音声通話重視でMVNOを選ぶならむしろワイモバイル?
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MVNOの格安SIMといえば、かつては「データ通信専用に使うもの」「サブ回線的に使うもの」というイメージがありました。しかし最近では各社とも音声通話対応SIMを取り揃えていることから、ドコモやauといったキャリアとの契約を切って、完全にMVNOに乗り換える人も増えてきています。
そこで今回はMVNOの音声通話にスポットを当てて格安SIMについて考えてみましょう。通話が多い人にお勧めの「ワイモバイル」についても併せてご紹介しています。
MVNOが音声通話に対応したのはつい最近
なぜ「格安SIM=データ通信」という見方がされていたのか
「MVNO」「格安SIM」というキーワードが「SIMフリー」などと共に注目を集め始めたのは2013年頃からですが、実際に契約回線数が伸び始めたのは2014年中頃からでした。
契約回線数が伸び始めた理由は、大手系のMVNOが音声通話に対応するサービスを開始したことが大きいです。
今でこそ当たり前のようにあるMVNOの音声通話対応SIMですが、あの「みおふぉん」でおなじみのIIJmio(みおふぉん)
ですら始まったのは2014年3月です。つまりまだ1年ちょっとしか経過していません。NTT系の超大手、OCN モバイル ONE
が音声通話対応SIMを始めたのはもっと後で、2014年12月からです。本稿執筆時点(2015年3月)でたった3か月前の話しです。
それまではデータ通信専用SIMが主だったため、音声通話も出来るキャリアのSIMの代替にはなり得ませんでした。いくらスマホでネットをする人が増えているとはいえ、スマートフォンはあくまでも「電話」なので、わざわざ音声通話が出来ないものに、いかに安いとは言え乗り換える人はいないわけです。そのためMVNOの格安SIMは、どちらかというと携帯電話やスマートフォン、タブレットといったものを趣味的に複数使い分けるようなマニアックな人や、バッテリーの持ちの問題などで音声通話とデータ通信で端末を分ける必要に迫られているような人が使うようなものでした。
しかし音声通話に対応するSIMが登場したことで状況が変わり始めます。音声通話とデータ通信という、スマホに求められる機能2つが1つのSIMで実現するようになったため、キャリアメールが使えなくなるなど残された問題はあるものの、キャリアのSIMの代替として十分検討する余地が出てきたからです。先ほどご紹介したIIJmio、OCNなども含めてMVNO各社は音声通話への対応を急速に進めつつありましたが、今はそれがようやくひと段落してサービス内容や料金の競争が始まった、という状態と言えます。
まだまだ「格安SIM=データ通信専用」という見方をしている人も多いでしょうし、自分には関係のない、マニアックな人向けのものだと思っている人もいるでしょう。そのような人たちがこれから「格安SIMでも音声通話が出来る」ということを知れば、今盛り上がりつつMVNO市場がより一層大きく伸びて行く可能性があります。
ただし格安SIMの音声通話は高い
実はMVNOの音声通話対応の格安SIMには大きな問題があります。
それは「通話料が高い」「通話定額制がない」ということです。
現在、キャリアでは月額2,700円を払えばスマホの音声通話が使い放題になっています。一方のMVNOにはこのような通話定額制度がありません。どのMVNOの格安SIMを使っても必ず従量課金制(使ったら使った分の料金を支払う)となります。MVNOの音声通話料はほぼ一律で「20円/30秒」です。キャリアには通話定額制以外にも従量課金制の料金プランがありますが、それらの通話料よりも高いです。
そのため、音声通話をよく使う人がMVNOに切り替えると絶対的に月々の料金が高くなってしまうケースが多いです。
楽天の子会社であるフュージョン・コミュニケーションズが提供している「楽天でんわ」やFREETEL(フリーテル)
の「通話料いきなり半額」といったサービスを利用すると通話料が10円/30秒と半額になるので、こういったものを上手く組み合わせて料金を安くすることがMVNOの格安SIMで音声通話をするコツになるでしょう。
公式サイト:FREETEL(フリーテル)
出典:Plus One Marketing Ltd.
出典:Fusion Communications Corp.
