腸内フローラのバランスを整えるには、乳酸菌が有効!と知られています。乳酸菌と聞いて即思い浮かべるのはヨーグルトですが、乳酸菌入りの整腸剤やサプリメントも多く出まわっていますよね。それぞれに効果の違いなどもあるでしょう。
今回は善玉菌を増やし腸内環境を整えるために、有名な「ビオフェルミンS」は有効なのか調べてみました。
目次
よく聞く「ビオフェルミンS」、そもそもどんな物?
便秘や下痢など、お腹が弱い人が飲んでいるというイメージがある「ビオフェルミンS」。病院でもらえるという話もあり、薬なのかサプリなのか、いまいちはっきりしない所もありますよね。その正体や、見込まれる効果などを見てみましょう。
ビオフェルミンSは、薬なの?
もともと乳酸菌の薬として、病院などで処方されるものにビオフェルミン錠があります。こちらは、ビフィズス菌単剤で1錠に12mg含まれています。
一方の「新ビオフェルミンS」は、菌の配合などの研究を重ね、武田薬品工業から市販品として発売されたもの。3種類の菌を含み(一日9錠中ビフィズス菌は18mg)、1966年からこの名称になりました。指定医学部外品なので、穏やかな効き目で腸に効くという商品として認可されたものなのです。
ビオフェルミンSの効果とは
乳酸菌が入っているので「腸内を整えて動きを良くする作用」がメインにあります。では、便秘や下痢・軟便などの症状だけに効くの?というと、そんな事はありません。
症状をすぐにでも改善したい時、例えば旅先などの環境の変化でお腹の調子を崩したり、ガスがたまって苦しいという時にも飲むと良いとされています。便秘の根本解決にもなります。
ビオフェルミンSに含まれた菌のひみつとは?
小粒で甘味があり、飲みやすいビオフェルミンS。腸内環境に効く成分は、どんなものが入っているのでしょうか。大腸だけでなく、小腸にまで作用する3つの乳酸菌パワーを詳しく見ていきましょう。
大腸に住みつく生命力が強い 【ビフィズス菌G9-1株】
ビフィズス菌は大腸に定着して、腸の動きを活発にする重要な乳酸菌の仲間。G9-1株は人の腸にいる菌を培養して作られたもので、病気の原因になる悪玉菌を追い出して、下痢などを防ぐ効果があります。
「プロバイオティクス」と呼ばれる、腸まで届く乳酸菌の中でも、特に腸に定住する力が強いとされています。
実証済み!腹痛にも効く 【フェーカリス菌 129 BIO 3B 株】
フェーカリス菌は、小腸に住みつく乳酸菌。腸は、口から体内に入ってくるウィルスや病原菌を退治する免疫機能の集中している場所です。フェーカリス菌はその免疫力を高め、他の乳酸菌の増殖を助ける力があるのです。
また、熱を加えられて死菌になっても、大腸では善玉菌を増やす働きもあります。また、内臓の痛覚過敏を抑えて、ストレス性の腹痛を軽減させる効果もあると判明しました。(第17回腸内細菌学会・2013年6月14日)
日々のストレスだけでなく、旅行などいつもと違った場所・活動をする場合に、腹痛が起きてしまう方がいますよね。そのような事態にも、フェーカリス菌を飲んでおくことで予防になるのです。
母乳にも含まれ、幅広い効果も 【アシドフィルス菌 KS-13】
アシドフィルス菌は、腸だけでなく口内などでも広く活動します。調理された食物にも多く含まれていて、胃酸に負けずに腸まで届きます。その生命力の強さで、大腸の悪玉菌を減らすのはもちろん、胃の中のピロリ菌の除去などにも効果を発揮。
また、善玉菌が増えるとビオチンというビタミンB群の栄養素が合成されます。このビオチン生成にも、アシドフィルス菌は欠かせないのですね。
菌の含有量、その他に入っている成分
