今さら聞けない。Androidスマホを買う前に知っておきたい基本知識

《2017年春版》SIMフリースマホのカタログやスペックの読み方教えます

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続々と登場するSIMフリースマートフォンだが、数が多くて選ぶのが難しいのも確か。そこで本特集では、SIMフリースマホのスペック表に掲載される情報を、ボディ、ディスプレイ、CPU、センサーなど、バッテリー、対応バンド、DSDS、カメラ、OSのバージョンという9項目に分けて、そのポイント解説する。

【ボディ】
人気の金属製ボディだが、耐久性の低いものも一部に見られる

最近のスマートフォンは、側面がアルミ合金製のフレームで、背面が樹脂や金属などの素材というパターンが多い。なかでも、全面アルミ合金製で覆われたボディは樹脂製のものよりも高級感があり人気がある。しかし、同じアルミ合金製でも、使っているうちに使い古した1円玉のように傷だらけになったり、わずかな衝撃でフレームが曲がってしまうものもある。これは、ひと口にアルミ合金と言っても、使われる素材や加工方法、表面処理にさまざまな種類があり、コストを抑えるために、加工の楽なやわらかい素材を使ったり、耐久性を高める表面加工が不十分な場合があるためだ。傷がつきにくく耐久性の高い素材を使っている場合、「航空機用素材」「航空機基準」といった素材の用途や、「7000番台アルミ」のように素材名まで具体的にカタログに明記されているので、参考にしよう。

また、ボディの防水・防塵対応だが、SIMフリースマホでも増えてきているものの、まだその数は少ない。防水基準では、水深1mの水中に30分沈めても大丈夫なIPX7と、水深1.5mの水中に30分沈めても大丈夫なIPX8等級がある。当然IPX8等級のほうが高性能だが、日常考えられるトラブルに備えるならIPX7でも十分だ。なお、IPX7未満のIP5Xなど水没には対応しない。

いっぽうの防塵性能は、有害な影響が出る粉塵が中に入らないIP5Xと、粉塵自体が中に入らないIP6Xがある。当然IP6Xのほうが高性能だが、こちらもIP5Xが確保されていれば、日常的な汚れや粉塵であれば問題はない。

SIMフリースマホのエントリーモデルでも、最近は、金属製ボディを採用するものが増えている。しかし、使う素材や表面加工の違いで傷のつきやすさに大きな違いがある

【ディスプレイ】
フルHDであれば合格点。有機ELと液晶では性質が異なる

近ごろ発売されるSIMフリースマートフォンは、低価格機でも1080×1920のフルHD表示以上に対応するものが増えた。スマートフォンに使われる5インチ台のディスプレイなら、フルHDの解像度があれば、粗さが目に付くことはなく、実用上は十分だろう。なお、スペック表に、液晶パネルの駆動方式である「IPS」と明記してあるものがあるが、IPSパネルは視野角が広く色の変化が少ないなど、品質が高い。ただ、筆者の印象では近ごろは安価なモデルでも、視野角が狭く見にくいものは激減しているので、IPSという表記がないからといって、さほど気にする必要はないように思う。

画質については、一般的な液晶パネルか有機ELパネルのどちらかを採用しているかで、大きく変わる。有機ELパネル(OLEDと呼ばれる場合もある)は、バックライトがないためボディを薄くできるほか、黒や暗部の表現にすぐれており、また、応答速度の速いので静止画や動画などの表示に向いている。デメリットは輝度の不足で、明るい日差しの下では画面が暗く沈みこみやすい点だ。

また、同時に認識できるマルチタッチの数が5点のものと、10点のものがある。大画面のタブレットで、複数人で同時に遊ぶようなゲームを使う場合は気にした方がよいが、画面の小さなスマートフォンでは、さほど気にする必要はないだろう。

