ロケ地に最適? 広島が舞台の映画が多い理由

コラム

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2015年後半から2016年に公開される注目作品の中に、ある共通点がある。
すでに公開されている映画では『シネマの天使』や、人気ドラマの映画化『劇場版びったれ!!!』。
これから公開の映画では、大人気アニメ『たまゆら~卒業写真~』、モヒカン姿の松田龍平がインパクト大の『モヒカン故郷に帰る』、玉木宏主演『星籠(せいろ)の海 探偵ミタライの事件簿』など。
実は、全ての作品の共通点は「広島が舞台」であるということ。
なぜ今「広島県が舞台の映画」が多いのか。その理由を考えてみたいと思う。

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2015年は節目の年

“節目として、広島を映像に残したい。”という出来事が多く、それを形にした作品が公開された。
➀『シネマの天使』
11月に公開された『シネマの天使』。広島県に実在した122年の歴史を誇る、日本最古の映画館である「シネフク大黒座」の2014年の閉館をめぐる人々の思いを映画化した作品。
取り壊しが決まった劇場の雄姿を何とか映像に残したいという、地域の人々の思いから生まれた映画である。

➁『母と暮せば』
吉永小百合、二宮和也出演の『母と暮せば』は長崎が舞台である。 「広島とは関係ないじゃないか。」と思うかもしれないが、実は『母と暮せば』は、2004年に公開された宮沢りえ主演の映画『父と暮せば』のアンサームービー(対)として制作された。
『父と暮せば』の舞台は広島。
広島・長崎への原爆投下から70年経ち、その歴史を忘れないという思いはもちろん、広島も長崎も美しい街だということ伝えるべく、その地形を生かし美しく描かれている。

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自分の街のような懐かしさ

広島が舞台の映画が多い理由を、広島県広報課に尋ねると、「広島フィルム・コミッションなど、映画撮影面でのバックアップにも力を入れています。それ以外ですと、広島は豊かな自然に恵まれており、その地形と気候から「日本の縮図」と呼ばれています。日本のよいところがぎゅっと詰まっている場所なんです。映画の舞台として、広島ならみなさんの生活に近い風景を撮影できると思うので、懐かしさや親近感を感じる映画を作るにはオススメの県です!」とのこと。

広島は、日本の地形の特徴である山、海、川、谷、平野、盆地など瀬戸内海・中国山地の豊かな自然に恵まれており、広島に住んだことがなくても、広島の風景には、自分の住んだことのある地域や、実家の周りの風景と似ている懐かしさを感じることができる。
広島で「3人に1人は見た!」というほどの人気ドラマを映画化した『劇場版びったれ!!!』は、日常を舞台に、日々起こりうる問題を、スーパーヒーローではなく、等身大な主人公が必死に解決するところに、親近感を感じることができし、たびたび登場する街中のシーンでは、自分の街と似ている!と感じることも多い。
松田龍平主演の『モヒカン故郷に帰る』劇中の7年ぶりに故郷に戻るシーンでは、瀬戸内海を進む船の穏やかな波音が心地よく、どこか懐かしさを感じることができる。
さまざまなテーマにも対応できる、映画のネタ・風景が、広島にが多く存在しているといえるのかもしれない。

制作側からもロケ地として人気
撮影においては、撮影期間中に地形や気候に合わせてロケ場所を複数回変えることは、費用と時間、労力が多くかかってしまう。自然豊かな広島県のみで撮影できれば、撮影もスムーズに、余計な費用もかからず進行できるという点は、広島が映画ロケ地としても人気とされる理由でもある。

記事制作 : CinemaGene(外部サイト)