「空電ノイズの姫君」は冬目景による漫画作品。
月刊バーズで2016年9月号から連載を開始した。
抜群のギターテクを持つ女子高生・磨音は、美人転校生・夜祈子と親友に。美しい歌声の夜祈子は、どこかミステリアスで……。
(幻冬舎コミックス公式サイトより)
昨年ちょうど月刊バーズが初電書化された号が第1話だった。
磨音と夜祈子
高校2年の夏、保坂磨音(ほさか まお)は転校生・支倉夜祈子(はせくら よきこ)と出会った。
朝の教室で、いつもなら誰もいないはずの時間に、一人で歌っていた黒髪のきれいな女の子。
二人が仲良くなるのに時間はそうかからなかった。
何より、音楽の趣味が近く、古いロックが好きという共通点がある。
磨音はミュージシャンの父を持ち、物心ついた頃からギターを弾いてきた。
夜祈子は叔父のCDやレコードを引き取っているため、昔の洋楽の方が聴き慣れている。
そのうち、磨音は一人暮らしをしている夜祈子の家を時々訪ねるようになった。
お互い音楽の話ができる同世代は貴重な存在。
いずれはこの二人が一緒にバンドを組むことになるんだろうけど、もう少し時間がかかるようだ。
ちなみに初登場時の夜祈子が歌っていたのはおそらくこの曲。
彼女の祖母が好きな曲らしい。
初めての音合わせ
来年は受験生になることもあり、将来の進路にも悩む時期。
父の姿を見てきた磨音は音楽の道へ進むことは考えていない。
音楽誌の編集者で父の恋人である千諭(ちさと)には演奏技術を高く評価されているが、それだけではやっていけないことも、不安定な職であることも理解している。
そんな時、父の昔のバンド仲間の原田の紹介で、ギタリストを探している大学生と出会う。
彼らは事故で亡くなった元メンバーの遺した曲を完成させようとしていた。
父親に似た境遇の彼らに同情した磨音は協力することになるのだが。
作曲はできるけど生活力の無いベースの高瀬と、その保護者のようなドラムの日野。
二人は才能のあったギター・ヴォーカルのチアキ(智明)がいなくなった後にバンドの存続をめぐってあがいていた。
ここに磨音と夜祈子がいればパート的には揃うわけなんだけど、どうだろうか。
女性陣に比べて男性陣が見劣りするのはいつも通りと言えばそうなんだけれど。
ガールズバンドなり、磨音と夜祈子+サポートの方がいい気がする。
元々チアキで成り立ってたバンドなので、実力の離れたメンバーが入ってもうまくいかないんじゃないのかな。
というか率直に言ってもったいないなと。
磨音は父の専用スタジオでいつでも練習できる環境にいる。
新しく手に入れたらしいレスポール・スペシャルが愛用の一本になるのかな。
彼女が中学時代に弾いていた音源について、ギルモアという単語が出てくる。
今時Pink Floydを聴く女子中学生はなかなかいないだろう。
David Gilmourは今でも現役である。
気になるのは夜祈子のトラウマ映像。
彼女は幼い頃に両親を亡くしているが、何があったのか。
ずいぶんと重い過去を背負ってそうなんだけど。
あとがき
1巻は第8話までを収録している。
1話目以外は20ページずつなので刊行ペースはゆっくりになるね。
第9話はコミックバーズ 2017年6月号に掲載されると思うけど、電子書籍版の販売が期間限定(3ヶ月か?)なので続きを追いたい人は早めに買っておいたほうがよさそう。