「株を始めてみよう」特に新生活スタートのシーズンともなると、そう考える人は少なくありません。
ネット証券会社が台頭して以降、ハードルの高かった株式投資がとても身近になり、今では学生の身分でも気楽に(しかも簡単に!)株式投資を行うことができる時代です。特にネット証券の口座開設数はめざましく推移しており、業界トップと言われるSBI証券の口座数は2016年1月時点で350万口座を突破。概算ですが主要ネット証券会社の口座数を日本の人口の割合に当てはめると約5人に1人は証券会社の口座を持っている計算になります。
もちろん1人の人が複数の証券会社口座を持っていることもあるので、そのまま当てはめるのはいささか早計というものですが、相当数の人が証券会社の口座を持っている、と言ってもいいのではないでしょうか。
しかし、その反面「やってみたい」とは思うものの、なかなか株式投資の門戸にたどり着けず、数年たってしまった!という人も少なくありません。
このコラムではそんな人も含めて「取りあえず口座開設をやってしまおう!」を目的として読んでもらえれば幸いです。
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さっさと口座を開設してしまったほうがいいこれだけの理由
まずいきなりですが、何はともあれ、取りあえず口座を開設してしまったほうが理由について触れます。
1.多くの人がやっている=結構簡単に口座は作れる
冒頭でも述べたとおり、今では誰でも簡単に株式投資が行える時代となりました。それと言うのもネット証券会社のおかげ、というべきところですが、見方を変えれば「誰でも簡単に口座を作ることができる」ということに尽きます。
成人さえしていれば自分でできます。学生はもちろんのこと、世界の経済などにあまり知識がない人でも作ることができます。成人してさえ、とは言いましたが、両親の同意があれば未成年でも口座を作ることができます。後述で手続きに関する話をしますが、銀行口座を作るようなイメージとあまり変わりありません。
2.そもそも口座開設料、維持費は無料
主要なネット証券会社の口座開設にはそもそもお金がかかりません。口座の維持費ももちろん無料です。一部の店舗型証券会社を除いて、開設、口座の管理費用などは無料であるため、持っているだけでも損はしません。また、一部の証券会社を除いて、キャッシュカードを発行されることもないので、財布のカード入れを1枚分埋めることもありません。そんな心配も必要ないので、かなり気楽に口座を持てると考えていいのではないでしょうか。
3.日本の経済が変わり始めている?
時勢的な話となるため、これを読んでいる方がいつ読まれているかによって変わる話かもしれませんが、日本経済はいわゆる「失われた20年」から脱却する流れにいます。途中、リーマン・ショックや東日本大震災といった大きな出来事がありましたが、アベノミクスによる経済効果は少なくとも、平成不況と言われた頃から確実に歩みを進めています。
それが良いか悪いか、はわかりません。しかし市場が慢性的に感じていた経済の停滞感はいよいよその終わりを見せ始めています。東京オリンピックなども控え、これからの潮流に乗るか乗らないか、といったことを考えれば、口座くらい作っておいても良いかもしれません。
4.機会損失を最小に抑えることができる
なぜ「取りあえず証券会社の口座を開設しよう!」なのか、という一番の理由がここにあります。
現在、口座を開設していない人にアンケート(※MyVoiceアンケート調査より)を行ったところ「どんなものかわからない」「もっと勉強してからのほうが」「実際にイメージがわかない」といった声が聞かれます。
確かにその通りで、わからないものに対して動くというのは行動力が必要になってくるかもしれません。
しかし、株は「はじめてみよう」のスタート位置によって、他の人と差が生まれることを頭においている人は少ないのではないでしょうか。
例えばあなたがA社の株価が今後、高騰しそうだと思ったとします。ネット証券に口座を持っていれば、パソコンで取引画面を開くか、スマートフォンのアプリを開いて、購入したい株数を入力しボタンを押すだけ。それだけで投資を行うことができます。
しかし口座を持っていない場合はどうでしょう?
