—これまでApple(Beats by Dr. Dre)、TBWA\CHIAT\DAY、Wieden + Kennedyなどでキャリアを積んだジャヤンタさんがTwitterに移ったのは?
偶然の結果です。これまでやってきたこととあまりにも違うので、当初は自分でもどうフィットするのだろうかと思いましたが、実際に移ってみたらベストでした。これまでとの違いと言えば、ソーシャルプラットフォームそのもののクリエイティブを手がけるということ。Twitterはソーシャルプラットフォームであると同時に、カルチャーであり、音楽、アート、スポーツ、エンターテインメントなどさまざまなものがその中に存在している。このプラットフォームをどう生かしていけばいいのか、いま学びながら考えているところです。
—ツイッターのグローバルクリエイティブディレクターとしてのミッションは?
タスクとしては、Twitterというブランドのこれまでの歴史をふまえて、世界に対して定義し、拡張していくべく、声を発信していくことです。この仕事は自分にとって、すばらしいチャンスだと思っています。
—ジャヤンタさん自身が考える「クリエイティブディレクション」とは?
より少ない言葉で、より多くの事を伝えるということ。ミニマルデザインが考え方のベースにあります。これはワイデン+ケネディのジョン・Cジェイのもとで働いていたときに学んだことです。
アイデアも空間同様、シンプルにすることでそれが強化され、意図や目的がより明確になり、より伝わるようになると考えています。後の私の上司となったリー・クロウもシンプルでありインパクトがあることを重視していました。私はこれまでのキャリアで、一貫してそのことを学んできました。
—昨年、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークで展開した初の屋外広告シリーズは、これまでのTwitterでは見られなかったキャンペーンでした。
このキャンペーンではTwitterにとって普遍的、かつ象徴的なものでもあるハッシュタグに着目しました。取り上げたテーマは昨年話題になっていた大統領選にはじまり、それに関連した社会的な問題、それから2016年に亡くなったセレブリティで、20種類ほどのビジュアルを展開しました。
通常であればハッシュタグの後に言葉が続くのですが、それをビジュアルで表現しています。今回、ハッシュタグだけで表現したのは、いまTwitter上で議論されていることや展開されている会話を象徴的に見せたかったこと。それから、ハッシュタグに続く言葉、あるいはこのビジュアルを見た時にどのように思うかなど、すべてが見た人自身に委ねられているということ。ビジュアルを使うことで言葉よりも深みが出て、会話も促されました。
その結果、このキャンペーンで生活者とのエンゲージがより深まったのではないかと考えています。それから、Twitterのようなデジタル領域の企業が屋外広告を展開することで、僕らも現実の世界にいることを感じてもらい、人間らしい側面を少し見せることができたのではないでしょうか。
——このキャンペーンに対する反響は?
非常にポジティブな反応でした。Twitterは世の中の課題も楽しいこともあらゆるものの会話を促すプラットフォームであることを実感してもらえたのではないかと思います。そして、ハッシュタグは本当に意味があるものだということを理解していただけたのではないでしょうか。
—最近、米国のクリエイティブには、どんな変化が見られますか。
一番の変化は自分のようにエージェンシーにいたクリエイターが、企業やブランドに入ってディレクションを始めたことです。テクノロジー企業に限らず、ファッションや流通でもその傾向が見られます。実際に、私のワイデン時代の同僚も企業側に移った人が何人もいます。
—それによって、これから広告にどんな変化が見られるようになるでしょうか。
企業がより強いメッセージを発信するようになると思います。なぜならクリエイティブディレクターやチーフクリエイティブオフィサーがブランドの部門長と話をして、それをすぐにクリエイティブに反映させることができるわけですから。
—そのときに、エージェンシーにいるクリエイターはどう変化していくべきでしょうか?
世界は本当に変わってきているので、エージェンシーは今後、企業の外部のリソースとしてこれまで以上にユニークさとさらなる付加価値を提供していかなくてはいけないと思います。
いま私はTwitterにいていいなと思うことに、日々Twitterというブランドを感じながら仕事ができることがあります。エージェンシーはブランドやクライアントを渡り歩くので、どうしても連続性が希薄になりますが、いまはじっくりと向き合える。
私のような人が企業側に増えると、エージェンシーはブランドのことを広く考えるのではなく、よりユニークに考えていくことが求められると思います。
—これからTwitterで実現していきたいことは。
アメリカで実施したキャンペーンを、今後、日本を含め他の市場でも展開していきたいと考えています。
私たちが目指しているのは、世界の中でのTwitterの役割を明確に定義していくことで、他との差別化を図っていきたい。そして、Twitterが生活者にとって、あらゆる視点を提供できるものであることを伝えていきたいですね。5年後に振り返ったときに、社会の中でTwitterの役割をきちんと伝えることができたと感じられるようになっていたらうれしいです。
新着CM
-
広告ビジネス メディア (コラム)
広告業界は「特別な場所」だという幻想を、そろそろ捨てる時だと思う
-
広告ビジネス・メディア
インティメート・マージャーとインテグラル・アド・サイエンスが共同でアドフラウド対...
-
雑誌 100万社のマーケティング
小さな組織だからできるマーケティング戦略、大企業にはない戦い方がある!
-
広告ビジネス・メディア
AdRollメディア向け説明会で、マーケターの「クリック依存」に警鐘を鳴らす
-
PR
マーケティング
「今から僕たち迷います」 雑誌『広告』木原龍太郎 編集長が語るリニューアルの狙い
-
広告ビジネス・メディア
スマホの写真を売買できる「Snapmart」、購入登録企業数1000社を突破
-
広告ビジネス メディア (コラム)
コピーライター適性テスト:いい質問を思いつけない人に、いいコピーは思いつけない。
-
広告ビジネス・メディア
LINE 田端信太郎氏のメディア論「その記事に“経済的価値”はあるか」
-
PR
特集
ブランディング・エージェンシーのAMDと共同で 「クリエイティブ・ワークスタイル...