健康に良い商品は価格が高いと、裏付けがなくても、消費者は信じ込む傾向があるようです。
さらに、逆に価格が高ければ健康に良いとも判断しがちであるようです。
実験で、健康的=高価という思い込みを調査
米国オハイオ州立大学の研究グループが、ジャーナル・オブ・コンシューマー・リサーチ誌で、2017年1月12日に報告しました。
研究グループはいくつかの実験から価格と健康との関係について検証しています。
実験①では、新製品について健康度と想像される価格との関係を調べるものです。ここでは健康度がAクラスと教えられた人たちは、Cクラスだと教えられた人たちよりも高い値段を想像すると確認しています。
実験②では、価格から健康的かどうかを判断してもらうものです。調査対象者は、中身が全く同じでも、製品の値段が安い場合よりも高い場合に、より健康的であると考えました。
高いランチは健康的と判断する傾向
実験③では、健康的なものを購入するという場面でどんな価格帯の食品を買うかを検証しています。調査対象者は、職場の同僚にランチのお遣いを頼まれたという想定です。ランチを選択する際に、健康的なものを買ってきてくれと頼まれた人は、中身に関係なく値段の高い方を選ぶ傾向が強くあると分かりました。
実験④では、栄養成分と価格との関係について調べています。健康的な成分としてビタミンAまたはDHAを含む製品で、4つの異なる値段設定から1つを選んでもらいます。ビタミンAを選択の鍵と考えた人たちは、値段にかかわりなくビタミンAの入った製品を選びました。一方で、DHAの場合は、参加者に馴染みが少ないために、他の製品よりも値段の高い場合に、健康的な食品だと考えるようでした。
安いものは健康的と信じられない
実験⑤では、製品の価格と、商品の説明書きを読む傾向の関係を調べています。「地球上で最も健康に良いプロテイン・バー」という新製品を紹介され、その価格が99セント、日本円で110円程度と知らされた場合には、4ドル、日本円で450円程度と知らされた場合よりも、説明書きを読む傾向が強くなりました。
普通の値段の半分以下で、健康的な食品が手に入るということが、なかなか納得できなかったため、と見られました。
価格ばかりに影響を受ける
「健康に良い」という消費者の認識に影響を与えるのは価格だけだという実験の結果に、研究グループは懸念を示します。
「誤った方向に誘導されてはいけない」と言い、ラベルをきちんと読んで、本能よりも事実に基づいて商品を選択すべきだと、忠告しています。
根拠なく、高いものに知らず知らずのうちに手が伸びてしまう、とすれば問題なのでしょう。
(ヘルスキュア編集部)
参考文献
The strange effects of thinking healthy food is costlier | The Ohio State University