A社の株価があがりそうと思った時に、どの証券会社にするか悩んだ後、必要な書類と印鑑を用意して申し込み。数日後届く本人限定受取郵便を受け取って、必要なら本人確認の書類を返送。それから証券会社の確認を経て初めて取引開始、となります。
ただ株式市場は毎日、毎時、変動しています。この頃には予想通り高騰した株を、高騰前の価格で手に入れることができず、苦虫をかみつぶしたような顔になるかもしれません。
ネット証券では手続きもネット上で行うことができるようにはなっていますが、それでも最短で翌営業日。翌日の取引開始で価格が上がりきってしまった、ということは起こり得る話なので、やはり事前に口座を持っている持っていないとでは大きな差があります。
わからない人のための口座開設の方法
さて、口座開設の方法について説明したいと思います。
証券会社に口座を作ることは先述の通り、難しいものではありません。恐らく多くの人が気にするのは「どう進めればいいか」を考えてしまうことが、行動力を低下させる要因になっていると思います。
そこで、3ステップで考えてみることにしました。
まず、ほとんどの人が経験していると思われる銀行口座の開設で見てみましょう。
- 銀行を選ぶ
- 必要なものを用意する
- 窓口に行く
おそらくこんな感じになるのではないかと思います。
それでは証券会社の口座開設ではどうでしょうか。申し込みが比較的、簡単と言われるネット証券の場合で見てみましょう。
- 証券会社を選ぶ
- 必要なものを用意する
- 申し込み画面から申し込む
実際にこのステップで証券会社に口座を作ることができます。
今度は銀行口座の例を当てはめながら、証券会社の口座開設までの流れを見ていきましょう。
1.証券会社を選ぶ
皆さんは銀行の口座を開設する際、どんな基準で選んでいますか?
「メガバンクでなんとなくいいと思ったから」「家から一番近い銀行だったから」「勤め先からここの銀行で、と指定を受けた」「キャンペーンの商品が気にいったから」
だいたいこんなところでしょうか?最近では「コンビニで使いやすいから」が入るかもしれません。
つまり選ぶ基準は人それぞれであり、自分が便利と思った証券会社であれば、まずはそこで口座を開設することが一番の大事なポイントです。
例えば楽天銀行と結びつきの強い楽天証券であれば、楽天ポイントも獲得することができお得です。用意されたツール系がトレーダーからの評価を受けている、という側面もありますが、これから投資を考えている人にとっては、選定基準をもっと単純なところに落とし込んだほうが決めやすくなります。
SBI証券は業界最大手、情報量も多いことから、「取りあえず」で選ぶことができますし、手数料で選ぶならマネックス証券、松井証券なども挙げられます。
自分にとって一番大事なポイントだけに絞り込んで選択することが大切です。
もし「作っては見たけれど、ここは嫌だな」と思えば、他の証券会社の口座を作ればいいので、大きな問題になることはありません。むしろトレードのことを本格的に考えている人は、複数の証券会社の口座を持っていることがほとんどです。
2.必要なものを用意する
まず銀行口座を作るときの話で考えてみましょう。
銀行に口座をもつ場合、必要となるのは印鑑と本人確認書類、ということは、ぱっと思い浮かぶと思います。最近では、印鑑を廃止するような動きもありますから、将来は本人確認のみ、ということも考えられそうです。
さて、今度は証券会社に口座を作る場合です。だいたいどの証券会社でも共通のものになりますが、
- 印鑑
- マイナンバー
- メールアドレス
- 本人確認書類
このような物が必要になります。
銀行の口座開設と変わりませんが、一部違うのがマイナンバーとメールアドレスです。この説明は後ほど行います。
まずは印鑑。この手の契約の話となると、印鑑が必要であることはもはや説明不要だと思いますが、何も役所に届けた実印でなくても構いません。この場合、銀行印レベルのものが適当になるでしょう。
ちなみに印鑑はネット口座を開く際に、すぐさま必要になるものではありません。ネットからの申し込み後、証券会社によっては、後日まとめて書類を一式送られてくる場合があります。
後述で説明しますが、この書類に「口座開設申込書」というものがあり、その申込書に押印するために印鑑が必要、ということになります。
次に一番の肝となるマイナンバーと本人確認書類について説明しましょう。
