中国が「千年の大計」の触れ込みで、新たな大都市の建設に乗り出す。北京の南西約100キロに位置する河北省の雄安新区。経済での実績づくりを狙う習近平(シーチンピン)国家主席肝いりの国家事業だ。計画は4月1日に突然発表され、現地には開発を見込んだ投機や投資の大きな波が押し寄せている。
発表は突然だった。中国中央テレビのニュースは1日、新区は「共産党中央による千年の大計」と大げさな言葉で伝えた。2月に習氏が現地を視察した映像を流し、「トップダウンの決定」を強く印象づけた。
新区は、北京の南西約100キロにある河北省保定市の雄県など。まずは約100平方キロメートルを開発し、将来は広さ約2千平方キロになる。人口200万~250万人と報道されている。大阪府よりやや広い都市を、ほぼゼロからつくる。
現地の近くには高速道路や鉄道が通り、水資源も豊富だ。習氏は「国際的に一流で環境に優しく、現代的でスマートな都市」として、先端産業を呼び込むという。高度成長のエンジンとなった深圳や上海浦東とは違い、安定成長に入った中国を象徴する都市づくりを目指す。
首都機能と関係のない産業や施設を北京から移転させるのも目的の一つだ。人口2200万人に迫る北京の深刻な交通渋滞や大気汚染、不動産価格の高騰は緩和が急務だからだ。すでに40社程度の規模の大きい国営企業が新区の建設を支持したと報道されている。都市建設には膨大なインフラ建設を伴うため、低下しつつある経済成長を支える狙いもありそうだ。(保定=福田直之)
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朝日新聞国際報道部