これら3つの乳酸菌は、いずれもヒト由来で、独自に名前がつけられました。含有量はというと、1粒中にそれぞれ6mgずつ含まれています。添加物として、ステアリン酸マグネシウム、トウモロコシでんぷんなどが入っています。
ビオフェルミンSは腸内フローラの救世主になるか
ビオフェルミンSは通常の便秘薬(下剤)、即効性の高い浣腸などとは違い、じわじわと腸の機能を改善させ、免疫力も高める事が分かりました。休めないほど忙しい、働き盛りの方にとっては助かりますよね。
ならば、腸内フローラのバランスをきちんと整える効果も期待できるのか、また、上手な摂取の仕方なども知っておきたいところですよね。
生きて腸まで届く!が大事
ビオフェルミンSに使われている乳酸菌はすべて、健康な赤ちゃんの腸内にも住みついていた菌です。年齢が上がると共に割合は減ってきますが、もともと体内にいる菌なので、飲み続けると効き目がなくなるのではないか、という心配もなさそうですね。
また、ビフィズス菌は腸内に乳酸菌が届くことで増える善玉菌です。最初からプロバイオティクスとして口の中に入れることができるので、効果大ですね。そして、小腸から大腸まで幅広く効用があるというのも安心感があります。
ただし腸内に500種類以上住みついている腸内細菌は、食生活や遺伝因子などでも人それぞれ違うものなので、自分の腸内フローラの環境に合った菌かどうかは、試してみないと分からないという問題があります。
期間はどれくらい飲めば良い?
基本は、1回3錠、主に胃酸の影響が少なくなる食後に摂ると良いようです。1日に3回で、合計9錠ですね。1週間継続してもお腹の動きなどがなく効果が感じられない、という時は体質と合っていない可能性があります。
長くても、1ヶ月服用しても改善が見られない時は他の病気などの疑いもあるので、自分の体の変化をよく見ていく必要があるようですね。
ビオフェルミンS、飲む時の注意点は?
ヒトの腸にある乳酸菌を体の中に入れる訳なので、基本的に副作用などはないようです。お子さんから妊婦さん、高齢の方まで、副作用を気にすることなく安心して飲むことができます。
それから、腸は乱れた食生活やさまざまな要因で悪玉菌が優勢になりがち。乳酸菌も時間が経つと減ってしまうので、一定期間は服用し続けたほうが良さそうです。
ただし、摂りすぎには注意が必要。ビフィズス菌は腸内で乳酸や酢酸を出して酸性を保とうとしますが、活性化が進みすぎると腸の運動が過剰に引き起こされ、軽い腹痛が起きることもあります。
ビオフェルミンSは王道?他の整腸剤との違いを見てみた
「整腸剤」というと、真っ先にビオフェルミンSを思い浮かべる方も多いと思いますが、他の市販のものも出ていますよね。ここでは、アサヒの「新ラクトーンA錠」と比べてみます。成分や効果に違いなどはあるのか、見てみたいと思います。
含有成分 | ビオフェルミンS | 新ラクトーンA |
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菌種 |
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その他(製剤など) | 乳酸菌製剤 | ビール酵母、乳酸菌製剤 |
ビオフェルミンSとラクトーンAの違い
ビフィズス菌などの乳酸菌の種類は同じ物が配合されているようです。しかし、実は同じビフィズス菌でも分類があり、ビオフェルミンSのビフィズス菌はビィフィダム種に属しています。
また、ラクトーンAのビフィズス菌はロンガム種と、いずれも人の体内で見つかっているものですが種別があるのですね。
ラクトーンAには、さらにビール酵母がプラスされています。これは食物繊維やアミノ酸も含まれ、乳酸菌を増やす手助けをしたり、食欲増進効果もあるものです。胃の働きを助けるのですね。
整腸剤を選ぶポイントは?
