【復興相辞任】二階派用意のひのき舞台で失言、パーティー暗転 二階俊博幹事長の面目つぶす
今村雅弘復興相辞任への引き金となった発言は、所属する自民党二階派が25日に開いたパーティーで飛び出した。
東京電力福島第1原発事故をめぐる失言で窮地に陥った今村氏の「名誉挽回のチャンス」として、二階派が用意したひのき舞台がかえってあだに。同派を率いる二階俊博幹事長の面目も潰れ、年に1度の華々しいパーティーは一気に暗転した。
今村氏は、二階派所属の鶴保庸介沖縄北方相とともに、パーティーの行事として講演に臨んだ。演題は「荒海を航(い)く! 強いニッポンを創ろう」。二階派の配慮に対し、勇んで約20分間、復興や防災への取り組みを語った今村氏だが、その中で東日本大震災の被害に関し「東北で良かった」と語ったのだった。
事態は直後に急変した。講演後の懇親会に駆け付けた安倍晋三首相があいさつの冒頭で今村氏の発言を陳謝したのだ。パーティーでの異例の首相の発言に会場の空気が凍った。
今村氏の辞任は国会にも影響を与えている。26日は衆参で各委員会が開催される予定だが、自民党の竹下亘国対委員長は25日夜、記者団に「少なくとも朝から衆院の全ての委員会の開会を遠慮する」と明言した。
復興相経験者の竹下氏は「被災地の皆さんの気持ちを思うと怒りに近い感情を覚えた」と激怒。26日朝から各党への謝罪行脚を行うが、野党が反発を強めれば国会は全面的に空転しかねない。
今回ばかりは連立を組む公明党も厳しい姿勢を見せた。大口善徳国対委員長は今村氏の発言直後、記者団に「言語道断で許し難い。今村氏は政治家として自らの出処進退についてよく考えるべきだ」と述べ、自発的な辞任を求めた。
二階派のパーティーには約4500人が参加し、新たに吉川貴盛衆院議員の入会が決まった。勢力を42人に拡大し、本来ならば盛会に終わるはずだった。
首相は「二階幹事長はじめ、志帥会(二階派)には自民党の屋台骨として安倍内閣を支えていただいている。志帥会あっての安倍内閣といってもいいぐらいだ」と持ち上げたが、それも後の祭りだった。
二階氏はパーティー後、記者団に今村氏が辞任の意向を固めたことを明らかにし、「誠に残念だ」とした上で、こう力なく語った。
「深い反省の上に国民の皆さまにおわびを申し上げたい心境だ」