあくまで仮説となりますが、太古の昔、太陽や月・地球の位置関係から始まって、月の満ち欠けによる海の満ち引きは自然が生み出したリズムです。
母なる海から生物は誕生し、その自然のリズムを継承しながら陸地で生活している私たち。体内にそのリズムが刻み込まれていたとしても、おかしくありません。
そして、ママのお腹の中で、羊水という海の中に包まれて育つ赤ちゃん。
月の満ち欠けのリズムに呼応して陣痛が促進される、という神秘的な関係性を誰が疑う余地があるのでしょうか。
科学的な根拠がない新月や満月とお産増加の関係性。でも自然界のリズムは間違いなく存在します。
4.新月と満月のスケジュール
最後に、新月と満月のスケジュールを用意しました。また12星座も載せています。
これから生まれる我が子の誕生予定日に照らし合わせて、ワクワク楽しみにするもの良いですね。
平成29年(2017年) 暦要項
No. | 名称 | 月相 | 月日 | 時刻 | 星座 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 満月 | ○ | 1月12日 | 20時34分 | 山羊(やぎ)座 |
2 | 新月 | ● | 1月28日 | 9時07分 | 水瓶(みずがめ)座 |
3 | 満月 | ○ | 2月11日 | 9時33分 | 水瓶(みずがめ)座 |
4 | 新月 | ● | 2月26日 | 23時58分 | 魚座 |
5 | 満月 | ○ | 3月12日 | 23時54分 | 魚座 |
6 | 新月 | ● | 3月28日 | 11時57分 | 牡羊座 |
7 | 満月 | ○ | 4月11日 | 15時08分 | 牡羊座 |
8 | 新月 | ● | 4月26日 | 21時16分 | 牡牛座 |
9 | 満月 | ○ | 5月11日 | 6時42分 | 牡牛座 |
10 | 新月 | ● | 5月26日 | 4時44分 | 双子座 |
11 | 満月 | ○ | 6月09日 | 22時10分 | 双子座 |
12 | 新月 | ● | 6月24日 | 11時31分 | 蟹座 |
13 | 満月 | ○ | 7月09日 | 13時07分 | 蟹座 |
14 | 新月 | ● | 7月23日 | 18時46分 | 獅子座 |
15 | 満月 | ○ | 8月08日 | 3時11分 | 獅子座 |
16 | 新月 | ● | 8月22日 | 3時30分 | 獅子座 |
17 | 満月 | ○ | 9月06日 | 16時03分 | 乙女座 |
18 | 新月 | ● | 9月20日 | 14時30分 | 乙女座 |
19 | 満月 | ○ | 10月06日 | 3時40分 | 天秤座 |
20 | 新月 | ● | 10月20日 | 4時12分 | 天秤座 |
21 | 満月 | ○ | 11月04日 | 14時23分 | 蠍座 |
22 | 新月 | ● | 11月18日 | 20時42分 | 蠍座 |
23 | 満月 | ○ | 12月04日 | 0時47分 | 射手座 |
24 | 新月 | ● | 12月18日 | 15時30分 | 射手座 |
平成28年(2016年) 暦要項
No. | 名称 | 月相 | 月日 | 時刻 | 星座 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 新月 | ● | 1月10日 | 10時31分 | 山羊(やぎ)座 |
2 | 満月 | ○ | 1月24日 | 10時46分 | 水瓶(みずがめ)座 |
3 | 新月 | ● | 2月08日 | 23時39分 | 水瓶(みずがめ)座 |
4 | 満月 | ○ | 2月23日 | 3時20分 | 魚座 |
5 | 新月 | ● | 3月09日 | 10時54分 | 魚座 |
6 | 満月 | ○ | 3月23日 | 21時01分 | 牡羊座 |
7 | 新月 | ● | 4月07日 | 20時24分 | 牡羊座 |
8 | 満月 | ○ | 4月22日 | 14時24分 | 牡牛座 |
9 | 新月 | ● | 5月07日 | 4時30分 | 牡牛座 |
10 | 満月 | ○ | 5月22日 | 6時14分 | 双子座 |
11 | 新月 | ● | 6月05日 | 12時00分 | 双子座 |
12 | 満月 | ○ | 6月20日 | 20時02分 | 双子座 |
13 | 新月 | ● | 7月04日 | 20時01分 | 蟹座 |
14 | 満月 | ○ | 7月20日 | 7時57分 | 蟹座 |
15 | 新月 | ● | 8月03日 | 5時45分 | 獅子座 |
16 | 満月 | ○ | 8月18日 | 18時27分 | 獅子座 |
17 | 新月 | ● | 9月01日 | 18時03分 | 乙女座 |
18 | 満月 | ○ | 9月17日 | 4時05分 | 乙女座 |
19 | 新月 | ● | 10月01日 | 9時11分 | 天秤座 |
20 | 満月 | ○ | 10月16日 | 13時23分 | 天秤座 |
21 | 新月 | ● | 10月31日 | 2時38分 | 蠍座 |
22 | 満月 | ○ | 11月14日 | 22時52分 | 蠍座 |
23 | 新月 | ● | 11月29日 | 21時18分 | 射手座 |
24 | 満月 | ○ | 12月14日 | 9時06分 | 射手座 |
25 | 新月 | ● | 12月29日 | 15時53分 | 山羊(やぎ)座 |
あとがき
ちなみに満月の夜も出産が多いことは確かなようです。調べたところ、ある現場の助産師さんが実感していました。
詳しくは「満月の夜に出産が多い理由は?2つの神秘的な偶然」をご覧ください。
また、厄年に子供を産むのはあまり良くないとされます。これは本当でしょうか?
詳細については「厄年(やくどし)の出産は大丈夫?安心して出産を迎える方法」をお読みください。