右が液晶パネル、右が有機ELパネル。有機ELパネルはまだ採用モデルが少ないが、画質面では液晶よりも有利だ

右が液晶パネル、右が有機ELパネル。有機ELパネルはまだ採用モデルが少ないが、画質面では液晶よりも有利だ

【CPU】
スマホの基本性能を決めるSoCのクラスを知ろう

スマートフォンのCPUは、GPUや通信機能、周辺機器の制御などをひとつのチップにまとめた「SoC(System on a Chip)」の一部に含まれる。どのSoCを搭載しているかでおおよその処理速度やレスポンスが予測できるが、スペック表にはSoCの型番が書いているだけで、どれくらいのグレードの製品かはわかりにくい。以下に、SoCで大きなシェアを持つQualcommの「Snapdragon」と、MediaTekのそれぞれのシリーズについて、主なSoCのグレードの違いを表にした。参考にしてほしい。

Snapdragonシリーズ

MediaTekシリーズ


このほか、処理性能をある程度判断できるポイントとして重要なのがRAMの容量だ。今選べるAndroidスマートフォンは、OSに、Android 6.0かAndroid 7.0が使われているが、いずれも、スムーズに動作させるには3GB程度のRAM搭載が望ましい。つまり、3GBを基準として、3GB未満ならコスト優先モデル、3GB以上なら一定以上の処理性能が期待できるモデルとみなすことができる。

なお、オクタコアやクアッドコアといったCPUコア(実際に演算処理を行う部分)の数は、スペック表に必ず載っているが、コア数が多いほど早いというわけではない。たとえば、Snapdragonシリーズの2016年モデルで、最高の処理性能を誇るMSM8996はクアッドコア(4コア)であるが、FREETELの「KIWAMI 2」に搭載される「X20 MT6797」は10コアのCPUとなっている。しかし、性能的には、4コアのMSM8996のほうが上だ。上記のグレードを参考に選んだほうがよいだろう。

【センサーなど】
スマホの利便性を高める指紋認証センサーやNFC。測位では「みちびき」に注目

センサー類では、まず指紋認証センサーに注目したい。指紋認証はOSの標準機能を使っており、キーロックの解除や、アプリの起動制限、一部の機種についてはGoogle Playの課金認証などに利用できる。この1年ほどで、低価格機でも指紋認証センサーを搭載するものが増えているが、あると便利なことは間違いないので、機能の有無は必ずチェックしよう。また、家電製品やカメラ、プリンターなどに、かざすことで通信が行えるNFC(Near Field Communication)ポートも重要だ。NFCポートがあれば、連絡先や各種ファイルなどを共有する「Androidビーム(Android Beam)」という仕組みがあり、ケータイの赤外線通信のように手軽なデータ交換手段として利用できる。ただし、おサイフケータイで使われる「FeliCa」ポートを備えるAndroidのSIMフリースマートフォンはまだ少なく、Androidでは、シャープ、京セラ、富士通の一部製品のほか、5月に発売が予定されているトリニティの「NuAns NEO[Reloaded]」くらいに限られる。もしFeliCaが必要ならばこれらの製品の中から選ぶ必要がある。

また、昨夏に注目を集めた「ポケモンGO」のAR機能に必要なジャイロセンサーは、エントリーモデルでは省略されている場合がある。この手のゲームを多くプレイする人はもちろん、スマートフォンをカーナビとして使う場合に、自車位置の精度アップにもジャイロセンサーは効果的だ。

GPS機能については、一般的なアメリカ製の「GPS(Global Positioning System)」のほかにも、ロシアの「GLONASS(グロナス)」、EUの「Galileo(ガリレオ)」、中国の「北斗(Beidou、英語名Compass)」といった全世界を網羅するものや、日本および近隣エリア向けの「みちびき(QZSS)」の衛星を利用できるものもある。多くの測位システムに対応しているほうが、精度では有利だが、特に注目なのが、「みちびき」だ。「みちびき」は、2018年度に現在の衛星1基体制から4基体制に増強されるので、安定性の大幅アップが期待できる。「みちびき」の衛星は、空のほぼ真上(天頂)付近に位置しているので、ビルや山などの物陰になりにくい点も、測位精度アップに有望だ。

