知事 たいへんな危機感

沖縄県の翁長知事は、県庁で記者団に対し、「実際、海域に入ったわけだから、たいへんな危機感を持っている。サンゴ礁生態系を死滅に追いやるおそれがあり、環境保全の重要性を無視した暴挙だと断ぜざるを得ない。政府は、なりふり構わず、埋め立て工事の着手という既成事実を作ろうとして躍起になっているが、護岸工事は始まったばかりで、2度と後戻りができない事態にまで至ったものではない」と述べました。
そのうえで、翁長知事は「政府の暴挙を止めるため、自然保護団体にも協力を強く訴えるとともに、護岸工事により、無許可の岩礁破砕行為が確認された場合は、工事差し止め訴訟を含め、あらゆる法的手段を駆使して、厳正に対応していく。辺野古に新基地を造らせないという県民との約束を実現するため全力で戦う」と述べました。
また翁長知事は、埋め立て承認の撤回について、「撤回を視野に入れて、法的な観点や国の日々の動き、全体の流れを勘案しながらあらゆる動きを想定して弁護団と議論している」と述べました。
【国内外の団体に協力呼びかけ】県は25日、IUCN=国際自然保護連合やユネスコなど、国内外8つの団体に対し、日米両政府が、辺野古への移設を断念するよう、働きかけを求める文書を送ったと発表しました。
文書の中で県は、辺野古沖で、ジュゴンが海底の海草を食べた跡が多数見つかっているにもかかわらず、政府が保護のための十分な対策を行っていないなどとして、日米両政府に対し、基地建設を断念するよう働きかけるとともに、今の危機的状況を世界に広く発信することを求めています。

【あらゆる手段で移設阻止へ】
沖縄県は、沖縄防衛局が、先月末で期限が切れた、海底の岩礁を壊すための知事の許可を得ないまま工事を進めているとして、工事の中止を求める裁判を起こす方向で検討を進めています。
今月から、担当者が、海底の岩礁を壊す工事をしていないか確認作業を行っていて、護岸を造る工事により、岩礁が壊されていると確認出来れば、工事の中止を求める裁判に踏み切ることにしています。
また、裁判で決着がつくまでの間、工事を止めるよう求める仮処分も裁判所に申し立てる方針です。
さらに翁長知事は、去年、最高裁判所で認められなかった埋め立て承認の取り消しとは別に、承認後に、新たな理由が生まれたとして承認を撤回することも明言していて、今後も、あらゆる手法で辺野古への移設を阻止する構えです。