ならば、ラクトーンのほうを選ぶと良いのかな?と思ってしまいますが、成分だけで決められない点もあります。
- ⇒ビオフェルミンはすべて自社で開発され、管理されているもの。純粋な乳酸菌の作用メイン。
- ⇒ラクトーンAは様々な製造工程を経て、ビタミンBなども加えられ増強された製品。
双方に同じような成分が含まれ、同じような効果が望めるものの、何より菌の種類が微妙に違うために、自分に合ったほうを確かめることが先決のようです。
ビオフェルミンSの人気がなくならない理由とは
他社製品の整腸剤もたくさん出てきている中、ビオフェルミンSは多くの人の信頼を得ているようです。その根拠は、大正6年から乳酸菌の研究が重ねられ、ビオフェルミンが家庭常備薬として普及してきたことにありそうです。
また、慶応大学附属病院での臨床実験もさかんで、効果が実証されていることも大きいのではないでしょうか。1日に合計9億個も乳酸菌が摂れるというところも注目したいです。水なしでも、かじって服用できるお手軽さもうれしいですよね。
ビオフェルミンSだけ飲んでいれば大丈夫なの?
プロバイオティクスが含まれた乳酸菌を摂ることで、腸内は酸性に傾き、善玉菌を増やすことはできそうです。
ただし、乳酸菌は漬け物などの発酵食品にも含まれています。ヨーグルトなどを一緒に摂ると、様々な菌の影響でお腹がゆるくなる可能性があるので、食べ合わせにも注意が必要ですね。
逆に「ビオフェルミンを飲んでいるから大丈夫」と、ジャンクフードに手が伸びてしまっては元も子もありません。おなかの調子が整わない、そんな時はやはり食生活と生活リズムの見直しも大事ですね。
乱れがちな食生活に、思い当たることはありませんでしょうか。特に悪玉菌を増やして腸内フローラを崩すのは、肉に偏った食生活にあるようです。生活リズムは、睡眠不足時間の固定だけでなく、運動不足も関わりがあります。
眠れないという悩みがある場合は、運動して体を疲れさせると、深い眠りになりますよ。
腸内フローラをビオフェルミンSで改善したい人へ
ここまでで分かったことは、便秘やお腹の滞りを感じている時に服用すると、腸内バランスが整うきっかけになりそうということです。ヨーグルトや他の乳酸菌入り飲料に比べて、カロリーも少なく、圧倒的に乳酸菌の含有量も多いのも魅力ですね。
他の整腸剤の成分にも注目
含まれる乳酸菌との相性が大事なので、なるべく他の成分が入っていないプレーンな乳酸菌入りの整腸剤も試してみる価値はありそうです。
ただし、ビオフェルミンSは乳酸菌の”薬”。腸内フローラ改善には、お腹にやさしく作用するサプリメントや食物繊維などの食べ物を日常的に摂ることが大切です。熱や酸に強いアシドフィルス菌は、ヨーグルトにも多く含まれています。
副効果 アレルギーにも効くの?
ビオフェルミンSを服用して、アトピー性皮膚炎や花粉症などのアレルギーがなくなった!という声もあるようです。ビタミンB7であるビオチンが減ると、アレルギー症状が出やすくなります。アシドフィルス菌はビオチンを増やす作用があるのですね。
しかし、配合されているもうひとつのフェーカリス菌は、逆にビオチンを減らしてしまうという事があるそう。やはり、整腸作用を主としているビオフェルミンSに副効用を狙うのは少々危険なよう。
アレルギー改善を目的とするなら、長期の服用でも安心で、そして効果に特化したサプリメントなどの摂取をおすすめします。
病院で処方されるビオフェルミンって?
ビオフェルミンを病院で処方されたことがある人は多く、どういった用途で使われているのか、そして、市販で自由に買うことができるビオフェルミンとの違いを見てみます。
医師の処方か、市販かの違いとしては、「抗生物質にも負けずに善玉菌を増やすことができるか」と言う点にあります。
風邪の二次予防や、膀胱炎の治療に処方されることの多い「抗生物質」。抗生物質は、細菌感染症に有効な薬で、細菌を殺したり、増殖を抑えたりする効果があります。
症状の原因となっているような細菌の動きを止めるために抗生物質は処方されますが、抗生物質が殺すのは、悪い菌だけではありません。
腸内フローラを構成する善玉菌と悪玉菌まで殺してしまうのです。腸内細菌がいなければ、私たちは生きていくことができません。腸内フローラが崩れると免疫の働きも鈍ってしまい、せっかく症状の原因菌を排除しても、再発してしまうことも考えられます。
そこで病院では腸内フローラを守るために、ビオフェルミンを処方します。病院で処方されるタイプのビオフェルミンは、抗生物質には殺されない加工がなされています。
必ずしも抗生物質とセットで処方されるわけではありませんので、もし腸内フローラを崩したくなかったり、抗生物質で体調が崩れやすいという経験があるようでしたら、医師に相談して処方してもらいましょう。
なお、抗生物質を飲んでいるときに市販のビオフェルミンを服用しても、抗生物質に倒されてしまって効果はありませんので、心に留めておいてください。
ビオフェルミンはペットに飲ませても良いのか?
