護岸建設着手 地元は?国は?

名護市辺野古の埋め立て区域に隣接するアメリカ軍基地キャンプシュワブのゲート前では、およそ50人の人たちが朝から集まり、護岸工事が始まったことに抗議しました。

集まった人たちは道路に座り込み、「埋め立て工事は許さんぞ」などと声をあげていました。
沖縄県宜野湾市の67歳の男性は「護岸工事の着手がとうとう来たかという悲しい気持ちです。日本は民主主義の国なので、政府は沖縄の民意を尊重して座り込む私たちと対話してほしいです」と話していました。
また、沖縄県与那原町の50歳の男性は「私たちは無責任に日本の安全保障を否定しているのではなく、沖縄が、安全保障の負担を背負いすぎていることに抗議している。少しでも工事を遅らせるために座り込みを続けたい」と話していました。
また、辺野古沖の海上では、移設計画に反対する人たちが、カヌーや船で海に出て、立ち入りを制限するフロートまで近づき、護岸工事の着手に抗議しました。
近くでは、警戒にあたる海上保安庁のゴムボートが展開し、石材を海に投入する作業が行われた海岸にカヌーが近づこうとすると、職員が海に飛び込んで、カヌーをつかみ制止する場面も見られました。

【那覇市では号外も】
那覇市の中心部では、護岸工事が始まったことを伝える新聞の号外が配られ、受け取った人たちが足を止めて読む姿が見られました。
那覇市の30代の会社員の男性は「選挙を通じて、辺野古への移設反対の意思を表明しているのに、くみ取ってもらえない状況は、民主主義国家としておかしいと思います。政府の強権的なやり方には納得できません」と話していました。
沖縄県嘉手納町の70代の女性は「反対の声に聞く耳を持ってくれない政府には、戦争で痛めつけられた沖縄県民のことをもう少し考えてほしい」と話していました。
一方、那覇市の70歳の無職の男性は「普天間基地の危険性を除去するためには、早く移設計画が進むべきだと思う」と話していました。
また、那覇市の40代の会社員の男性は「国の政策で、どこかが犠牲になることは、基地建設に限らずあることで、移設はしかたがない面があると思います。気持ちとしては諦めに近い感情かもしれません」と複雑な心境を話していました。
【官房長官 全面返還への1歩】菅官房長官は閣議のあとの記者会見で、「工事開始は、多くの人々が望んできた普天間飛行場の全面返還を実現する確かな1歩だ。最高裁判所の判決および和解の趣旨に従い、国と沖縄県がお互いに協力して工事を進めていくことが求められており、引き続き関係法令に基づいて、着実に、早期に工事を進め、1日も早い返還を実現したい」と述べました。
そのうえで、菅官房長官は「普天間飛行場の危険除去と抑止力を考えた時に、辺野古への移設が唯一の解決策だと地元に説明しながらきょうを迎えた。辺野古に移設することによって、結果的には、沖縄にいる米軍の3分の1がグアムに移転することが実現し、大幅に沖縄の負担軽減につながっていくこともしっかり説明していきたい」と述べました。
【防衛相 県と協力し進める】
稲田防衛大臣は、閣議のあと記者団に対し、「普天間飛行場の1日も早い返還を実現し、危険性を除去することが、極めて重要な課題であるということは、国と沖縄県の共通認識で、最高裁判決と去年3月の和解の趣旨に従って、沖縄県と協力して移設事業を進める考えだ。沖縄の負担軽減にかかる政府の取り組みについて、説明を尽くす努力を継続する必要があり、今後とも、政府全体として、あらゆるレベルで深めていくことが重要だ」と述べました。