「楽天でんわ」も「通話料いきなり半額」も090や080で始まる番号をそのまま使うことが出来ますし、月々の基本使用料は不要で通話に使った分の通話料だけを支払えばいいので、気軽に使うことが出来ます。なお、この2つのサービスはどのMVNO、キャリアのSIMを使っていても利用することが出来ます。詳しくは本記事下の「あわせて読みたい記事」のリンク先をご参照下さい。
通話重視ならMVNOではなく、「ワイモバイル」はどうか
前述したように、MVNO各社の音声通話料金はどこも概ね20円/30秒です。つまり通話料では差が生じません。
そこでお勧めしたいのが、MVNOではありませんが、MVNOのようにSIMのみで契約をすることが出来る唯一のMNO(移動体通信事業者)である「Y!mobile(ワイモバイル)
」です。
公式サイト:Y!mobile(ワイモバイル)
ワイモバイルは「SIMのみの契約」が出来る
出典:Ymobile Corporation.
ワイモバイルとは旧イー・アクセスと旧ウィルコムが経営統合して出来たソフトバンク系の会社で、2015年4月1日付でソフトバンクが吸収合併をすることになっています。しかしワイモバイルというブランドやサービスはそのまま存続予定です。
ワイモバイルはIIJmioやOCNのようなMVNO(仮想移動体通信事業者)ではありません。ドコモやau、ソフトバンクと同じくMNO(移動体通信事業者)です。MVNOとはMNOから回線を借りてサービスを提供していますが、ワイモバイルはMNOなので自前の回線を持ってサービスを提供してます。
そしてワイモバイルはドコモ、au、ソフトバンクと違って「SIMのみを契約する」ということが出来ます。なお、ワイモバイルはドコモと同じ通信方式を採用しているので、ドコモで販売されたスマホであれば原則として使えます。もちろんSIMフリースマホで使うことも可能です。
出典:Ymobile Corporation.
ワイモバイルのオンラインショップを見ると、新規契約やMNP、機種変更の契約と同時に販売しているスマホと並んで「SIMフリー端末対応音声USIM 0円」というのがあります。新規契約手数料の3,000円は必要ですが、このSIMを入手すること自体は無料です。
出典:Ymobile Corporation.
そしてワイモバイルの料金プランは極めてシンプルで、この3つしかありません。
違うのは高速データ通信容量で、それぞれ「1GB」「3GB」「7GB」に分かれています。
そして肝心の音声通話ですが、国内であればどこへかけても1回10分以内の通話であればかけ放題です。ドコモやau、ソフトバンクのように無制限のかけ放題ではありませんが、パケット定額制とセットになってこの内容であれば十分、という人も多いのではないでしょうか。
ワイモバイルとau、IIJmioの比較
試しにワイモバイルの料金プランを他のキャリアやMVNOと比較してみましょう。
- ワイモバイル
- 月3GB+1回10分以内の通話し放題で月3,980円
- au
- 「カケホ」(2,700円)+データ定額3(月3GB・4,200円))+ネット接続サービス(300円)で月7,200円
- IIJmio
- 月3GB(900円)+音声通話機能付帯料700円+通話料(20円/30秒)で月1,600円~
どれも高速データ通信は月3GB可能です。音声通話に関する部分が異なります。
何の制約もなく自由に使えるのはやはりauです。ただしワイモバイルに比べて月々2倍弱の料金がかかります。料金の安さだけを見れば1番安いのはIIJmioですが、通話料は従量課金です。ワイモバイルとの差は2,380円ですが、これをIIJmioの通話料で考えると約60分の通話料に相当します。つまり60分以上通話するのであればワイモバイルの方がお得になり、60分以下であればIIJmioで使った分だけ通話料を払った方が得、ということになります。
こうして見るとワイモバイルが良さそうにも見えますが、「1回10分」という制限があるのも事実です。しかしこの制限も、追加で月1,000円を支払って「スーパーだれとでも定額」というオプションをつけると「どこへでも」「何分でも」「何回でも」通話をすることが出来るようになります。つまり上記の比較でいうと、3,980円→4,980円にすることでauと全く同じ条件になるということです。それでもauに比べて2,200円も安く使うことが出来ます。
公式サイト:Y!mobile(ワイモバイル)
音声通話重視でMVNOを選ぶならむしろワイモバイル?まとめ
MVNOは音声通話へ対応し始めてからまだ日が浅いため、通話料やサービス内容で差がついてくるのはもう少し先の話しになりそうです。しかしながら「キャリアの料金プランは高い」「MVNOのように安く使えるようにしたい」と思っている人は多いでしょう。そのような場合はぜひともワイモバイルを検討してみて下さい。音声通話を重視している人であれば、現状のMVNOよりお得に使えるかと思います。