特集
2017年4月24日
鳴子温泉の農民の家、最高でした。
朝と夕のご飯がきっちり用意されている旅館もいいけれど、自炊ができる台所付きの宿に憧れる。それも貸別荘のような明るい雰囲気ではなく、温泉街の片隅にある寂れた湯治宿だったら最高だろう。
湯治宿で気ままな自炊をする極楽の日々、もう少し年を重ねて性別を超えた存在になってからの楽しみに残しておきたい気もするが、一足先に将来の旅行を予行練習してみたいと思う。 鳴子温泉の「農民の家」に泊まろう源泉掛け流しの温泉に浸かって、全力でゆったりしてやるぞ! とやってきたのは、こけしで有名な宮城県の鳴子温泉。
時間がだいぶ遡るのだが、昨年の9月におこなわれた全国こけし祭りというイベントに参加するためにこの地を訪れ(こちらの記事参照)、せっかくのチャンスだから自炊宿での湯治をしようと、二泊三日で「農民の家」という宿に泊まったのである。 少し前の記録となるが、公開が数年ずれたとしても大きな問題のない悠久の時が流れる場所なので、そこは安心していただきたい。 湯治するそー! 自炊するぞー!
ふらりふらりと鳴子温泉の街並みを散策し、駅から少し離れた閑静な場所にある農民の家へと向かう。
こけし好きの聖地、鳴子温泉。
地図によると、温泉街のメインストリートを下って、線路を越えた先にあるらしい。
しばらく進むと、病院か大学かと思われる規模の建物が目に入った。場所的にはあれが農民の家である。農民の家とは、藁ぶき屋根の古民家宿ではないのだ。 事前にホームページをチェックしていたので知ってはいたが、これほどまでに名前と建物の外観が一致しない宿も珍しい。 あの中央の建物が農民の家。
さらに近づくと、建物の全体が見えてきた。
さっきの場所から見えていたのはほんの一部であり、写真に写りきらない程の広さであることに呆然とする。 農民の家、ものすごい大家族だな。 ここに写っているのが全体の右半分。
左側にもずっと続いているのである。
合成の微妙なパノラマ写真でよければご覧ください。
農協直営の宿だから農民の家別の部屋に泊まった友人夫婦の話だと、農民の家とは宮城県の農業協同組合(JA)が経営する宿で、組合員である農家の方々が疲れを癒しにくる場所とのこと。雪が積もる農閑期こそがハイシーズンなのだろう。
JAの直営ではあるが、組合員以外でも泊まることができる。全国こけし祭りという鳴子の一大イベントが行われる週末でも、ご覧の規模なので直前の予約で問題なく部屋がとれた。 入り口からは想像の出来ない規模の巨大旅館なのだ。
部屋は料理がでてくる旅館タイプと、自分で作る自炊タイプがあり、また建物の古さで料金が変わってくるシステム。
私が泊まった東館という古い自炊部屋は、非組合員で一名一泊4350円。このリーズナブルな金額で、館内にある4つの温泉に入り放題なのである。 ただしシーツなどは別料金。ゆとりってなんだろう。
建て増しを重ねて、ドラクエの中盤戦にでてくるダンジョンくらい複雑になった館内図。
おじさん、おばさんが喜びそうな催事が月に何本も用意されており、長期滞在者でも飽きることのない施設となっている。
最低でも1〜2週間はここに滞在して、広い館内を町内のように把握し、イベントで出会うお客さんと顔見知りになってこそ、農民の家の湯治と呼べるのだろう。二泊三日なんてカラスの行水だ。 大衆演劇の一座が館内で公演をしたり、カラオケやゴルフの大会も開かれているらしい。
これぞ農民のパラダイスという、レジャーの詰まった予定表。
ぜひ覚えておきたい農民の家音頭。こちらで聴けます。
|
|
▲デイリーポータルZトップへ | バックナンバーいちらんへ |