[PR]

 くらもちふさこさんの「花に染む」(集英社)が、第21回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)のマンガ大賞に選ばれた。今年がデビュー45周年。「手塚マンガこそ原点」というくらもちさんは、描き下ろしのイラストを寄せ、喜びを語った。(小原篤

 「苦労して描いたので、受賞で報われた。頑張ってよかったという思いです」

 「花染町」が舞台の群像劇「駅から5分」の続編で、約10年にわたるシリーズを昨年完結させた。

 火災で父母と兄を失った青年陽大(はると)と、従姉(いとこ)の雛(すう)、幼なじみの花乃(かの)、陽大に一目ぼれした楼良(ろうら)。「過去の傷の克服」をテーマに、弓道で結びつけられた4人の揺れる心模様を繊細に描く。

 語り口は禁欲的。弓道さながら、静かな緊張感と気迫がみなぎる。並んで射る団体戦で、雛と花乃と楼良の所作がウェーブのような流れを作り、通じ合う心を映す。

 「全てはこのシーンのため。分かりにくいかも知れないけれど、陽大と3人の関係は、私なりに決着をつけた。あとは読者に委ねたい」

 1972年にデビュー。「いつもポケットにショパン」「おしゃべり階段」など、少女マンガの傑作を数多く発表してきた。

 「今はエッセーマンガの連載で、短くまとめることの難しさを痛感しています。45年間、常に勉強です」

     ◇

 〈くらもち・ふさこ〉 東京都出身。1972年に『メガネちゃんのひとりごと』で「別冊マーガレット」にてデビュー。代表作に『おしゃべり階段』『いつもポケットにショパン』『東京のカサノバ』『天然コケッコー』など多数。現在、ココハナ(集英社)にてエッセー『とことこクエスト』を連載中。

こんなニュースも