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茶番劇に終始 小型家電R認定事業者協議会

2017.01.24 12:24

 小型家電リサイクル認定事業者協議会の発足については当初から不透明な部分が多々あることを指摘していたが(「小型家電R認定事業者協議会は出来レースの賜物?」)、やはり23日当日の協議会発足についてはほとんど総会屋のノリで答えが決まった状態で拍手でもち賛同を問うという茶番劇を展開したようだ。

 

 

総会屋?

 23日に都内で行われた小型家電R認定事業者意見交換会に出席した。

 

 認定事業者の1社によると

 「小型家電のリサイクルを盛り上げることには賛成で、また小型家電由来のスクラップでオリンピックメダルを作ることも大賛成。ぜひ協力していきたいと思う。しかしながら出席してみて改めての違和感も感じた」

という。

 

 違和感の第一には、23日の午前中に小型家電リサイクルの認定事業者のみの意見交換会が行われた際、元気ネットが事務局となって司会進行を行ったが、出席した46社のうちすでに「選抜されている6社」(日本磁力選鉱、トーエイ、スズトクHD、リーテム、マテック、イーアールジャパン)が中心となって議事は進み、協議会の立ち上げから会長、副会長の役員選定までをすでに決まっている方々(*会長にはリーテム、副会長にはスズトクHD)へ「賛同する場合には拍手」という前時代的な決め方により議事はトントン拍子に進んでいったという。

 

 実際、会長選出時の現場での拍手は満場一致とはいいがたい、出席した半分程度の賛同の拍手だったようだがそこで特に異論なく、

「というよりもよくわからないままに議事が進んでいった。自分は拍手しなかったですね。選抜メンバーの6社にしても会長選出にしてもその経緯が全くわからない。決め方もせめて投票とかにするべきだったのでは」

と疑問を呈する。協議会へ支払う年会費10万円、入会金10万円についても納得できかねるため、今回彼の会社は協議会への入会は見送るという。

 

 そもそもが「元気ネットってなにものなんですか?」という出席した認定事業者も疑問に付したように突然と小型家電リサイクル業界に出てきた感がある。霞が関お墨付きのリサイクルの本質を知らない御用学者(*もっともほとんどの学者が本質を知らない、理解していない方が多い御用系だが)が運営している単なるNPO法人が事務局を行うのも違和感あれば、さしてリサイクルの技術的な裏打ち、実力があるとはいいがたい業者が会長に選出されることも違和感があり、はっきりいってフェアではない。物事の決め方がすべて古臭い。昔昔の密室自民党政治を見ているようである。

 

 

90%近い人口カバー率でわずか6万7000トンの回収量

 小型家電のリサイクルははっきりいって盛り上がっていない。むしろ盛り下がっているのが現実で、三井物産が小型家電リサイクルから実質撤退していることでもわかる。儲からないからである。また、市町村でのやる気のなさも際立つ。

 

 実際、

 小型家電リサイクルを実施している市町村は全国で76%にのぼり、人口カバー率でいうと86.8%である。しかしながら平成27年度に回収した小型家電は6万6978トンという数字。いかにも少ない。

いかに自治体がやる気がないかを浮き彫りにしている。現場で小型家電リサイクルを従事している業者はこの点を特に理解している。

 

 ゆえに環境大臣もこのオリンピックメダルを契機に小型家電リサイクルを盛り上げていきたい、という意気込みはよくわかる。

 

 環境大臣が1月13日に閣議後の会見で

 「我が国のリサイクルの取り組みを国際的にアピールするとともに、現在埋め立てられている小型家電をリサイクルする制度の普及や回収率の向上につなげるうえで大変に有意義。

 組織委員会の審査を経て選定された事業者が自治体と連携することにより、日本全国のすべての国民の参加を得て、小型家電がリサイクルメダルとなり、オリンピック後も循環型社会として定着するレガシーとなるよう環境省としても全力で協力していく」

と語っているが、まず小型家電はたいして埋め立てられていない。中国に家電雑品で流れているか、リユース市場に動いている。この点は無駄なく利用されているはず。

 

 また、元気ネットが環境省の御用団体であるからか、経産省側の声が少ないのも気になる。経産省はあまり乗り気ではないのだろうか?

 

 

製造工程での材料ロスを勘案して4倍のリサイクル原料が必要?

 さらに、これも意味不明でおよそ健全なリサイクルとはいいがたいのが、リサイクルメダルに費やす原材料の物量である。メダルはオリンピック、パラリンピックで使用する合計5000個分のメダルを想定しているが、その際に必要な原材料として金が9,996g、銀が1,232,840g、銅が736,372g、亜鉛が16,660g、錫が3,332g必要としているが

「製造工程での材料ロスが発生するため、これの4倍程度の原材料が必要になる」

とオリンピック組織委員会は資料に明記しているが、ここにも大変な違和感がある。必要量の4倍も原材料が必要なほどロスが発生するのか?

 

 またこれら必要な原材料の金属価格を合計すると、

金で4,298万2800円、銀で7,133万2122円、銅で45万6551円などとなっており(*2015年11月13日時点での価額)、合計で1億1478万1930円となっているが、この単純に4倍とすると4億以上の価額になるか。しかし相場的には2015年11月よりも現在のほうが上昇しているため、なお金額ベースは高くなる。

 

 ちなみに平成27年度に小型家電リサイクル認定事業者による再資源化実績量は、

  金が214,000g

  銀が2,652,000g

  銅が1,466,000,000g

となっており、十分に必要量は賄える。

 

 特段に無理することなくリサイクルメダルは製作できるはずだが、国家的な取り組みを錦の御旗として補助金を頂こうという算段なのだろう。

 

 そういえば先の協議会の選抜メンバーからして揃いも揃って補助金をとるのが上手な方々である。補助金頼りになっていてはリサイクルの真の実力はつかない。発想も貧困。補助金取得をすすめる御用学者がまた御用業者を育てる悪循環。これでは日本のリサイクル業界はもっとダメな業界になる。

 

 

(IRUNIVERSE Y.Tanamachi)

 

 

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