タイ男性、幼い娘を殺害 フェイスブックで中継
タイ警察によると、21歳男性が自分の幼い娘を殺害する様子をフェイスブック・ライブで生中継した後、自殺する事件があった。フェイスブックでは今月半ばに米国人男性が殺人の様子を実況中継したばかりで、同社はライブ動画の投稿手続きについて見直す方針を示していたばかり。
調べによると、プーケットで廃墟となっていたホテルで24日夕方、ウティサン・ウォンタライ容疑者は赤ちゃんの首をつって殺害する様子をフェイスブック・ライブに2度にわたり投稿した後、自分も首をつって自殺した。妻と口論した後の犯行だったとみられている。
容疑者の親族が問題の映像を見て通報したが、警察が現場に到着したときは手遅れだった。母親と親類は25日、病院から赤ちゃんと父親の遺体を引き取ったという。
ロイター通信によると、容疑者は午後4時50分と同4時57分の2回にわたり、実況ビデオを投稿。ビデオは約24時間にわたりフェイスブックに掲載され続け、翌25日の午後5時に削除された。掲載時間についてフェイスブックはBBCの取材に回答していない。
タイのデジタル経済省は25日午後の時点で、フェイスブックに動画削除を要請したと説明している。同省報道官はロイター通信に、「フェイスブックを訴追はできない。フェイスブックはサービス事業者で、我々の削除依頼を受けて社内規定に従い対応してくれた。非常によく協力してくれた」と話した。
フェイスブックの広報担当は声明で、「これは恐ろしい事件で、被害者の家族に心から同情する。このようなコンテンツは決してフェイスブックにふさわしくない。問題のコンテンツはすでに削除された」と発表した。
殺害映像は動画共有サイトYouTubeにも掲載されていたが、BBCが通知したところ、YouTubeはこれを削除した。BBCが連絡した時点で、ビデオは2351回再生されていた。
YouTubeはBBCからビデオの存在を知らされてから15分以内に削除したと説明。「何が投稿するにふさわしい内容かYouTubeは明確な方針を掲げており、規定違反のビデオについて把握すればただちにこれを削除する」と声明を出した。
BBCタイ語のノッポルン・ウォン・アナン編集長によると、タイのソーシャルメディア利用者たちは映像に強く反発すると共に、赤ちゃんの遺族に追悼の言葉を書きつづっていた。
米国では中西部オハイオ州で16日、男が高齢男性を射殺する様子をフェイスブックでライブ配信する事件があったばかり。現場から逃走した男は18日、隣りのペンシルベニア州で警察に追いつめられ自殺した。
この事件を受けてフェイスブック幹部は、「フェイスブックを安全な環境として守るため、新しい技術の活用を常に模索している。このコミュニティーの安全に深刻な影響を与えかねない報告には、優先的に対応するし、報告を精査する手続きの迅速化に取り組んでいる」と書いた。
これとは別にスウェーデンの裁判所は25日、今年初めに中部ウプサラで男3人が女性を強姦しその様子をフェイスブックでライブ配信した事件について、被告3人に実刑判決を言い渡した。1人は強姦罪で2年4カ月、別の1人は同様に強姦罪で1年、3人目は強姦の様子をフェイスブックに投稿し、当局に通報しなかった罪で6カ月と、それぞれ禁錮刑を言い渡された。
<解説> リオ・ケリオン、BBCテクノロジー編集長
米クリーブランドで74歳男性を殺した男がその様子を投稿し、そしてフェイスブック・ライブで自分の犯行を自慢してから、まだ2週間もたっていないなかで、今回の事件は起きた。
クリーブランドの問題ビデオについて苦情が寄せられていたにもかかわらず、フェイスブックが削除するまでに2時間以上かかったことが明らかになり、、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者は、「やらなくてはならないことがたくさんある」と認めるに至った。
その前にもフェイスブック・ライブは昨年6月、シカゴで男性が首と頭を撃たれて死亡する様子を配信。続く7月には、ミネアポリスで警察に撃たれた恋人が死んでいく様子を、女性が中継した。
ほかにも、性的暴行や動物虐待、自殺する若者などのライブ映像が配信されたと言われている。
フェイスブックは、投稿内容の点検担当として数千人を採用しており、このチームが問題コンテンツにより迅速に対応できるよう方法を模索している。
加えて同社は、問題映像が後に再度、共有されないよう防ぐソフトウェアも開発した。
さらに、他の利用者の通報を待つより先に点検が必要なビデオや写真について、管理側に知らせる人工知能機能の活用を探っている。
ただしフェイスブックは、フェイスブック・ライブそのものの廃止は検討していない。
ツイッターやYouTubeをはじめ複数の競合他社がライブ配信サービスを提供している現状では、フェイスブック・ライブの廃止は同社にとって不利に働く。
しかしその結果、今後もフェイスブック・ライブの内容に大勢が激怒したり批判したりする事態は続くだろう。フェイスブック・ライブはその人気ゆえに、生中継される動画の1本1本を人間の目で監視するのはほとんど不可能だからだ。
(英語記事 Thai man kills baby on Facebook Live then takes own life)