ナポレオン以来の・・・
「ナポレオン以来」は、フランス大統領選が始まってから頻繁に聞かれた形容詞。つまりもし39歳のマクロン氏が大統領に選出されれば、それはナポレオン以来の最も若い一国のリーダーになるだろうという意味で。
いろいろある中で「エリゼ宮のロックスター」というのが気にいっています。「未来を語る」というのもありました。他の候補は過去を見ているのに対し、フランスの将来を、理想を語っています。
スキャンダルもどんでん返しも何でもある選挙戦でした。
候補者がパートナーとともに表紙を飾ります。
映画のポスター仕立てのおしゃれなTwitterが印象的でした。
なかなかに賑やかだったけれど、最後まで心配でした。急進左派のジャン=リュック・メランション氏の追い上げがあったため、最悪のシナリオ、すなわち右と左のポピュリストふたりが5月の決選投票に進む可能性も危惧されました。二人ともEUとの関係を見直すことを政策に掲げていたのです。イギリスの次にフランスも、というのではヨーロッパはおしまいですから。
そして4人の候補者が20%程度の支持率で横に並ぶという、異例の大接戦でした。
蓋をあければ、ああそんなに心配することなかったなと思い、ほっとしました。
マクロン氏が首位に立ち、続くル・ペン氏と5月7日の決選投票に臨みます。
こちらは退く人。
5月に任期満了のオランド大統領がテレビを見ています。
オランダの右翼政党のウィルダース氏が、躍進したル・ペン氏のお祝いに駆けつけています。
Voici les meilleurs tweets du 1er tour de l'élection présidentielle
エリゼ宮のロックスター
選挙キャンペーン中、ナンシーでとっても若い支持者を抱っこするマクロン氏。
Emmanuel Macron, een rockster voor het Elysée | Frankrijk | De Morgen
投票率はどのくらいだったんでしょう。
私はうまく探せず、昨日の夕方5時の時点で69.42%ーこれしか見つかりませんでした。いちおう切り抜いておきます。もちろん70%は超えていると思いますが。
5月7日の決選投票の世論調査による予想は次の通り。
各社とも、マクロン氏が6割以上を獲得するだろうということです。
そして大統領に選ばれれば、様々な困難が待ち受けているわけですが、その辺はニューズウィーク日本版など、専門家の書いた記事をお読みください。
お祭り騒ぎだったかつての仏大統領選
フランソワ・ミッテラン大統領誕生のとき(1981年)も14年務めたあとで退任するとき(1995年)もフランスにいて感慨深いけれど、こちらのお二人さんのことも今懐かしく思い出します。
Encyclopédie Larousse en ligne - Jacques Chirac
これは1995年の大統領選で、フランスの小学生も選挙に関心が高いのだなと感心し、強く印象に残っています。
ジャック・シラク(Jacques Chirac 共和国連合)とリオネル・ジョスパン社会党党首( Lionel Jospan )の戦いは、第一回投票でジョスパンが首位に立ち、決選投票でも善戦したのですが、結局敗れてしまいました。
この結果を私たち家族はおもしろい所で知ることになります。その日はちょうど息子がやっているスポーツの全国大会の日で、息子は代表に選ばれて地方の都市へ出かけていました。子どもたちは全員、コーチの車で連れていってくれるのです。同じホテルに泊まり、一緒に行動します。応援したい家族は各自ホテルを予約して、列車か車などで移動する。
大会も終わって夕方、選挙の結果が待たれました。私たちが帰路の列車に乗っているとき、車内アナウンスでシラク氏が選ばれたと発表がありました。
息子はコーチの車の中で、皆でラジオを聞きながら発表を待っていたそうです。そしてシラク氏の名が告げられると皆がNO~!と叫び、仲間たちの親もコーチも全員が社会党のジョスパン氏に入れたことがわかったというのです。政治や選挙の話は常日頃からしているらしく、政策などもよく知っているようでした。
お約束の諷刺人形劇
フランスのTV局Canal+の番組”Les Guignols de l'info”は楽しかったです。司会者も政治家もデフォルメされた、しかしよく似ている人形たちが出演します。
パロディやら諷刺やら皮肉やら…おもしろそうなネタがいっぱいなんですが、いかんせん事情を知らないとついていけません。それでも笑えるところはいろいろあって、選挙前の楽しみでありました。
シラク氏はこんな感じ。
Les «Guignols de l’info» ne feront pas leur rentrée avant octobre
政治家ばかりでなく、タレントやスポーツ選手なども。真ん中の人が司会者です。(1998~2015年まで)
そんな風に選挙はちょっとしたお祭り騒ぎでした。「でした」と書くのも、今では伝統的な既成政党が弱体化してしまい、今回の選挙はまさか大統領候補になるなんて予想もしなかったアウトサイダーばかりです。3年前、マクロン氏を誰が知っていたでしょう。後継者を、党の中で経験を積んで成長して者の中から選ぶ時代は終わったのでしょうか。
のっぽとちびの法則
ロシアの「つるふさの法則」ロシアの真実 ”the bald truth”「はげの真実」 - ベルギーの密かな愉しみ
のようにフランスにも第五共和国の大統領には「のっぽとちびの法則」があります。
(ありました。過去形です。なお、ちびというのは高身長でないという位の意味)
・シャルル・ド・ゴール Charles de Gaulle (1890–1970) のっぽ
・ジョルジュ・ポンピドゥーGeorges Pompidou (1911–1974) ちび
・ヴァレリー・ジスカールデスタンValéry Giscard d'Estaing (1926– ) のっぽ
・フランソワ・ミッテラン François Mitterrand (1916–1996) ちび
・ジャック・シラク Jacques Chirac (1932– ) のっぽ
・ニコラ・サルコジ Nicolas Sarkozy (1955– ) ちび
・フランソワ・オランド François Hollande (1954– ) ちび
・(新しい大統領)
どこで間違えたかおわかりですね。
終わります。
参考:1995年のTV番組 諷刺人形劇
Les Guignols - Présidentielles 1995 - 2ème Tour on Vimeo