”国破れて山河在り”
中学で漢詩を習った時に、最初に教わった杜甫さん作の「春望」という詩はこう始まる。当時、よく意味がわからず杜甫さんはナニがおっしゃりたいのでしょうか???と思ったものだが、今ではその意味がよくわかる。
”ブログ燃えて胃酸があり”
アンニョイな週末。焼け野原となってしまった自分の城とも呼べるブログを放置して、嫁娘とホームセンターにやってきた。
毎度のことながら嫁の買い物は長いので、ワタクシは娘氏とペットコーナーでネコと戯れるのがお約束となっている。売れ残って大分ふて腐れているスコティッシュネコ氏は、今日も元気そうだ。
一通りネコ達への挨拶を済ませると、嫁にはナイショで向かう場所がある。ホムセンに入っているマクドである。
嫁の目を盗んでは二人でやってきて、ツイストと呼ばれるソフトクリームを食べるのが、ワタクシと娘氏の密かな楽しみとなっている。ワタクシの少ない小遣いから支出できる百円というお値段は本当にスバラシイと思う。
さっそく仲良く一つずつ持って、表のテラス席でハトにガンを飛ばしながら、ソフトクリームにむしゃぶりつく。
娘氏がまだ小さい頃はイスにうまく座れず、しゃぶりつく前に地面に落としてしまう悲しい事故や、半分くらい食べたところで気を抜いて滑り落とす事故もあった。うまくしゃぶれずソフトクリームが溶けてしまい、服がベトベトになって嫁にバレることもあった。
が、たくましく成長した娘氏は、今日は順調にソフトクリームの煌びやかな雪山を堪能しているようである。
そんな娘氏をじっくり観察していると、今日はコーンの下の方にある紙の部分までやってきたようだ。しかし、紙がベチョっとコーンに貼りついて、紙まで食べてしまっている。
失敗に気が付いた娘氏は、ワタクシに助け舟を求めて来た。父として世の中の厳しさを教えるために、一番おいしい部分をひと飲みにしてしまおうかとも思ったが、やめておいた。
紙を外してあげると、娘氏は伝家のとんがりコーン食いを繰り出し、ソフトクリームを平らげてしまった。雪山を制覇した登山家のような最高の笑顔を見せる娘氏に、ワタクシは目を細めた。
人間失敗しながら成長するもんだ。父はもうできないことも増えて来てはいるが、まだできることも増えている。失敗しながら、覚えりゃいいんだよ。
「お母さんにはナイショね!」
と二人で目を見つめ合って笑いながら、ベトベトになった娘氏の手をつなぎ店をあとにした。
文頭紹介した、春望の中で杜甫さんはこのように続けている。
ー家書萬金に抵る 白頭掻いて更に短かしー
~ストレスで頭はハゲ散らかしてしまったけど、家族からの手紙は宝物のようだ~
いつの時代も、家族が元気でいることが何物にも代え難い大切なものだと、杜甫さんは教えてくれる。
ソフトクリームの紙をくしゃくしゃにして、ネガコメ書きさらした野郎に投げつけてやりたい気持ちはゴミ箱にポイして、ワタクシも父としてまだまだできることを増やしていこうと春に望んだ一日だった。
おまえら覚えとけよ!