なお、充電やデータ転送に使うUSBポートだが、現在、従来のmicroUSBポートと、新規格USB Type-Cポートを採用するものが混在している。USB Type-Cポートは充電時間が短いうえに、コネクターの裏表どちら向きでも差し込むことができるなど機能性は高い。ただ、USB Type-C対応スマホの場合、既存の充電器やケーブルがそのままでは使えないので、製品パッケージに充電器や変換アダプターやケーブルが同梱されているかはカタログスペックで確認したい。

新規格のUSB Type-Cはコネクターの表裏がないのが特徴

新規格のUSB Type-Cはコネクターの表裏がないのが特徴

【バッテリー】
電池持ちを知りたいならバッテリー容量よりも、連続通話時間/連続待ち受け時間をチェック

最近のスマートフォンは、以前よりサイズが大きくなっているので、搭載されるバッテリー容量も増えている。大体2000〜3000mAhくらいが多く、3000mAh以上あればかなりの大容量だ。一般的に、容量が大きいほうがバッテリーの持続性には有利だが、スペック表にある連続通話時間や、連続待ち受け時間の3GやLTEの項目を見たほうが、実際の電池持ちをイメージしやすい。連続通話時間は1000分以上、連続待ち受け時間が500時間以上あれば、バッテリーの持続性は比較的良好な部類と言える。

大容量バッテリーの欠点は充電に時間がかかることだが、それを補うのが急速充電だ。急速充電では、「QuickCharge(QC)」と呼ばれる標準的規格のほかに、各社が独自の急速充電がありやや乱立気味だ。注意したいのが、大容量バッテリーを搭載する低価格機で、一部に急速充電に対応していないものがある点。スペック表やカタログにQuickCharge(QC)や「急速充電」の文字がない場合は、製品FAQなども調べておきたい。

【対応バンド】
格安SIMで主流のNTTドコモネットワークとの適合性が重要

SIMフリースマートフォンを選ぶ場合、ネットワークの対応バンドは重視したい点だ。組み合わせるSIMカードが対応するネットワークと適合性が乏しいと、通話エリアが狭くなったり、通信速度が遅くなりやすい。なお、格安SIMの多くは、NTTドコモのネットワーク利用するので、NTTドコモのネットワークとの適合性は第1にチェックしよう。以下に、NTTドコモと、au、ソフトバンク(ワイモバイルを含む)の通信キャリアが提供中のネットワークの対応バンドをまとめてみた。

2017年4月時点の、主要3キャリアがサービス中のLTE対応バンド一覧

数多いLTEの対応バンドでも、通信できるエリアが広いのが、「プラチナバンド」と呼ばれる800〜900MHz 帯の低周波数帯で、NTTドコモではB19、auではB18、ソフトバンクのB8がそれに当たる。なお、同じプラチナバンドでも、700MHz帯を使うB28は、今までテレビ放送の中継伝送などに使われていたもので、それらの移行が済んだ地域から順次エリア展開されるので、対応エリアはまだ限られている。なお、auのB26は、端末側がMFBIという機能に対応している必要がある。また、各社のバンドのうち一部は、特定の端末のみに利用を制限しているものがある。

【DSDS】
注目のDSDSは、microSDカードと併用できないものが多い

SIMフリースマートフォンでは、2基のSIMカードスロットを備え、2枚のSIMカードを同時に利用できるDSDS(デュアルSIMデュアルスタンバイ)に対応しているものが増えている。DSDSでは、1枚のSIMカードをLTEのデータ通信に、もう片方を3Gの音声通話用に使うのが一般的。なお、SIMカードスロットを2基備えているがDSDSには対応していない製品もあるので、スペック表に「DSDS対応」と明示しているものを選ぼう。

なお、DSDS対応モデルでは、2基のSIMカードスロットのうち片方が、microSDメモリーカードと共用になっていることが多く、SIMカードとmicroSDメモリーカードが排他仕様になっていることがあるので、この点にも注意したい。

SIMフリースマホの注目機能DSDSだが、SIMカードスロットとmicroSDメモリーカードが排他利用になっているものが多いので気をつけよう

【カメラ】
画素数がポイントだが、スペック値に現れにくい独自機能も多い

スマートフォンのメインカメラの画素数は、現在1000万〜2000万程度が標準的。画素数は一般に多いほうがよいとされているが、ファイルサイズも大きくなる。撮った写真をスマートフォンの画面で見る分には高画素にこだわる必要性もあまりない。1000万画素以上であれば、それほど大きな違いはないと考えていいだろう。