マイナンバーは2016年1月1日より始まった制度ですが、同じタイミングで新たに証券会社と取引をする人、またそれ以前から取引している人についてもマイナンバーを証券会社へ提出しなければいけなくなりました。ちなみに法人の場合は法人番号が必要になります。
マイナンバーの提出方法は各証券会社によって取り決めがありますが、ネット証券の場合「通知カード」または「個人番号カード」をスキャンするかアプリで読み込ませることにより提出することが可能です。
もちろん郵送による手続きも可能ですが、ネット上で完結できそうであればそちらのほうが楽です。
そしてネット証券に申し込むのであればメールアドレスが必ず必要になります。こちらは普段使っているものを用意しましょう。そういった意味では用意するというほどのものではないかもしれません。注意したいのは勤め先のメールアドレスを利用することは避けたほうが懸命です。決して同僚や上司に投資していることがバレてしまう、という理由ではなく、もし退職した場合、そのメールアドレスが使えなくなってしまうからです。メールアドレスの設定は変更できるものの、よほどの事情を除いてわざわざ行うものでもないので、最初から普段使いのものを用意しておくほうがいいでしょう。
最後に本人確認書類ですが、これは運転免許証、パスポート、個人番号カードが代表的です。もし手元に1つでもあれば、これらのものを使ったほうが手続きがスムーズになります。
他にも住民票や印鑑証明、保険証、各種健康保険証なども利用することが可能となっていますが、住民票等においては発行から半年以内、などの制限がつきます。また証券会社には氏名・住所・生年月日が正確にわかるものを送らなければいけないため、証明書によってはそれらが載っていないケースもありますので、この点に注意するようにしましょう。
なおこの本人確認書類もスキャンまたはアプリから送ることができる証券会社もあります。
3.申し込み画面から申し込む
必要なものさえそろってしまえば、あとは流れに任せるだけになります。自分がこれと思ったネット証券のサイトを開いて、画面内にある新規申し込みから申し込むだけです。場合によって収入なども聞かれることがありますので、正確に入力するようにしましょう。特に将来、信用取引を考えている人にとっては重要なポイントです。一連の情報を入力する際に、先述のマイナンバー、本人確認書類がこの時点で必要になる場合がありますので、あらかじめ用意しておきましょう。
これらをすべて入力し終えた後、数日内に証券会社から取引に関する書類が一式まとめて送られてきます。この時点で取引が可能な場合もありますが、必要な書類に記入して返送する場合もありますので、各社の申し込み方法についてあらかじめ確認しておきましょう。
目的は後回し!1つでもいいから口座を作っておくことが大事
以上の流れであなたも個人投資家デビューを果たすことができます。少し面倒に思った方もいるかもしれませんが、そろえるものだけそろえておけば簡単に口座を開設することができます。
最後になりますが、投資を行うには目的が明確化しておいたほうがいいと言われています。例えば「老後のための生活資金」であったり「余剰資産の運用」という人もいるでしょう。特に近年においてはゼロ金利政策が進められていることもあり、銀行にお金を預けても利息は期待できません。そのことから投資を考える人も少なくないそうです。
いずれにしても目的は人それぞれであり、その人にあった運用方法、というものはあります。しかしそうは言っても、もう少し考える時間がほしい、と考える人もいると思います。それでは、その目的を決めないでもいいから口座を開設したほうがいいのでしょうか?
答えはYESです。文中でも述べましたが「機会損失」「口座の開設・維持費は無料」ということを考えれば、作ったからといって損をするわけではないからです。むしろいつまでも傍観していることこそ、大きな損失があると考えるべきです。
取りあえず口座を作ってから試しにログインすることで得られる情報は、口座を作らなかったときと比べて雲泥の差があります。入金しなくともチャートを確認することはできますし、各証券会社から出ているニュースは他ではなかなか見ることのできないものが多くあります。そこから投資に対するイメージを作っていくことで、自(おの)ずと目的が浮かんでくるのではないでしょうか。
まずは自分の選んだ証券会社の門戸を開けてみましょう。あなたにとっての株式投資はそこから始まるわけですから。




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