湘南・片瀬海岸にオフィスを構え、食・宿泊・住宅事業を中心とした湘南のライフスタイルを地元から発信する『SHONAN LABEL(湘南レーベル)』。
藤沢のホテル『8HOTEL』やレストラン『FUJISAWA TABLE』をはじめ、そのプロジェクトはどれも“土地の個性”と“今の気分”にフィットする心地よいものばかり。そして、今までありそうでなかった新しさにあふれています。
そんな『SHONAN LABEL』の代表である島田雅光さんにインタビュー。会社のこれまでとこれから、そして“湘南発信”を追求し続ける理由についてうかがいました!
26歳にして会社設立。最初に手掛けたホテルが話題に!
―― まず、島田さんが『SHONAN LABEL』を創立した経緯を教えてください。
会社を立ち上げたのは10年前、26歳の時です。不動産関係の会社に5~6年勤務してから起業しました。実は、前職はクルマの整備士だったのですが、昔から’60年代の古いクルマが好きで、「憧れの’65年式マスタングを早く買いたい!」と思ったのが転職のきっかけでした(笑)。「カスタムする」という部分ではクルマと通ずる部分があったので、そういう意味でも不動産業界に興味を持ちました。
―― 20代で起業とは早いですね! 最初に手掛けたのはどんなプロジェクトですか?
藤沢の『RIGNA FUJISAWA』というホテルです。22室のコンパクトなホテルで、ビジネスホテルとウィークリーマンションの間のような立ち位置だったので、“ウィークリーホテル”と名付けました。キッチンや家具はあるけれど部屋の清掃がないウィークリーマンションと、割高だけれど部屋の清掃があるホテルのいいとこどりをした感じですね。当時はその形態がめずらしくて話題になり、新聞に取り上げてもらったり、講演の依頼をいただいたりもしました。今、そのホテルは売却してしまったんですけどね。
土地の個性を生かして、地元にも愛されるホテルを
―― その後、ホテル事業はどのように発展していったのでしょうか。
まず、同じ『RIGNA』シリーズのウィークリーホテルを本厚木に作りました。カフェが運営するホテルというイメージで、チェックインも1階のカフェで行うようにしたんです。その後、平塚にネットカフェとホテルを融合した『THE HOURS』を作り、さらに藤沢にレストラン『FUJISAWA TABLE』を併設した『8HOTEL』をオープンしました。来年は、茅ヶ崎にも『8HOTEL』の流れを汲むホテルが完成予定です。
―― どのホテルも個性的ですね! オープンを控えた茅ヶ崎のホテルについて詳しく教えてください。
茅ヶ崎は、駅から海までが少し離れていることもあり、実は観光の方があまり来ない場所なんです。でも、クラフトビールを扱うお店が多く、“ビールの街化してきている”という個性があるので、自社でもオリジナルのクラフトビールを打ち出し、ポートランドのようなクラフトマンシップあふれる街として盛り上げていけたら……と考えています。また、茅ヶ崎の次は鎌倉駅からすぐの場所にホテルを作る計画もあります。鎌倉にはいろいろなアーティストの方々がいらっしゃるので、そういう方々にも展示をしていただき、美術館のようなホテルにしたいと考えています。
―― 土地の個性を生かし、地元の人とつながりながら、外の人を受け入れることを大切にされていらっしゃるのですね。
そうですね。“湘南”とひとくくりに言ってもエリアによっていろいろな地域特性や風土があるので、それを壊すようなことはしたくないですし、「土地の人たちにも愛されるものを」という想いは常に持っています。地元の方とお客様の両方に喜んでもらうことを意識した結果、今のスタイルになりました。
湘南で育ったからこそ、「湘南ならでは」を大切にしたい
―― 社名も事業内容もそうですが、島田さんが“湘南”にこだわる理由を教えてください。
小学校5年生から藤沢で育ったこともあり、『RIGNA FUJISAWA』を作った10年前からずっと「湘南のライフスタイルを発信しよう」というコンセプトでやってきました。湘南エリアは、東京から近くて海も山もあり、とても恵まれた環境だと思うんです。でも、それをうまく打ち出せている地元の企業はあまりない。そんな中、東京の資本が入ってきて、それによってうるおったり垢抜けた部分もあるとは思うんですけど、街の全部がそうなってしまうと「どこかで見た景色」という感じで湘南らしさがなくなってしまいます。だから自社では、創業当時から「湘南ならではのライフスタイルを描き、発信する」ことを大切にしながら、飲食や宿泊、移住まで含めたプロジェクトを推進してきました。
プライベートでも仲良しのウィンドサーファー・伊東大輝さん
―― 移住といえば、シェアハウスも展開されていますよね。
プライベートでも仲のいいウィンドサーファー伊東大輝くんと一緒に、『SUNNYSIDE INN』というシェアハウスを展開しています。現在は材木座と湘南台に物件があり、実際に茨城や大阪など各地から集まった若い世代が住んでいるのですが、彼らとコミュニケーションを取っていく中で「移住してみたいけど、仲間や住む場所、お金といった問題に加え、仕事探しがネックになっている人が多い」という現実がわかったので、住む場所と仕事を一緒に紹介できる『ROOM MART』という新しい形の賃貸店をつくりました。いずれはこのシステムを地方や海外でも展開して、より気軽に移住ができるようにしていきたいと思っています。
―― 海外での展開も考えていらっしゃるのですね!
『SUNNYSIDE INN』=自分を変えられる場所というコンセプトで、国内だけにとどまらず海外でも展開していきたいと考えていて、すでに具体的に計画を進めています。5年後には、自分自身も海外に拠点を移す考えです。
■プロフィール
島田雅光さん
2007年に『SHONAN LABEL』を設立。湘南・片瀬海岸にオフィスを構える同社では、「一週間が8日あったなら」をコンセプトに湘南のカルチャーを発信する『8HOTEL』、『8LOUNGE』、『FUJISAWATABLE』をはじめ、プロウィンドサーファーの伊東大輝さんと進めるシェアハウスプロジェクト『SUNNYSIDE INN』、稲村ケ崎の海の目の前に建つレンタルギャラリー&レンタルスペース『SIMPLE HOUSE』、さらに分譲住宅プロジェクトなどを展開。多彩な事業を通じて、湘南のライフスタイルを広く提案している。