いっぽう、今各社が力を入れているのは、2個のレンズを組み合わせたり、オートフォーカスを高速化したり、エフェクトに工夫を凝らしたり、操作方法を工夫するといった独自機能の面だ。こういう機能はスペック表だけではなかなか読み取りにくいので、製品レビューなどを参考にしたい。サブカメラは、なお、100万〜1000万画素以上で、機種によって大きな差がある。画素数が多い機種は、自撮り撮影(セルフィー)を重視しているもので、逆に画素数の少ないものは、低性能でもよい顔認証ログイン用に割り切っているものだ。

フラッシュ機能の違いもある。近ごろは、サブカメラの撮影時に、ディスプレイをフラッシュの代わりにする「ディスプレイフラッシュ」という機能を備えるものが増えている。また、メインカメラについても、発色の異なる2個のLEDフラッシュを組み合わせる「調光対応」とか「デュアルLEDフラッシュ」などと呼ばれるものも増えている。これらのフラッシュであれば、より自然なフラッシュ撮影が可能だ。

デュアルレンズなど、カメラの性能は製品の特徴をアピールできる重要なポイントで、各社が力を入れている

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【OSのバージョン】
Android 7.0とAndroid 6.0が混在中。バージョンアップへの対応もポイント

この春に登場したAndroidスマートフォンは、OSにAndroid 6.x系かAndroid 7.x系のどちらかが採用されている。当然ながら、Android 7.0のほうが色々な機能性は高くなる。ユーザーにとってわかりやすい違いとして、Android 7.0では、2画面のマルチウインドウに対応した点がある。マルチウインドウを使えば、Webページを観ながらSNSのタイムラインを眺めたり、2個のアプリを画面を切り替えずに利用できるようになるので便利だ。

もちろん、Android 6.x系を採用するモデルでも、後日Android 7.0へのアップデートされる可能性はある。ただ、メーカーによってバージョンアップの実績が乏しいところもあるので、過去の実績などから判断しよう。

なお、OSのバージョンアップには、ダウンロードするデータの保存用に数GBのストレージ容量が必要なので、ストレージ容量がそもそも少ない低価格機は、バージョンアップの敷居が高くなる傾向がある。

最新世代のAndroid 7.0は、2画面のマルチウインドウ機能が魅力

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田中 巧(編集部)

田中 巧(編集部)

FBの友人は4人のヒキコモリ系デジモノライター。バーチャルの特技は誤変換を多用したクソレス、リアルの特技は終電の乗り遅れでタイミングと頻度の両面で達人級。

製品 価格.com最安価格 備考
HUAWEI nova lite SIMフリー 0 Android 7.0や3GBのRAMなどコストパフォーマンスの高さが光るSIMフリースマートフォン
HUAWEI nova SIMフリー 35,662 アクティブで軽快なイメージが特徴のファーウェイ「nova」シリーズの上位モデル
Moto G5 Plus SIMフリー 38,290 5.2型フルHD液晶を搭載したSIMフリースマートフォン
Moto G5 SIMフリー 24,378 5.0型フルHD液晶を搭載したSIMフリースマートフォン
GRANBEAT DP-CMX1(B) SIMフリー 88,787 SIMフリーハイレゾスマートフォン
NuAns NEO Reloaded NA-CORE2-JP SIMフリー 49,800 おサイフケータイに対応したSIMフリースマートフォン
VAIO Phone A VPA0511S SIMフリー 26,773 Androidを搭載した5.5型SIMフリースマートフォン
g07+ SIMフリー 21,384 DSDS対応の5.5型SIMフリースマホ
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Tommy SIMフリー 14,342 フランスの新興企業Wiko社のスマートフォン第一弾
ZenFone 3 ZE552KL SIMフリー 43,798 5.5型フルHD液晶を搭載したSIMフリースマートフォン
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