ニュースにも流れましたが、渡辺宏さんが「安心?!食べ物情報」の今週の記事でも詳細に解説されています。
http://food.kenji.ne.jp/review/review909.html
その内容は、30kg未満の小型クロマグロ(本マグロ)の漁獲量が、国際的合意であった年間(7月から翌年6月まで)で4007トンというものであったのが、本年度はすでに4月14日時点で3994トンに達しており、6月末までには突破してしまうことが避けられないというものです。
産卵場所が変わったようだということもあり、また承認以外の漁船が漁をしてしまう違法操業が相次いだということで、規制が効かなかったようです。
これについて、漁業資源維持に詳しい東京海洋大学の勝川さんの記事も引用されていますが、こちらの方はより詳しい解説になっています。
違法操業をしないというのは漁業者のモラルですが、それ以前に規制を有効に行うという姿勢が日本政府に乏しいというものです。
政府はこの小型クロマグロの漁獲規制を実施する上で、各地をブロック化しそれに漁獲量を割当て、さらに各県にそれを配分するということをしました。
しかし、次にように分かりやすく解説されています。
「あなたは1トンしか獲ってはいけません」と言われたら、漁業
者はルールを守ることができます。でも「みんなで100トンしか獲
ってはいけません」と言われたら、早獲り競争になってしまい、そ
のルールは守られません。
このような、「早獲り競争」を起こさせるような状況にしているのが、今の政府の漁獲規制であるというものです。
クロマグロ漁をできるのは承認された漁業者だけであり、それ以外の者が漁をするのは違法ですが、承認漁業者に漁獲量を守らせるというのは、あくまでも自発的なものを期待するだけであり、今の法律では強制はできないことになっています。
このような中途半端な規制しかできない体制から、有効な規制ができる体制にするべきだったのに、そのような法整備を怠ってきた日本政府の怠慢がもっとも問題だったということでしょう。
政府はようやく罰則規定を伴う規制法整備を行う方針ということですが、勝川さんが最後に書かれているように、個別枠の設定とその譲渡の仕組みを作るのが先に行われなければいけないのでしょう。
あちこちで国際的に恥ずかしいことをやっているのが日本政府のようです。