マラソンランナーの能力について、トップランナーの場合は、35歳頃から成績が下がり始め、平均的なランナーの場合には、50歳頃から成績が下がり始めると分かりました。
米国ジョージア州立大学の研究グループが、PLOS ONE誌で2017年2月10日に報告しました。
エリート選手と趣味のランナーの違い
マラソンは、米国でも最も人気のあるスポーツイベントの一つです。毎年50万人がマラソンで完走しています。中でも人気の高いボストン、ニューヨーク、シカゴの三大マラソンの参加者について2001年~2016年のデータから、能力のピークの年齢を調査しました。
その結果、トップアスリートの場合には35歳から成績が下がり始め、趣味のランナーは50歳頃から成績が下がり始めることが分かりました。トップランナーの場合、男性は年に2分ずつ、女性は年に2分30秒ずつタイムが遅くなりました。一方、平均的なランナーの場合には、成績が下がり始めるのは50歳頃からで、タイムの低下率は男女とも同程度で、年に2分45秒でした。
マラソンのタイムのピークは25歳~34歳で、優勝年齢は男性が28.3歳、女性は30.8歳でした。
なぜ成績の下がり始める時期が異なる?
トップアスリートと趣味のランナーで、成績が下がり始める時期が15歳も異なることについて研究グループが推測しているのは、趣味のランナーは自分自身のランニングの潜在能力に気付いていないことや、比較的年齢が高くなってからランニングを始めることなどが影響しているということです。
優勝の年齢の男女差は生理学的差違ではないと、推測しています。女性の場合は、出産のためにランニングを離れ、その後戻ってくることなどが影響しているのではないかと、研究グループは考えています。
なぜ成績の下がり始める時期が異なる?
この研究は、中高年ランナーの気持ちをくじくつもりはないと、研究グループは述べています。
「常に向上の余地があります。肉体的にベストな時期は25歳~34歳ですが、それぞれの人がパーソナルゴールを設定し、トレーニングすることはできます。そのための練習をすることで、血圧やコレステロール値を下げたり、メンタル面での健康を増進したりとか、様々なメリットがあります」と研究グループは説明します。
タイムを上げようと目指すときに、一つの目安にできるかもしれません。
(ヘルスキュア編集部)
参考文献
Declines in marathon performance: Sex differences in elite and recreational athletes
Marathon Performance Affected By Differences in Sex and Running Ability