万能かつ手に入れやすいビオフェルミンSを、ペットに飲ませても問題ないのかどうか、気になっている方も多いようです。自分が健康になるのであれば、ぜひ愛するペットにも飲ませて、一緒に元気になりたいですよね。
日本の人気ペットランキング上位3つのペットをピックアップしてお答えしていきます。
順位 | ペット |
---|---|
1位 | 猫 |
2位 | 犬 |
3位 | 魚類 |
犬が圧倒的な人気を誇ったのも今は昔、現在は猫ブームの真っただ中です。
猫
猫は、一人暮らしでも室内で飼いやすいことから、癒しを求めて買う人がたくさんいます。お通じの調子が良くない猫を目の前にしたら、どうにかしてあげたいと思うのは愛するが故です。
手元にあるビオフェルミンが、猫に使えるのであれば今すぐにでも飲ませたいですよね。
結論からお伝えすると、飲ませても問題なし!です。
猫とヒトは同じ哺乳類ですし、ビオフェルミンは善玉菌の塊なので、良い働きをしてくれると予想されます。
なお、ビオフェルミンを与える腸内環境の改善ですが、民間療法的な使い方ではなく、動物病院でも同じ処方をされたとの報告も多々ございます。安心して飲ませていただければと思います。顆粒とタブレット、どちらでもOKです。
1回3錠のビオフェルミンSの場合:
- 3キロの猫・・・4分の1錠
- 4キロの猫・・・3分の1錠
- 5キロの猫・・・2分の1錠
1錠をそのままカリカリと飲ませる方もいますが、「便が緩くなり過ぎた」という声もありますので、まずは少量から。効き目を感じられなかったら量を増やしていきましょう。
犬
近年の猫ブームで人気2位に転落した犬ですが、まだまだ根強い人気がありますね。少子化と反比例するようにペット市場は拡大を広げています。そんな犬のお腹不調ですが、猫と同様にビオフェルミンを飲ませて大丈夫です。
動物病院での処方も、人間と同じ成分のビオフェルミンが処方されるので、問題ありません。
胃腸薬である「正露丸」も犬に飲ませることが可能ですが、ニオイや味が独特で受け付けない犬が多いようです。その点ビオフェルミンでしたらそこまで拒否されず、すんなり受け入れてくれる犬が多いようです。
魚類
犬と猫までは私たちと同じ哺乳類で理解できましたが、魚類は未知数ですよね。しかし、ここは天下のビオフェルミン。ペットの魚に飲ませても大丈夫(!)なのです。
私たちの腸に腸内細菌が存在するように、魚にも腸内細菌は生息しています。その腸内細菌の足しとして、ビオフェルミンはアリでした。
もう何日も糞していなくてお腹がパンパンのペットを見かけたら、ビオフェルミンを砕いて飲ませてあげてください。
まとめ
腸内フローラの環境を整えるには、ビオフェルミンSのような整腸剤の力を一時的に借りるのもアリですね。滞った腸に、ぎゅっと濃縮された乳酸菌を入れることで、動きがついておなかもスッキリとしそうです。
整腸効果により、風邪やインフルエンザにかかりにくくなったという意見もございます。
しかし、整腸剤はあくまで薬。人間の腸には菌や栄養を選り分ける力があり、食べ物が通過することで自然な動きを取り戻せます。整腸剤である程度改善が見られたら、最終的には本来の体の力で腸内フローラの健康を目指していきたいですよね。
即効性のある薬ほど、怖いものはありません。じっくりと腸内フローラと向き合うためのアイテムを見つけましょう。