前例のない混戦となったフランス大統領選。抜け出したのは、事前に予測された通りの“本命”候補だった。
現地時間の4月23日に実施されたフランス大統領選。午後8時に締め切られた投票は即日開票された。仏内務省によると、24日0時時点で独立候補のエマニュエル・マクロン元経済産業デジタル相が得票率23.27%で首位、極右政党、国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が22.55%で2位につけている。
全ての開票結果を待たず、複数の仏メディアが、マクロン、ルペン両候補が5月7日に実施される決選投票に進むことが確実となったと報じている。調査会社イプソスの推計では投票率は77%で、2012年の79%を下回った。
23日夜、国際展示会などに使われるパリのポルト・ドゥ・ヴェルサイユに姿を現したマクロン候補は、支援者の前で演説し、「フランス国民全ての大統領になりたい」と決選投票への意気込みを語った。
ルペン候補も、国民戦線の強い支持基盤がある仏北部のエナンボーモンで演説。「今こそフランスを横柄なエリートたちから解放し、本当の変化を起こそう」と発言して支持を呼びかけた。
マクロン候補に投票したというパリ市内に住む40代の男性は、「マクロンにフランスの未来を託したい。決選投票も、この勢いのまま突き進んで欲しい」と語った。
一方で、先日の記事で取材した、仏北東部のフロランジュに住む30代男性は、宣言通りルペン候補に投票した。「ルペン候補こそがフランスを率いる新しいリーダーになるべき」と力を込めた。
5月7日までの残り2週間、両者はこれまで以上に選挙運動を活発化させる。ただし、現状ではマクロン候補が圧倒的に有利な状況だ。
23日、有力候補の一人だった共和党のフランソワ・フィヨン候補が敗北宣言をした後、「決選投票ではマクロン候補を支持する」と明言。社会党のブノワ・アモン陣営も、マクロン候補支持を明らかにするなど、ルペン包囲網とも呼べる状況が生まれつつある。
「ルペン候補が大統領に就任することだけは何としても避けたいという力が働き、マクロン候補有利の状況はさらに強固なものになるだろう」と仏ニース大学で比較政治学を研究するギレス・イバルディ氏は指摘する。
調査会社イプソスによると、マクロン候補とルペン候補が直接対決した場合、マクロン候補が62%の票を獲得してルペン候補を下すと見られている。